第39話 第二次潜入作戦 替え玉でゴー! その6
「やっぱりムナッシーは最高だぜえ! ほら、遠慮しねえで飲め飲め」
ベロベロに酔っ払った兵士がハカセムナッシーの首に腕を回し、ワンカップを口らしき部分に押し当てる。が、もちろん本物の口ではないので酒がダダ漏れ。内部のハカセが息を詰まらせる。
「ブフォッ!! や、やめてくれなっし。ムナッシーは18歳未満だから飲酒はお断りなっしよ」
ハカセムナッシーがその場から逃れようとするも酔っ払った兵士たちに揉みくちゃにされる。
「ようムナッシー。そういや、いつものアレやってくれ! やっぱアレをソレしねえと盛り上がりに欠けるよなあ」
アレなどと言われてもハカセムナッシーには何のことやら分からない。
「え、えーっと……いつものアレって、何のことなっしかなー」
口元に手を当ててトボけるハカセムナッシー。すると先刻まで上機嫌だった兵士が顔色を変える。
「ああ〜ん? アレを知らねえってのか? なんかおかしいなあ。オメー、ほんとにいつものムナッシーか?」
身の危険を感じたハカセムナッシーがそれとなく探りを入れる。
「ああ、アレなっしね……いや、やりたいのは山々なっしけど、ちょっと今はそういう気分じゃないなっしなー。アレについて色々ホメてくれたらやってあげなくもないなっしよー」
「お願いしやっす! ムナッシーさん! あの軽トラひっくり返すパフォーマンスは俺らの明日へのエネルギー源なんっす! 何卒、あのパフォーマンスで俺らに元気を分けてくださいっす!」
その場に這いつくばって懇願する兵士。アレの内容は分かったが、とてもハカセの体力ではできそうにない。
「え……あれって、ちょっと違う奴がやってたような気がするなっしが……う〜ん、やってあげたいけど、近くには軽トラもないし、今はできそうにないなっしね〜。残念なっしな〜」
「何言ってんだよ。あれで代用すりゃいいだろ。ちょっと軽トラよりウェイトはあるが、ムナッシーなら気合入れりゃなんとかなるだろ」
「ンゲッ!」
ハカセムナッシーが衝撃を受けたのも無理はない。兵士が親指で指した先にあったのは軽トラのゆうに3倍の重量はあろうかという軍用トラックであった。




