第8話 反逆のタイヘーン
『ズゴゴゴゴ!』
地上のロボキッズ王国中央に位置する噴水池に偽装したカタパルトからタイヘーンがせり出す。タイヘーンスリーは3人で操縦するのが不文律だが、一人でもまあまあ動かせるのである。
『生まれて初めてのスーパーロボットの操縦に興奮してます! よ〜し、いくぞ。さあ、空を翔べ!』
ナイクがコントローラーのキーを押し込むとタイヘーンスリーが背嚢からジェットを噴出。力加減が分からないので若干、カタパルトに被害が出る。が、ロボキッズ王国は年中閑古鳥が鳴いてるので人的被害はない。そのままカタパルトを吹き飛ばしつつタイヘーンが上昇。飛行形態を取り、場面は海上上空に移行。
『さすがはスーパーロボット。空をスイスイ飛べます。これは実に気持ちがいい。おや? これはレーダーかな? 何か飛行物体が接近してますね?』
レーダーが捉えたのは日本の航空防衛隊主力機、F-1.5スーパーアルバトロス編隊であった。
『あー、あー、我々は航空防衛隊である。未確認機に告ぐ。そちらは現在我が国の領空を侵犯している。直ちに領空から退去せよ。退去しない場合は即刻撃墜する。我々は本気だ』
『うーん、日本語なので何を言ってるのか分かりません。どうやらこのスーパーロボットにケンカをふっかけているようです』
防衛隊の警告をナイクが無視していると防衛隊機は戦闘フォーメーションを組み、ミサイルを発射。
『おっと! 敵がミサイルを撃ってきました! そ〜れ、躱せえ!』
飛来するミサイルを鮮やかに躱すタイヘーンスリー。
『どうやらこのスーパーロボットと空中戦をやりたいようです。相手にとって不足はありません! では、性能テストも兼ねて実戦とシャレこみましょう!』
ヤル気満々で迎撃に出るナイク。
空中で回頭し編隊と正対。編隊が散開して回避行動に出る。が、ナイクは即座に反応。一機に狙いを絞って接近し、ゼロ距離から蹴りを命中させ叩き落とす。
『イエーッス! まずは一機撃墜! さあ、お次はどいつだ!?』
態勢を立て直した3機が編隊を組み、機銃を掃射しながらタイヘーンに突っ込みを仕掛ける。が、これもナイクは絶妙に躱しつつ先頭の一機に肉薄。そのまま先頭の機体を踏み台にして続いて突っ込んできた2機目を叩き落とし、立て続けに3機目はハンマーパンチで撃墜。ナイクがガッツポーズを決める。さらに逃げ出した残る機体にもナイクは情け容赦なく追撃。
『エマージェンシー! エマージェンシー! 未確認機は高い戦闘能力を有するスーパーロボット! 直ちに増援を乞う! うわああああ! た、助けてくれーっ!』
航空防衛隊員の絶叫虚しく防衛隊機は全機撃墜。辺りには脱出した隊員のパラシュートが宙に浮く。
『ハッハーッ! さすがはスーパーロボット! 日本の防衛隊なんかメじゃありません! やっぱりスーパーロボットは最高です!』
カメラに向かって喜びを爆発させるナイク。
「これ、大丈夫か? 国際問題どころか戦争になるんじゃね? てゆうかもうこれ戦争だろ。いくら世界のアドべンチャーチャンネルでも冒険しすぎだろ。しかも俺より操縦上手いのがなんかムカつくわー」