第24話 村貫の真意
『♪チャ〜ン〜チャ〜ン〜チャララチャ〜ンチャ〜ン』
「なんだこの音楽? お昼ごろに放送されてるラジオ人生相談のテーマ曲っぽいが」
ヤスオの言うとおり、録音機器から流れてきたのは人気長寿番組、ラジオ人生相談のテーマ曲であった。メロディが終了すると何事もなく番組が再生される。
『こんにちは。パーソナリティの堂 貞三です。さあ、あなたの苦しみを吐き出しましょう。それは新しい人生の始まる時です』
『トゥルルルル、トゥルルルル。ガチャッ』
『はいこんにちは。ラジオ人生相談です。まずはアナタの年齢をお聞かせ下さい』
『47才既婚。現在公務員をしております。夫は50才。子供はおりません』
「おい、この声、さっきの村貫のおばさんの声じゃねえか。こんな人生相談が抜き打ち調査の抜け道とどう関係あるんだ?」
ヤスオの疑問にハカセも首を傾げる。
『はい。では、本日の相談というのは?』
『ええ……実は私、現在不倫をしておりまして、いえ、それは別にいいんです。お互いに既婚者でも離婚する気なんかなくても満足してるんです。ただ、どうもその不倫相手が最近スーパーロボットにお熱のようで、全然かまってくれないんです。秘密基地的なものを作ってスーパーロボットバトルに入れあげて私のことなんてまるで眼中に無いようなんです。これって、もう飽きられてしまったのでしょうか?』
「おいおい、まさかとは思ってたがお前あのおばさんとダブル不倫関係だったのかよ? あんたらの口ぶりからなんとなくそんな気はしてたけど。しかもラジオ人生相談に相談持ちかけるほど深みにハマってんのか」
ヤスオのツッコミに咳払いしつつ答えるハカセ。
「う、うむ。知り合った頃はお互いの仕事なんて知らずに関係持ったんだが、たまたま仕事で顔を合わせる機会があって、そのままなし崩し的に深みに入っていったというか」
「そこで関係維持するお前らも大概だな。まさか調査する方と調査対象が不倫関係なんて奇跡の人もビックリの奇跡の関係だぜ。あのおばさん、逮捕されなきゃいいけどな」
二人のやりとりを余所に番組は続く。




