表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2番目に好きな人と結婚しました。  作者: 柚子湯
第0章 おかえり×ただいま
1/25

ご飯にする?お風呂にする?それとも・・・

「ただいま」


「おかえり」


 無機質で淡白な挨拶が、少し狭いダイニングに響いた。

 寒風で冷え切った身体がだんだんと沁みるように温まっていく。ダッフルコートをハンガーに掛け、テーブルを挟んで向かい合って座った。


 出迎えてくれた彼女は、次席で現役合格した東大生だ。彼女とは高校の時からの同級生で、そして今は同じ大学に通う仲であり……夫婦でもある。


「ご飯にする? お風呂にする? それ……」


「いや、もう用意されてるんだからメシ以外の選択肢はないだろ」


「用意されてなかったら別のを選ぶのね?」


「そんな反実仮想には付き合わないぞ」


「妻の〝たられば〟くらいは付き合うのが夫ってものでしょう?」


「そうか、そうだな。じゃあ最後のオプションを」


「え、え?」


「ん、どうした? ご飯か風呂かしか言ってなかっただろ。食事が用意されていないなら俺は風呂に入る」


「はぁ……。二択なら最後じゃなくて後者って言うべきだと思いますけど」


「おい、メシ冷めるぞ」


「もう」


 そう、既にテーブルには彼女が用意した美味しそうな和食が並んでいるのだ。白米に味噌汁、生姜焼きにキャベツと玉ねぎのサラダ、それにきめ細やかなお豆腐。

 しっかりとした一汁三菜だ。

 湯気と匂いが鼻孔をくすぐり、食欲を掻き立てる。


「じゃあ、食べるか」


「ええ……」


「というわけで」



「「いただきます」」



 まだ(よわい)二十の男女が同じ屋根の下で、なぜ夫婦として食卓を囲んでいるのか。

 しかも別に俺たちは、お互いのことを愛している訳ではない。


 静かに口と皿とを往復させる彼女の箸を見ながら、俺は事の発端を思い出していた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