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そんなものはない

徒然なるままに


 大昔の概念だ。


ペットってのは残酷なものだと思う。


我々が主役だと、そう主張するものが何なのか。


それは一人称だから自分を大切に思うことは当然なことだけれども。


それでも、自分以外の何かが欲しくなってしまうのは、きっと強欲なことなのだろう。


「なぁ、ヴィ。」


 僕は肩の上に乗っている生き物に声をかける。


世間一般ではペットって、そう言うらしいけれど。


”ヴィ”には二足歩行はできないけれど。


四足で歩行するその姿は、どんな人間という種族よりも凛々しく見えるのだ。




 まだ、手のひらに乗るくらいの小さな姿は、僕の肩の上でその温かさを存分に発揮している。


彼らは、この世界で我々人間とは他の生物として存在を確認されている。


人間たちには異物と名付けられ、その姿は多岐に及ぶ。


異物には複数の種類が存在するわけだが、こいつは、ソクラと呼ばれる種類の異物だ。


白い体毛で全身を覆う四足歩行の生物。


大きさは個体によって多少前後するけれど、成長すると全長2mほど。


人間どもには、よく移動手段として使われている。


異物は言葉を発することができないため、言葉にならない鳴き声でなんとか意思を伝えようとしてくれる。


生きているんだもの、必死に。


この厳しい世の中を。



 

 そして人間族の僕だ。


僕らも、しがみつく様にしてこの世界に生きている。


歩けど歩けど、殺風景。


口に含めば、体に害を与えるのが毒と呼ぶならば、見ているだけで体に害を与えるものを何と呼べばいいのか。


きゅい、きゅい、と。


肩で喉を鳴らすこの子だけが、救いなのだ。


 「お腹、空いたか?ヴィ」


また、きゅいきゅいと声を上げるので、ズボンのポケットから干し肉の破片をヴィに差し出す。



前の町で調達した食料も、もう残り僅かとなってきている。


この目に毒な風景。


ほぼ砂と異物の死体そして僅かな人間の死体は見飽きる程に。


陳腐な言い方だが、夢に見る程に長い間歩き続けている。



 まぁ、唯一の救いは水の心配をしなくていいことだろう。


異物さまさま、である。


 理由は、そうだな明日にしようか。今日はもう少し歩きたい気分なんだ。


話すときっと、長くなる。


長くなるんだよ。


 如何せん、人間に会ったのは、もう何ケ月も前なのだから。




刺され性癖、尖れ感性、貫け心臓

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