全ての始まり
「はぁー、どうしたものか」
教室の席につくと、ため息をつきながら、そう独り言が漏れた。
僕は、今悩んでいる。とても深刻な問題だ。
「お〜、悩んでるねぇ〜。路頭に迷ってそうな君にこれをあげよう」
そう言って、5円玉を渡して来たのは、僕の数少ない友人の一人山野木葉だ。
そうして、僕の頭を悩ませている原因でもある。
「ありがとうございます。これでう○い棒を半分だけ買わせていただきます」
「お〜、そんな量り売りみたいなことをしてくれるところがあるなんて驚きだよ」
そう、僕は木葉の事が好きだし、こんな会話が好きだ。これから僕はどうやって接していくか、日々悩んでいる。そうして、一つの結論をだした。
それは、一人で悩んでいても埒があかないという事だ。
僕は、とある男に連絡を入れて、HRまで木葉と喋っているのだった。
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キーンコーンカーンコーン
僕が眠気と戦っている時に、チャイムが鳴った。しかも、これはただのチャイムではなく、4時限目終了のチャイムだ。つまりこれが意味するのは、勉強からの一時の解放である。
晴れて自由の身となった僕は、朝からの約束を果たしにいくのだった。
「おーい、そらそら。朝の約束を果たしにきたぞ」
そう言いながら、僕は弁当を持ちながら、二つ前の席に歩いて行った。
「朝のっていうと、昼は空けとけ、理由は聞くなってやつのことか?俺いまから購買に行こうと思ってるんだけど」
そんな事を言うそらそらこと、曽良空にまあまあ、と一日の栄養が取れるらしいゼリーを渡して席に着かせる。
「お前これで午後を生活しろと?育ち盛りにきついこと言ってくれるなぁ。それで俺は何故呼ばれたんだ?」
疑問の目を向けてくる友人に、なんだかんだで優しいなぁ、と思いながら重い口を開いた。
「実は、生死に関わる重大な相談があるんだ」
「おいおい、そんな大切な事を俺に言うのか」
少し真面目な顔になったそらそらが続きを促した。それにしてもこいつの真面目な顔うけるな。写真に収めておこう。
「いきなりなんだよ。お前本当は、そこまで大事な話じゃないんだろ」
「いや、お前にしか聞いてもらえない悩みなんだ。最近好きな人がいてさー、どうしようかと思ってるんだよ」
「え?普通に告白しろよ」
そう言われた。空は、ゼリーを飲みながらスマホを見出した。どうやら、これで僕の人生相談は終わったらしい。なので、第二回目の人生相談を勝手に始めた。
「告白なんてできるわけないだろ。大体普通ってなんだよ。相手が普通の感性してなかったらどうすんだよ」
「うるさいなぁ。お前が好きなのって、どうせ山野さんだろ。だったら大丈夫だよ」
何故僕の想い人がばれているんだ?こいつにこの手の話しはほとんどしてこなかったのに。まさかこいつ、隠れて探偵をやっているのか?それとも超能力者か?僕は全然空の事をわかってなかったんだな。
「そうは言われても、なんていえばいいか。どうすれば振り向いてくれると思う?」
「え?相手は山野さんでいいのか?てか、そう言うのは自分で考えるものだろ。自分の気持ちが伝われば、なんでもいいと俺は思うがな」
そうか、僕の気持ちが伝わればどんな言葉でも、いや、言葉ですらなくてもいいのか。
やはりそらそらに相談して正解だったと僕は思った。