第6話 隠蔽されたバイヤー
画面は車を運転するナイクに移る。
『今回買い付けるスーパーロボットは売り物ですらありません。また、市場に出ているものでもないので価格設定も困難です。恐らく相手はこちらの足元を見てくるでしょう。そこをうまくやり過ごすのが私の仕事です。必ず安く買い付けて、利益を出して見せます!』
ナイクの運転するSUVはエデンをカムフラージュしたテーマパーク、ロボキッズ王国に到着。
『こんにちは! あなたがハカセさんですね? 私、電話したナイクです』
画像には何故か加工がされており、ナイクを出迎えた人物にはモザイクがかけられていたが、そのシルエットは誰がどう見てもハカセであった。そのハカセらしき人物は登場と同時にナイクとガッチリ握手。
『お待ちしてましたよ、ナイクさん。実は私、スクラップカーブローカーズの大ファンでしてね。お会いできて光栄です。でも、商談には、私情は挟みませんからね』
『ワーオ! 私の番組を見て頂いていた方がこんな遠い国にまでおられたとは驚きです! ここはひとつ、お手柔らかに頼みますよ!』
『デッデッデーン、デレレレーン』
アイキャッチが入り番組はCMに移行。
「今さらこんなこと言うのもバカバカしいんだが……お前バカじゃねえのか? なにスーパーロボット買い付けに来たブローカーを暖かく出迎えてんだ。しかも何だあのモザイク。あんなもんでごまかせると思ってんのか。誰がどう見てもオッサンじゃねえかよ」
「いや、お前の言いたいこともよっく分かる。でもさ〜 あのスクラップカーブローカーズが買い付けに来たんだぞ。そこは暖かく出迎えて番組の盛り上げに貢献するのが大人の対応ってもんだろ」
「大人の対応はまあいいとして、何なんだよ。あのクサい小芝居は。お前普段からあんな物言いしねえだろ。なにキャラ盛ってんだよ」
「いや、そりゃハカセだってヤラセはまずいとはちょっとは思ったんだぞ? でも撮影クルーに注文付けられるとついついやっちゃうから不思議だよなあ」
「それは別にどうでもいいんだが、まさかとは思うがオッサンがコイツにタイヘーンを売り飛ばしたなんてことはないよな? あくまでも強奪されたんだよな? 俺は最初にそう説明受けたぞ」
「そう早まるな。もうしばらく黙って見ていろ」