4 精霊にとっての幼精霊とは
「かわいいねー。」
「ですねー。」
「可愛いのはわかるが、強いのか?」
「ばか!まだこんなに小さいのよ?これだから火属性は・・・」
「なんだと!?」
「あら、ほんとのことを言っただけよ。」
「喧嘩・・「お二人とも?」
ッビク!!
「何をしようとしてるのですか?寝ている子がいるというのに・・・・(ニコ」
「「ごめんなさい。すまん」」
「ふふ、わかっていただけたならそれで構いませんよ。」
「水属性は怒らせるべからず」
「「「うん、うん。」」」
今の会話と状況を解説いたしましょう。ただ、その前に少しこの世界の精霊についてお話しましょう。
ここは精霊の中でも最上級精霊が住まう場所で、普段は最上級精霊しかいない場所。しかし例外もあり、その例外が私のような幼精霊と呼ばれる存在。
精霊の生まれ方は基本的に下級精霊に生まれ、まれに中級精霊、上級精霊と進化していく。進化の条件ははっきりしていないため、下級精霊のままのことも多い。
精霊は幼精霊、下級精霊、中級精霊、上級精霊、最上級精霊と存在し、精霊の数は下級精霊→中級精霊→上級精霊→最上級精霊→幼精霊となっていて、下級精霊が一番多く幼精霊が一番少ない。幼精霊は少ないというよりも数百年に1体生まれるかどうかのような存在。
精霊は生まれた時から、自分自身についてと精霊としての役目をしっかりと認識している。なので基本的に精霊は世界の色んな所で生まれ、生まれたらすぐに役目を果たすために動き出したり、仲間のところに集まる習性がある。
しかし、幼精霊は自分の存在が何属性の精霊かを理解はしているものの、役目は認識せず生まれてくる。そのため、生まれてくる場所は最上級精霊の住処である聖域の神樹の湖と決まっているのだが、今回はなぜか湖ではなく、天気を調整している精霊たちの活動場所に生まれたのである。それゆえに主人公が目にしたのが空と雲と言ことになる。
期間的にそろそろ幼精霊が生まれることが分かっていた最上級精霊たちは、湖の周りにここ数日集まっていたがなかなか生まれてこず慌てていたところに、下級精霊からの「助けて!」という声にウィンディーネが行ったところ幼精霊の主人公がいたのである。
ウィンディーネはすぐにでも湖のところに連れて行きたかったが状況が状況だったためにとりあえず幼精霊を寝かすことにし、寝てから移動させることにしたのであった。
そして今の状況に至る。
ウィンディーネが連れてきた存在は最上級精霊達が待ちに待った幼精霊。そして幼精霊は最上級精霊が属性関係なく愛し、育てるために生まれてくる存在。つまり。最上級精霊が親で幼精霊は子供、ほかの精霊たちはお姉さんお兄さんの立ち位置になる。
そのため、ウィンディーネに抱えられている寝ている幼精霊の上で、先ほどの会話が飛び交っていたのだが、火属性の精霊と風属性の精霊が言い合いを始めそうになったところ、ウィンディーネの雷が落ちたのである。
普段はおっとりとしているウィンディーネだが、普段怒らない人ほど怒らせると怖いというのはどの世界でも共通の認識のようだ。