03 帰るまでが?
自分たちが置かれた状況を整理し――3人は青ざめる。
そこそこ強いモンスターを倒し、達成感に支配されていた。警戒意識が消えていた。――それを今、理解したのである。
(((ヤバイ――)))
PTの機能はある意味崩壊しており――更には、もうじき魔物が凶悪になる時刻。
――――オレンジとブルーのグラデーションが視えていたのだ。樹海のようなダンジョンの、木々の隙間から……。
そして、夜を知らせるかのように――
カー、カー
「「「ヒィ!!」」」
3人は寄り添うように委縮する。
(えぇ……カラスじゃん)
「わ、ワイバーンじゃ――ないよな?」
(――は?)
「わ、ワイバアアン!? いる訳ないじゃないですか!?」
「で、ですが――低級のダンジョンで、不定期に遭遇できるとか勇者方が――」
「おおお、おお、おち、おおおおををおおお」
――深く広がる――――疑心暗鬼。
「こら、お、男が情けないですよ!?」
「お、おお、お前だってふるふる、おッ、ふっ」
「あ、あうーー。こ、婚約を甘んじて――冒険せず教会にでも就いていればぁ……」
(な、なんだこれ?)
一人だけ、別の意味で青くなっている少女であった。
「ああ、もう! はい!!」
カッ!! と周囲が眩く光る。
『グエエエエエエエエエエエエッッ!? ゲッ グゲ……』
ガサガサガサ!! バサン!
「はい! 死にました!! ワイバーン死にました!!」
「「「……。……。……。はああああああああ!?」」」
「どうですか? 安心できましたか? もう、怖い竜は――いません!!」
と、少女は優し気に微笑むが、
ざっ
(――あれッデジャ――)
「「「お前の方が怖いわああああ!!」」」
――3人は、一斉に街に向かって駆けていくのであった。
「ま、まってえええ!!まってぇ! 嘘なの!!カラス撃ち落としただけなのおおおおおおおおおお!! あああああああああああんん!!」
少女の悲痛な叫びは――闇に飲まれ、消えていった。