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社会問題エッセイ

これは危険な憲法曲解では? 北海道高裁の「同性婚訴訟判決」について

作者: 中将

筆者:

 本日はこのエッセイを選んでいただき誠に光栄です。

 今日は3月14日の同性婚に関する訴訟と憲法解釈について個人的な見解を述べていこうと思います。



質問者:

 どういう判決だったんですか?



◇現在、「同性婚」は「結婚」と比べて大幅に権利が侵害されている



筆者:

 この訴訟は北海道内の同性カップル3組が国に1人あたり100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決でした。

 これまで地方裁判所での6裁判があったのですが、高等裁判所での判断は初めてだったので注目されていました。


 その中で、札幌高裁(斎藤清文裁判長)は14日、「憲法は同性婚も保障しており、現行制度は違憲」とする判断を示した。一方、法改正をしていない国会の対応が違法とまでは言えないとし、国家賠償の請求は棄却したというものです。



質問者:

 現在、法律上同性婚というのは認められていないというのは知っているのですが、

 それが保障されるようになるという事ですか?



筆者:

 それはこれからの最高裁の判断や法整備で決まると思うのですが、

 まずは現状の法律による通常の結婚と「同性婚」との差についてみていこうと思います。



質問者:

 同性婚の方っていま日本ではどのような形で家族関係を構築しているんですか?

 事実婚のように「赤の他人が共同生活」という形なのでしょうか?

 相続などはどうなっているのでしょうか?



筆者:

 現状においては「養子縁組制度」を使うことによって家族・相続関係を築いているようです。


 年齢が上の方(誕生日が先)が養親となり、下の方を養子にすると言った形での家族関係を構築することが可能になります。

 

 これによって法定相続権や家族に対する恩恵を得ることが出来るので、

 活用されている方も多いようです。



質問者:

 結婚は対等関係にあるのに対して、疑似親子みたいになるのは違和感がありますけど……これで問題はどうあるのですか?



筆者:

 まず名字において養子は養親の氏を称することが法律で決まっています。

 現在、名字が統一されることは結婚と同様ですが、夫婦どちらかの名字を選べます。それに対して、こちらは養親に統一といった形に強制されるのです。


 また、財産分与請求権といった法律上の夫婦のような法的保護がありません。


 最後に相続の際に「養子」となっている方が先に亡くなった際に、「養親」と実父母との間に財産分与の問題が生じます。


 ※通常は結婚相手の親に相続権がいくことは無いです。


 このような問題があるために同性同士の結婚を要求することも無理からぬことだと思います。


 実際に上記の問題や親子の上下関係が出来るのが嫌で養子縁組制度を利用していない同性カップルも多いようですからね。



質問者:

 なるほど、養子縁組の制度では全く補完しきれないという事なんですね……。



◇権利が守られていないことと憲法解釈を捻じ曲げるのは別問題



筆者:

 前提の状況をご理解いただいたところで、今回の判決に戻っていこうと思います。



質問者:

 そうなると、今回の札幌高裁判決は良かったんじゃないんですか?

 


筆者:

 「憲法は同性婚も保障しており、現行制度は違憲」ここが最も気になるところです。


 次の表を見ていただきたいのですが、


挿絵(By みてみん)

 

今回の憲法判断は

 

憲法24条1項 婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する。


憲法24条2項 婚姻や家族に関する法律は個人の尊厳に立脚して制定する。


憲法14条1項 国民は法の下に平等であり差別されない。


 の全ての憲法に違反するとしています。


 特に気になるのは、初めて憲法違反と判断した24条1項の「両性」に「同性カップル」が含まれるかどうかの議論です。



質問者:

 確かに「両性」が「同一性の婚姻」を把握しているとは思えませんね……。



筆者:

 24条1項に同性婚を含むという考えの方々は、本人同士の意思が尊重されるという意味であって、「両性」は必ずしも「男女」と規定しているわけではない、同性婚を排除しているとまでは言えないとの学説を主張しているようです。


 しかし、現行憲法は次世代を生む「法律婚」を特に重視し保護しており、

 前述のように「同性婚を容認している」とする憲法学説には無理があるというのが普通の感覚なのではないかと思います。



質問者:

