第一話 国外追放
しばらく、連続投稿します。
ガチャン!!
強い音がした。
床を見ると
ティーカップが茶をこぼしながら割れている。
一体どうしたというのだろう
ああ、そうか.....
俺はアルフ・ウォーレン
持病の父を持つ17歳、
物心つく頃には母は他界し、
目の前の頬にシワを深く刻んだこの男
父:クリス・ウォーレンとこのボロ屋に住んでいた
俺は魔術学校を出た後
家庭の為、国家財務局に勤め
今まで必死に働いてきた
そして、、
今日、俺はこのボロ屋を出ようとしている
ベッドには小枝のように細々とした
腕をした父の姿があった
タライにはまだ水が汲んだままであり
看護のためにと狭い家の中を歩き回ったせいで
ベッドの周りの床だけすり減っている
のが踏むだけでわかる。
どうしてこんな事に
先日、俺の元にある一通の手紙が
届いた
文面にはデカデカと”永久追放令”の文字があり
その内容は大まかには次のようなものだった
アルフ・ウォーレンは
民が心血を注いで貢いだ国の財源を
自らの身勝手な意思で不正に使用し
結果、多くの民と王朝への信頼を踏み躙った
これは国益を著しく損ねるものであり
粛清を持って民への償いとすることを命じる
処刑は明後日の明朝
それまで自宅で待機せよ
父は数年前から足を悪くし歩けない
元々、体があまり丈夫ではなかったことも原因だ。
その上流行り病との合併症をおこし一刻も早い
治療が必要だった
容体は日に日に悪化の一途を辿り
立つことは愚か1日に目を覚ます機会も
最近では減ってきていた
当然、長距離の旅などもってのほか
そう、父を置いて逃げることの出来ない今
俺はその時を待つ他ないのだ
しかし、俺にだって言い分はある
俺は国の財源を不正に利用などしていない
当たり前だ
第一、国の資金の不正利用だけで
首がいちいち飛んでいたら、この国は今頃
死体だらけだ。
恐らくは、大臣の一人が横領した国費を
バレたら不味いところにでも使ったんだろう
どうせ、公に晒される事を恐れて
なすりつけ先が回り回って俺にきた格好だ
全く、
人の名誉をなんだと思ってる
今日未明、父は流行り病による発作で
もがきながら 他界した
無理もない、元々丈夫な方ではない上、
こんな不衛生な所に一年以上もいたのだ
暗い部屋で一人、死という選択だけが
手元に残る
本当は
夜逃げしようかと何度も思った
しかし、弱っていく父を
目と鼻の先で見ていた俺に
そんな気概など湧いてくる訳もない
それが皮肉にも、この日
ちょうど発作が起こってから
脈を確認した後、
たまたま、、、その時、決心が固まった
わかっているさ
自分でもよくわかってる
それでも俺にそれ以外の選択肢はあり得ない
そんなふうに自身を納得させなければ
不意に、、、
胸が張り裂けそうになる
頭痛で頭がちぎられそうになる
一瞬でも気を抜いた途端、
狂いそうな気がしてならないんだよ
最後に父と飲むはずの
紅茶を、手から離してしまうあたり
やはり動揺もしているのだろう
「父さん、ありがとう...」
それだけを言い残し、部屋を出ようとしたその時、
俺は不意に父の枕の下に不思議な紙袋を見かける
ガサガサ......
一週間前には無かったものだ、
これは、、、魔水晶?
フィィィィィィィン!!
俺がそれを手に持った時
魔水晶は黄金に光り始める。
人物が投影され、そこにいたのは紛れもない
まだ父が、
俺にモノを教えてくれていた時の姿が
そこには映されていた。
「アルフ、聞こえているか?
恐らく俺がお前にこれを見せる
事を決めたってことは、
俺になんらかの有事があったんだろう
この映像は海王暦350年のものである」
今から50年前か、となると、、俺はいくつだよ。。。
「話しておかなくてはならないのは
俺の魔力について、俺の魔力性質
閃光雷は
継承される力だ。
俺も、元は他の人間から受け継いだのだが
その性質をこの水晶に込めた
最後に、そこを出て他を当たるなら
ケルティア王国に行くといい
あそこは、、、まあ良いところさ。
幸運を祈るよ、愛してる」
ピキンッ!
そう言い残すと、その水晶が割る。
サァァァァァァ、、、
ジリジリジリ...
ドシン!!ゴロゴロゴロ!!!!
破片が
光出したと思うと、その光は俺の全身を包み
俺の体を雷撃が貫く
「!!!!!??!!!」
思わず尻もちをついた
数分の後、その光は消えていく
痛かった、驚いた、苦痛でもあった
しかし同時に、
あれ....?何故だろう。涙がススまみれの手を
したたり落ちる。
ああ、そうだった、こんな人だったっけ
いつも適当で無鉄砲で、誰彼構わず金かして
挙句損して、それでも笑ってて、、、
詰め込み教育でほとんど実践向きの魔法をせず
魔術学校を卒業した俺にとって
魔力性質(属性だね)を一つ増やしたから
どうということはない
これ自体、父が使ったものであるなら
尚更、実践向きではないのだろう
だけど、そんなこと関係ない
父が俺を送り出してくれたのだ
これで気持ちが割り切れるわけでは到底ないが
それでも夜逃げするくらいの
気力はできた
ガシャッ
最低限のものだけを荷物に
よれたリュックサックを担ぎ
俺は家を後にした
ご購読ありがとうございます
作者からの懇願
ブックマークと評価ください!!
お願いします。星一で良いんです
コメ欄荒らしても・・・いやそれはちょっとだけど
とにかく評価ください!マジで!!!