第二話 抜けられぬ枷
どうぞよろしく
コツコツコツコツ
暗い夜道、俺はたった一人で
その暗がりを進んでいた
あたりは寝静まり
いつも賑わいを見せる
中央通りの繁華街には俺の足跡が
不気味に音を響かせている
ドスドスドスドス....
遠くから何やら足音が聞こえると
思うと、俺は即座に囲まれた
「貴様、こんな夜遅くに何をしている」
これは..、なるほどな
「やめてくださいよ、ガルスさん」
そう、今俺の前に立っているのは
元職場の上司だ。
「ふ、貴様のことだ。
どうせ病弱なお父上も放って夜逃げを
もくろむ事じたい想定済みだ
観念して同行しろ、今ならお父上の命だけは
助けてやってもいい。」
やっぱりだ。
最初から俺を泳がせて
少しでも罪をなすり付けやすいようにと
ボロを出す所を抑える為に
ずっと監視されていたのだろう
国家の節約のためとかなんとか言って
ずっと補助金申請を門前払いにしたくせに...!!!
悔しさと無力さが相まって、
俺は拳を強く握りしめる
ギィッ、、、ジリジリ
多少痺れるが、恐らく気のせいだろう
こうなったらもう、逃げる手立てはない
ない、、ない、、、、、、だけど
逃げる!!!
ダッ!!
俺は最後に望みを賭け思いっ切り
走り出した
「乱心したか、取り押さえろ!!!」
シュッ...
スタタタタタァン!!!
その時だった。
俺が一歩目を踏み出した瞬間
視界の景色が一瞬歪む
とうとう、お迎えが来てしまった
ビュルルルル!!
そう思ったのも束の間
俺は気づくと繁華街の屋根のすぐ上、
体はバッタのように軽く
空に飛ぶ?、、いや、飛ばされていた
バサバサバサ
重いオーバーコートが風を受けなびいている
「こ、これって...」
何が起こっているかわからない
大体なぜ俺は今、空の上なんだ!?
ビュルルルル!!
ってヤバい!!地面が近づいてる。
折れる折れる俺の足!!
ガタン
オワッタと思った
その時、なんと俺の足は
直立して屋根の上に立っていた!!!
「な、なんだあのスピード!!
逃がさん、追え、追えーーー」
100メートル前で上司が焦って
怒声を上げているのが聞こえる
一体、何があった!?
俺はこの手の魔法を習得した
覚えはない。しかもあの突発的
に突然、、、
まさか
父さん!?
しかし、ここ数時間で変化があった
といえばそのくらいだし
それ以外に原因を求めることも
いささか不自然だ。
か、確認のためにもう一回...
ジジジジジ...バリィン!!!
は、速い!!!
これなら、本来
島国でマリスからは船で行く。
これだけの速さであればケルティアにも
俺が水を歩いていけるかもしれない
父さん、まさかこれだけの魔法を
使えたなんて、、
一体、何者なんだ
とにかく急ごう、
不正出国は犯罪、亡命をするなら
警備の手薄な夜しかない。
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「うん、だめ」
俺はその一言に絶句した。
ここはケルティアの首都:ルメーロ
最大の冒険者ギルド
一晩中に俺はケルティアに到着し、
貨物船の倉庫の中で一晩を過ごした
そして今日、
ここで俺は
冒険者登録が可能なはずだった。のだが、、、
「ど、どうしてですか!?、
冒険者ギルドに国籍は関係ないんじゃ?」
そして見えすいたような口調で
男はゆっくりと話し始める
「いや、そのくたびれたカバン、
裾がボロボロの服って
どう考えても君、マリスからの亡命でしょ?
君みたいなのに入られると
国から怒られちゃうんだよ
ただでさえ昨今、移民の納税不払いやら
労働需要の競争やらで移民に対する
締め付けが厳しいからね
ごめんね。
まあ、若いんだからさ、
体が資本!!
よかったら他の業種、紹介するよ?」
対応したギルドの男性は
申し訳なさそうだった
「は、はい。ありがとうございます」
俺は感謝の意を示しつつも、
ギルドの出口への俺の足取りは重かった。
ギィィィィ
ギルドの扉が嫌に重く感じる
バタン!!
俺は不意に入ってくる人にぶつかってしまった
「ああ、すいませんっ!!」
俺は素早く謝り、足早にその場を離れようとした
するとその時、
「何アイツ、」
「汚ねえなぁ」
「誰?、あんなのギルドに入れたの」
「やだ、シラミ移さないでよ」
ふとすれ違った拍子に向こうの声が
聞こえる
ストレス故の幻聴だろうか
いいや、にしてはリアル過ぎる。
そして振り返ることも怖くなり
そこからしばらく走って数メートル
そのギルドから離れた
怖い、全てのものをそう感じた
何も知らない土地で
右も左も分からない。それだけならまだいい、
味方の、仲間の、一人もいないこの場所で
俺は一生、生きていかなくてはいけない
それが恐怖以外の何かであるだろうか
不安に駆られ、俺は日中の暑い日差しが
照りつける中、
ただただ無我夢中で走り続けた。
ジリジリジリジリ...
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そのくらい進んだだろうか
辺りはすっかり暗くなり、
俺はどことも知らない
場所の路地で一人、うずくまった
これからどうしよう。
一通り暴れ回ったことで
頭が冷静になり、
とりあえずの考えを巡らせるようになった
冒険者以外で、建設業、
飲食業、武器屋に弟子入り、
とにかく、魔法の知識など生かされなくても
構うものか、とにかく働き口を
そしてふとして時、俺は眠りについていた。
ご購読ありがとうございます
作者からの懇願
ブックマークと評価ください!!
お願いします。星一で良いんです
コメ欄荒らしても・・・いやそれはちょっとだけど
とにかく評価ください!マジで!!!