 それではどうしたらこの問題は解決するのでしょうか……。



◇本当に同性婚を認めるためには憲法改正しかない/あとは事実上の制度的な容認のみ



筆者:

 本当に名実共に同性婚を認めるためには憲法改正しかないでしょう。


 あの24条1項をどう読んだら「同性婚容認」の判断になるのは理解しがたいです。

 国民の意見無視で裁判官の判断のみで決まるというのは問題だと思っております。


 現在、養子縁組をしないことによる同性カップルの弊害は、

 アパートへの入居や病院の面会などを家族以外に認められていないことです。


 憲法改正をしないのであればこういった個々の制度設計の見直しを自治体が行う事や、民法など法律ごとに改正を行っていくことが重要であり、憲法の解釈を「曲解」することでは無いように思えます。


 現在の条文は憲法が制定された当時の1946年の価値観なのでやむを得ないことだと思います。



質問者:

 しかし、新しい権利に関しては認めていかなくてはいけないのではないでしょうか?

 14条1項の「法の下の平等に反する」感じはしますし……。



筆者:

 かと言っていちいち解釈を曲げていくというのは非常に危険です


 この憲法解釈が通ってしまうと最早、何でも解釈が可能になるんですね。

 例えば結婚に関することで言うのなら2次元キャラとの婚姻やペットとの婚姻――極端な話もはや何でもありになるんです。

 そうなると、「曲解」を認めれば認めるほど法律秩序・社会倫理が崩壊していくことにも繋がります。


 僕はあるべき判決としては、


「同性婚は現行の憲法の保障していない権利だが、法の下の平等に違反する各法案を改正するべき」


 とするべきだったと思います。



◇憲法の「曲解」に行きつく先は「緊急事態条項乱発」



質問者:

 そう言えば、集団的自衛権の行使を憲法9条2項から導く際にも結構ハチャメチャな理論だったな気がします……。



筆者:

 防衛省のホームページでは


『憲法第9条第2項では、「国の交戦権は、これを認めない。」と規定していますが、ここでいう交戦権とは、戦いを交える権利という意味ではなく、交戦国が国際法上有する種々の権利の総称であって、相手国兵力の殺傷と破壊、相手国の領土の占領などの権能を含むものです。』


 としています。


また、23年12月5日の仙台高等裁の判断では


「武力の行使は、日本に戦禍が及ぶ蓋然性や国民が受ける犠牲の重大性などから客観的、合理的に判断して新たな3つの要件を満たす場合に限られ、あくまでも国の存立を全うし、国民を守るためのやむをえない自衛の措置に限られるという厳格で限定的な解釈」


 と限定的であれ「交戦権を認める」わけです。

 

(ちなみに集団的自衛権はあった方が良いと思っていますがこの解釈には問題があると思っています)



質問者:

 正直あれもそうは読めないですよね……。



筆者:

 特に「緊急事態条項」が出来た時が恐ろしいと思います。

 このように条項があるだけでどうとでも解釈できてしまうことが明らかですからね。

 簡単に言えば政府の権力が強化され国民の人権は無視されるのです。


 時の権力者に忖度するような判断をされると、平気で国民の権利を奪う判断をしかねないからです。

 

 政府を疑うというのは非常に悲しい話ではありますし、

 勿論何もない可能性もあるのですが、

 国民を苦しめる増税メガネや、脱税とふざけたパーティーを開く、お仲間にバラマキなど本当に酷い人たちですから信頼に値しないと思っています。



質問者:

 本当に何もないといいんですけどね……。


 

筆者:

 まずは緊急事態条項がある憲法案に反対することが大事だと思います。

 理想を言うのであれば改正する条文1項目ごとに投票を行うことですが、

 現状一つの「案」を丸ごと賛成か反対しかできないのも本当に問題だと思いますね。

 

 という事でここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回は同性婚を保護しない権利システムには問題があるものの憲法を曲解をすることは危険。

 それも緊急事態条項が創設されたときに適用されれば、国民の権利が奪われてしまうのではないか? という事をお伝えさせていただきました。


 今後もこのような時事問題や政治・経済、マスコミの問題について個人的な解説を行っていきますのでどうぞご覧ください。

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