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不幸だった女子高生は異世界で溺愛されます  作者: マスカットマウス
5歳以上編
4/12

3

「皆! 今日はよく集まってくれた! 俺の可愛い娘。ツムギはいつも言葉に言い表せない程可愛くてだな! ────」


 凄い! 凄いよ父様! 誰も聞いていないよ! 他の皆は何も気にせず喋ってお酒飲んでるよ! 


 今日もいきなり始まった宴会。宴会と聞いてクー兄様とルー姉様も町から帰ってきた。


「んー! やっぱりツムギは可愛いわね! 癒されるわーうりうりー」


 今私を膝抱きにして頬をグリグリ撫でまわしているのが、ルーカティア・アルスラーチ。私の姉様で母様と父様の娘。とっても美人。綺麗というより可愛い。人間で言うと、18歳程の姿をしているの。日本だったら余裕でトップアイドルになれるほどの美人だよ。姉様は兄様一筋だって。赤ちゃんだった姉様に兄様が一目惚れしたらしいの。赤ちゃんに一目惚れってどういうことなの。もちろん姉様もとっても優しくて大好きだよ!


「ああ……そうだよな。思わず天使に見える程だ。大きくなったら俺たちの妹は女神にでもなるのか?」


 天使とか良く分からないことを言っている人が、クリス・アルスラーチ。私の兄様で母様と父様の息子。もー超イケメン。人間で言うと、20歳程の姿をしているよ。一見完璧に見えるけど、おっぱい大好きなんだよね。姉様一筋なんだけど、兄様って姉様が生まれる前はメイドさんやカルミラに住む女性のおっぱいを揉んでたんだって。今は極力揉まないようしてるって言ってた。……私も大きくなったら揉まれちゃうのかな? ……キャー!


 ルー姉様の膝に上から降りて、クー兄様に飛びつくと同時に、胸に顔を擦りつけるように甘える。


「クー兄様にも甘えさせて! 安心するーあ、おっぱい揉む?」


「いや、揉むほどないだろ……。というより妹をまだそんな目では見れん。とはいっても、可愛い妹の頼みだ! ほれほれー」


「あははは! くすぐったいよ兄様! うーもう! 大好き!」


「お兄様! 私も混ぜて!」


 クー兄様とルー姉様と一緒にくすぐられる。くすぐったいのもあるけど、愛されてると心から感じて嬉しくてつい笑顔になっちゃう。私は一人っ子だったから、もーたまらない! 本当に嬉しいんだよね。初めての兄と姉がこんなに優しくて素敵な人たちで、本当に異世界に転生して良かったとしみじみ思うね。


「ああ…本当に愛らしいな……。なあ、ルーカ。俺たちも子供が欲しくなってくるな」


「ええ……お兄様。分かるわ……。でも、ツムギ以上に可愛い子供なんて世界にいないと思うけどね」


 わわわわ! 頭の上で二人がキスし始めちゃった! ううう……何でそんな堂々とキスができるの……。お邪魔虫は退散しなきゃね。バレないようにそっと膝の上から降りて少し遠くの椅子に座って、料理を食べる。


 少しだけ冷めてても美味しいね。やっぱり凄いね。メイドさん達は! ……メイドさんは何しているんだろう? と周りを見たら遠くに散らばって皆の様子を見守るように眺めているね。危ないことがないか監視をするっていう目的もあると思うけどね。母様と父様は何してるんだろう? 母様は……女性と奥様方に囲まれているね。魔人族は長寿な代わりに、子供が滅多に生まれないからね。さらに、生まれにくい魔神族で私含めて三人も生んでるからね。何を聞かれているのか知らないけどね! 私にはまだ早いよ。うん。


 父様は……まだ演説してるよ!? もしかして演説に夢中で誰も聞いてないことが分かってないの!? 内容も私の事だけ!? しかもね、私がどう可愛かったのか。今後どうなるのかというのを永遠に話してる気がする。顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。


 ……シャルさんと目が合った。ニッコリ素敵な笑顔で手を振ってるので、私も笑顔で手を振る。えへへー心が温かくなるよ。家族の皆もそれぞれ楽しんでいるし、うーん。一人になっちゃったな。何して過ごそうかな。何もすることがない! 観察でもしてようか。

「そう、俺はツムギを傷つける奴は絶対に許さない! そんな奴がいたら存在を消し去る。今も可愛いのに将来はもっともっと可愛くなる。……ということはツムギがモテてしまう! 嫁には行かせないぞ! というよりこの国から出すことなどありえん!……ツムギ!?」


 ひゃあ!? 皆こっちに向いたよ! うう……恥ずかしいよ! 顔を赤くしながら周りを見る。……あれ?父様が高台にいない。あれ!? いつの間にか隣にいるよ! 早すぎて何も見えなかったよ!


「う……? どうしたの父様? 演説はいいの?」


「演説はいつでもできるからな。それよりツムギ、少し泣きそうじゃなかったか?」


「……え? そんなことはないよって言いたいけど少しだけ寂しかったかな。でも泣く程寂しくはなかったよ。」


 泣きそうだったのかな? 自分では分からなかったよ。まだ5歳だから精神が引っ張られているのかな?


「……ルーカ。俺達はキスに夢中になって、ツムギに寂しい思いをさせていたのか……罪悪感がやばい」


「……お兄様。どうしましょう?私達何か罰を与えてもらわないと気が済まないのだけど」


 罰!? 罰は絶対止めてほしいよ! クー兄様とルー姉様は何も悪くないのに。


「ちょ、ちょっと待って! 罰なんて辞めてよ! クー兄様とルー姉様が辛い思いするのは嫌だよ! ……父様?」


「ま……待て、俺がそんなひどい事するわけないだろう? ──だが、寂しい思いをさせていたのは事実だ。」


 良かった……罰はなくなった。確かに少しは寂しい思いはしてたけど、それは私が悪いからだよ。うーん。どうすれば寂しさを紛らわせるのかな?


「そうだ! 私が我慢するから大丈夫だよ!」


 うんうん。我ながら名案だ。大好きな家族には迷惑はかけたくないよ。


「それは違うだろうツムギ? お前が我慢してどうするんだ。まだ子供だぞ。もっと家族に甘えて我が儘を言ってくれ。俺達がツムギの事を気にかけてなかったから起きてしまったことだ。自分を責める必要はない」


「うん。分かったよ。とーさま大好き!」


 嬉しくなって飛びついて抱き着く。父様の顔がデロンデロンになってる。これじゃあ私を気遣うつもりで言ったのか、抱き着いてほしいから言ったのか良く分からないね! でもね、とっても感動しちゃった! 何て優しいんだろう。でもこの優しさに甘えすぎちゃいけないね! ……我が儘かー。特に欲しい物もないし、今の生活で十分すぎる程満足してるからね。──あっ! 一つあった! 魔法を使いたいんだ! 火の玉とか水の玉とか私が想像しないような魔法が沢山あるよね! うへへ……とっても楽しみだよ。

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