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今回少し文字数が少ないです。申し訳ございません。
ちょっと忙しくて・・・
「うー……トイレトイレ……」
背が小さいからベットが広いからベットから降りるのも一苦労だよ。こんなに大きいベットじゃないくてもいいのに。
でも、ベットから落ちないように大事にされている感じがして安心するね。
夜だから部屋が暗いなあ……。明かりがほしいなあ。
右手を下げて、手を丸めて親指を動かす。光が出てきた。丁度良い明るさだ。
ふぁー……眠いなあ……。欠伸をしながらトテトテと歩いて扉を開く。
「……姫様? それは一体なんでしょうか?」
シャルさんが少し驚いた顔をしている。珍しいね。
シャルさんは一体何を言っているんだろう? あっ、この光の事かな?
「そっか、廊下は明るいから光は必要ないね」
「ふふふ……。どうされました? 姫様」
「うん、トイレに行こうと思って」
「一緒に行きましょうか?」
「大丈夫。一人で行けるよ」
廊下を歩いてトイレに向かう。一人で歩くのは久しぶりだから新鮮だね。
いつもはメイドさんや家族がそばにいるからね。あ、嫌じゃないよ。全然嫌じゃない。むしろ嬉しいよ。
皆と一緒にいるから普段見ない場所も目が行くね。廊下に花瓶が飾ってあるし。凄く綺麗な風景画が壁に飾ってある。
本当にこういうのを見ているとお金持ちなんだなあ……と実感するね。お姫様だから当たり前なのかもしれないけどね。
「シャルさん、戻ったよー」
私の部屋の前の扉で椅子にシャルさんが座っている。そう。私は今一人で寝ているんだ。
一人で寝るのを家族が反対してて妥協案としてメイドさんを毎回一人部屋の前に待機させる。というのに決まったんだ。
そんなことしなくてもいいのに……メイドさんが毎回大変そうだよ。
そう思って聞いてみたけど誰も大変じゃないっていうからね。その好意に甘えさせてもらっているんだ。
「姫様、おかえりなさいませ。大丈夫でしたか? 転びませんでした?」
「大丈夫だよ……。そこまで子供じゃないよ!」
「ふふふ……失礼いたしました」
シャルさんが柔らかく笑っている。むむむ……。
「まったくシャルさんは……。部屋の中に戻るねー。シャルさんおやすみ!」
「はい。おやすみなさいませ。……姫様? 部屋は暗いですよ?」
そっか、そうだよね。右手を下げて、手を丸めて親指を動かす。
「これで明るいね? じゃあ改めておやすみ!」
「……5歳で無詠唱ですか。流石姫様です。 おやすみなさいませ」
扉を開けてベットの中に潜るように横になる。
ふふふ……全くシャルさんは私の事を心配しすぎだよ……。そんなに私危なげないのかな?
……あれ? シャルさんは何で驚いていたんだっけ……。
あっ! そうだ! もしかして私、無意識に魔法を使っていたの!?
ベットから急いで降りて確認する。
右手を丸めて親指を動かす。懐中電灯くらいの明るさの光が手のひらの中に納まっている。
もう一度付ける、消す、付ける、消す。
達成感も何もないけどいつの間にか出来たよ! もっと悩んでイメージしてできると思っていたのに!
あっ! シャルさんどうして伝えてくれなかったの!
走って扉まで行き、扉を開ける。
「シャルさん! いつの間にか魔法使えてたよ! 達成感ないよ! 何で伝えてくれなかったの! もう嫌い! ……あれ? シャルさん遠回しに伝えてくれてたよ! ごめんね!」
「姫様に嫌われてしまったら、死を選ぶしかありませんでした。ふふふ。姫様落ち着いて下さい。可愛らしすぎです。愛らしいです。どうでしょうか? 魔法を使った感想は」
からかったような、でも凄く優しい笑顔で見つめてくれる。
私に嫌われたら死ぬって怖いよ! 絶対に辞めてよね!
「シャルさんを嫌いになるわけないから安心してね。シャルさんごめんね。ちょっと興奮しちゃってね。魔法を使った感想とは言っても、あっさりと使えて現実感が全くないよ!」
「ふふふ……。魔法はそういう物ですよ。正直魔法が使えている理由は分かっていませんので」
「やっぱり謎パワーなんだね……。何だか憧れが壊されちゃったよ! あ!明日になったら使えなくなってるとかってあるの?」
「一度使えるようになってしまえば使えなくなる。ということはありませんのでご安心下さい。申し訳ございません。王族の方々でも分からないので私たちが分かるはずがございません」
そっか……。明日になったら使えなくなってたら悲しいからね。一安心だね。
「なら良かったよ! あっ、シャルさん一緒に寝る?」
「本当ですか!? 今からベットに行きましょう!
ひい!? シャルさん必死すぎて怖いよ! 何か目がちょっと血走ってる気がするよ!
「わわわ! シャルさんそんなに焦らないで! 止めて服脱がないで! 色々当たって柔らかいよ! やっぱり一緒に寝るのはなし!」
「そんな……。最高の癒しの時間が……」
「そ、そんな顔しないで! ごめんね! ……えーと、元気出して!」
「ふふ、冗談ですよ。姫様。では、私は部屋の前に待機していますね。おやすみなさいませ」
シャルさんの服がいつの間にか元に戻っている。さっきのはもしかして目の錯覚だったのかな?
綺麗なお辞儀をして部屋から退出する。でも凄い絶望していたのを私は見てしまっている。
シャルさんにはちょっと悪いことをしたかもしれない。でも、服を脱ぐのはないよ! 怖いよ!
後で埋め合わせしないとね。シャルさんに悲しい思いさせると私も悲しくなっちゃうからね。




