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第4話 アンタを……殺す

「何言ってやがる。一度たりとて苦戦なんかしてねえ。互角どころか毎回圧勝してるっつーの」

「はあ? あんたアホォ? 最近こそ勝ちを拾ってるっぽいけど、初戦は言い訳できないほど完敗して運良く不戦勝みたいになってたじゃないのよ」

「そうだったか? まあ最初は操縦にも不慣れだったから苦戦したように見えたかもしれねえが、少なくとも負けたことは1度もねえ」

「くっ!」


 千枚通しの先端を親指で圧し折るエリザベス。


「ま、まあ、アンタの顔を立ててそういうことにしといてあげるわ。それより、あのクイーンミダラのパイロットって、一体どんな奴なのかしらね? アンタのパイロットとしての所見を聞かせてもらえない?」


「そうだな〜 俺が言うのもなんだが、まあ大したことのないザコだな。お世辞にも操縦は上手いとは言えねえし、クレバーさやプレッシャーは微塵も感じねえ。二手、三手先どころかなんも考えてねえのが丸わかりだな。とりあえずロボットの性能だけはタイヘーンより格段に上っぽいから互角にやり合えてるみたいだが、俺の操縦センスがその遥か上をいっちまってるから機体性能差なんかあっても意味ねえな」


 ニコニコ作り笑顔をしつつもエリザベスのこめかみに血管が浮き出ている事実にヤスオは気が付かない。


「……まあ、操縦技術の方はいいとして、パイロットとして他に何か気付くところはない? あの戦いぶり、ワタシ的にはかなりの高貴さとかエレガントさとか品の良さとかを感じて仕方がないんだけど」 


「そんなわけねえだろ〜 実はここだけの話、あのロボットのパイロットってお前とそっくりな声と名前をしている自尊心がめちゃくちゃ高くて頭の痛い脳内お花畑のイカれたメンヘラ女なんだわ。間違っても高貴な育ちなわけがねえ。たぶん男にでもふられたショックでヤクでもキメてどっかからロボットパクってラリった頭で大暴れしてるだけだろ。そうとでも考えなきゃ論理的に説明がつかねえ」


 ガラガラっ!

 おもむろにエリザベスが引き出しから予備の千枚通しを取り出す。その意味不明な行動の理由などヤスオには想像もつかない。エリザベスが両手に千枚通しを装備した次の瞬間、


♪ ピ〜ピッピッピ か〜けちゃった ピ〜ピッピッピ か〜けちゃった


 突如、ヤスオのスマホから着メロが流れる。この着メロは緊急事態を告げるエデンのスクランブル要請である。ヤスオに緊張が走る。


「なに? いまの妙な着メロ。もしかしてアンタ、カノジョでもいるの?」

 怪訝な顔を向けるエリザベス。

「ああ、まあ、そんなようなもんだな。ワリィ、急ぎの用だからこれで失礼するわ。」

「ふーん。カノジョなんかいたんだ。ずいぶん物好きな女もいたもんねー 顔を見てみたいわー」

 エリザベスが言い終わらぬうちにヤスオはすでに駆け出していた。


 グワシャ!


 ヤスオを見送った後、拳で目の前のたこ焼きプレートを叩き潰すエリザベスであった。


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