第20話 本命登場
「ぶはははは! 冗談きついわ! その顔でにらめっことか勘弁してよね! 私を笑い殺す気!?」
爆笑しながらその場でのたうち回るエリザベス。ハカセが不甲斐なく牛乳かけられたヤスオの頭を思い切りはたく。
「バカヤロ! お前が牛乳ぶっかけられてどうする! そんなもん誰も待ってないんだよ! 少しは展開ってもんを考えろ!」
「ムフフフフ、ムフフ、ムフフ」
口答えしようにも牛乳含んでいるため何も言い返せないヤスオ。その間にエリザベスがひとしきり笑い、涙を流しつつも平静を取り戻す。
「さて、ウォーミングアップも終わったし、そろそろ本番といきましょうか。次はあんな調子にはいかないから覚悟してよね」
「ふざけんなよこのクソアマ。俺の顔面に牛乳ぶちまけておいてウォーミングアップもクソもねえだろ。勝負は俺の勝ちだ。もう帰ってくれ」
牛乳を処理し口がきけるようになったヤスオがエリザベスを窘めるが、ハカセが制止する。
「まて荒死郎。こんなにあっけなく勝負がついてはこの女も到底納得はすまい。次はこのハカセが直々に相手してやる。荒死郎に負けたくらいでいい気になるなよ」
「いや、もう俺勝ってるからわざわざまた勝負する必要もねえだろ。なんでオッサンまで参戦してくんだよ」
「そう心配するな。今度こそハカセが光の速さでこの女の顔面にいい感じで牛乳ぶちまけてお前の無念を晴らしてやる。カウントは頼んだぞ」
「てゆうかお前ただエリザベスが牛乳かぶったとこ見たいだけだろ」
今度はハカセとエリザベスが牛乳を含んで仕切りなおす。勝負のジャッジをヤスオが務める。
「じゃあ第二戦いくぜ。もう泣きの一回は認めねえからな。 ♪に〜らめっこし〜ましょ、笑〜っちゃダメーーー」
ブバッ!!
ヤスオがカウントを取ってる最中にエリザベスが豪快にフライングをかまし今度はハカセが顔面牛乳まみれにされてしまった。
「ぎゃはははははっ! ハゲた白髪でヒゲのおっさんが……口に牛乳含んだまま……顔面牛乳まみれに! ヒーコラ」
再び腹を抱えてのたうち回るエリザベス。
「おいオッサン! お前が光の速さで牛乳ぶっかけられてどうすんだよ! 意味のねえ第二戦やらかしてんじゃねえ!」
ヤスオに罵られるも口に牛乳含んでいるため言い訳もできないハカセ。
「見苦しい諍いはやめなさいよ。次は私が仕切ってあげるから、アンタたち二人で決勝戦を行いましょ」
なぜかエリザベスのジャッジでヤスオとハカセで決勝戦を戦うことになった。もう二人は不甲斐ない相棒に腹いせの牛乳ぶっかけることしか頭にない。
「♪に〜らめっこし〜ましょ、笑〜っちゃダメよ、笑〜うと負けっけよ、牛乳ふっくんっで、アップップ!」
ブバ!!
開始と同時に二人が牛乳を吹き出し、ヤスオとハカセは相打ち。またもや二人揃って顔面牛乳まみれとなり、エリザベスの爆笑ばかりが司令室内にこだましていた。




