第47話 破れ! 邪悪なる幻影
「くっそう……まさかこんな怪しいオッサン一人に苦戦させられちまうなんてよ!」
歯ぎしりするヤスオを余所にタン・バリン師は再びウェドに向かってタンバリンを叩く。
「ほ〜ら、お前は死ぬまでヒンズースクワットをやりたくな〜る」
タンバリンの音色が響くとウェドが狂ったようにその場でスクワットを始めた。
「うわあーっ! スクワットがやめられない! 助けてくれーっ!」
「ふふふ。我等が神の前ではあまねく人がひれ伏すのだ。さあ、次はそっちの威勢のいいハゲだ」
タン・バリン師がヤスオに狙いを定める。ヤスオは堪らずそばにいるハカセムナッシーに小声で囁く。
「おいオッサン! テメエは幸いにもいまムナッシーだ! 俺らに人質に取られたとかなんとか言ってタン・バリンに接近してあのタンバリンを奪い取れ!」
「わ、分かったなっし。とりあえずやってみるなっし」
ハカセムナッシーができうる限りのコミカルな動きでタン・バリン師に近付く。
「さっすがタン・バリン様なんだなっし。ちなみにこいつらをここまで連れ来たのはムナッシーなしよ。褒めてほしいなっし〜。なしなしなっし〜」
タン・バリン師が距離を詰めるハカセムナッシーをしばらく凝視する。
「貴様、ムナッシーではないな。私の可愛いムナッシーはそこまで過剰に媚び振り撒いたりはしない」
「……スマンなっし。早々に見破られてしまったなっし」
ヤスオのもとに舞い戻るハカセムナッシー。
「この、バカが! ここ一番って時にやたら気合を入れやがって! こういう場合はほどほどでいいんだよ!」
「ムナッシーを騙って私をたばかろうとは許しがたい。まずはお前だ。お前は永遠にコサックダンスがしたくな〜る」
タン・バリン師がハカセムナッシーに狙いを定めてタンバリンをチャッチャッチャッと鳴らすとハカセムナッシーが狂ったようにコサックダンスを踊り始めた。
「や、やめてくれなっしー! 膝がえらいことになるなっしー!」
「ムナッシーに化けた罪は万死に値する。最後は貴様だ。ハゲ」
タン・バリン師がヤスオに狙いを定める。背後でウェドが弱音を吐く。
「た、頼む〜。このスクワットをやめさせてくれえ〜。もう両足の筋肉がパンパンなんだよお〜」
その様子を見てヤスオが無様に態度を翻す。
「ま、待て! 俺はホントはお前らと敵対する気なんかなかったんだ! こいつらに無理やり付き合わされただけなんだ! 俺を仲間にしてくれ! アンタに絶対の忠誠を誓うから! な!?」
が、ヤスオの見え透いた懇願などタン・バリン師は当然聞く耳など持たずタンバリンを構える。
「見るに耐えぬ。貴様にはまず手始めに私のピーッ!(電子音)でも舐めてもらおうか」
「や、やめろお! やめてくれ! タン・バリン様あ!!」
「ほ〜ら、お前は這いつくばって私の✕✕✕を舐めたくな〜る」
タン・バリン師がチャッチャッチャッとタンバリンを鳴らす。
「……なんだ? 何も起きねえじゃねえか?」
頭を抱えしゃがみこんでいたヤスオだったが特にそんな気分にもならない。
「あれ? おかしいな。ちょっと待っててくれ。もう一度やり直すから」




