11 家の中は迷路?
今回は少し長めです。
イムベルさんに下ろしてもらい自分の虹玉の前に立って、手を伸ばしては引っ込ませるということを繰り返してます。
さっきまで家の中が気になっていたから気付かなかったんだけど、玉の中に入るにはものすごく勇気がいる!
虹玉に飲み込まれそうで怖い・・・
頭の中では皆の家も同じ形なんだから大丈夫ってことはわかってるんだけど、怖いと思っちゃってから一歩を踏み出せずにいるんだよね。
この体に精神がつられるせいか感情のセーブがうまくできない。
ころころ感情は変わるし、悲しいだけで泣いちゃったり、安全だとわかっていても怖いって感情に引きずられて動けないし・・・・
・・・・・・・・・・困った。
「ほら!入ってみろよ!」
「わぁ!!!」
トンっと背中を押されて私は虹玉に手が触れてそのまま中に入った。
誰!?押した人!・・・って言うまでもないよね、皆と会ってからまだあんまり時間たってないけどわかる、こんなことするの一人だけだもん。
文句を言うために外に出ようと後ろを向くとそこには扉があった。
外に扉なんてなかったんだけど・・・
イムベルさんが玉のどこを触っても家の中に入れるって言ってたけど、この扉の前に移動するようなっていて外に出るときはこの扉から出るようになってるのかな?
そんなことを考えながら扉を押して外に出ようと足を踏み出したけどそこは別の部屋でした。
・・・・・・・・・・外じゃない
っえ、どうしよう。
外につながってると思っていたのに開けたら違う部屋だったことに軽くパニックになった私は家の中を走りながら出口を探し、部屋にある扉を開いては中に入るということを繰り返した。
「ウィ・・ンディー・・ニェしゃ・・ッヒク、イリュベリュしゃ・う・わぁぁぁぁぁぁん」
扉を開けても開けても皆のいる外に出れないことに寂しさと恐怖の気持ちが限界を達した私は座り込んで大泣きである。
頭の中からは楽しく家の中を探検することも押しされたことに文句をいうことも抜けていた。
大泣きしてしばらくするとどこからかガシャン!ドカン!という音がし始めたと思ったら、次の瞬間目の前にあった壁が吹っ飛んだ。
びっくりしすぎて涙が止まった。
「「フルール!!!」」
「見つけた!!怪我とかしてない?」
「よかったー」
穴の開いた壁から皆が入ってきて私を抱きしめてくれた。
ほっとした私はウィンディーネさんに抱きついたまま泣き出した。
「本当に心配しました。」
「あにょね、出ようとちたんだけど、ッヒク、しょとにでりゃれなくてね・・・ゥ」
「怖かったですね。本当にごめんなさい、せっかく楽しみにしていたでしょうにことになってしまって」
「フルールよ、すまんかったのう。まさか迷路になっているとは・・・おや?」
ノーネストおじいちゃんが何か言ってる気がするんだけど、泣きすぎたせいか急に眠くなった私は夢の中に旅立っていった。
「力尽きて寝てしまったようじゃの。」
「そうみたいだね。」
ウィンディーネの腕の中で力尽きた幼精霊の泣きはらした目は痛々しいほどに真っ赤に充血していた。
イムベルは寝ているフルールを起こさないようにそっと目の上に手を当て、目が腫れないように冷やしながらフルールに起きた出来事を思い出していた。
産まれてからまだわずかな時間しか経っていないというのに、謎の生まれ場所の間違い、同胞にぶつかられる、今回の騒動、これだけたくさんのことが起きれば体力の少ない幼精霊が力尽きてしまうのは当たり前である。
あれほど嬉しそうに喜んでくれた家の中がまさかこんなにもたくさんの部屋があり外に出るためには全ての部屋を通らなければ出れないという迷路のような作りになっているとは思わないだろう。
イムベルはフルールが力尽きてしまった原因を作った精霊を氷漬けにすることを決めた。
フルールの家の中について時間をさかのぼってご説明しましょう。
フルールの家の中は最初はこんなわけのわからない状態ではなかった。
家の中は広い部屋が一つと出入口として扉の枠だけがある至ってシンプルなつくりにしたはずであった。
しかし勝手に作り替えられた家の空間の中は、たくさんの部屋が扉でつながっていて全ての部屋を通らないと外に出られないよう入口と出口が別の場所に設けられていた。
これを作った犯人は外で伸びているサラマンダーである。
サラマンダーは別に幼精霊を困らせようとして作ったわけではなく、フルールに楽しんでもらおうと考えた結果たくさんの部屋が合ったら一緒に家の中を探検出来るという考えにたどり着いた。
まず初めにたくさんの部屋を作り内装も面白くし、次にその部屋を全て見て回りながら探検できるように扉ですべての部屋をつなぎ、最後に入口と出口を別に設けた。
サラマンダーは自分も一緒に探検すると考えていたため、迷子になるかもしれない可能性を考えていなかったのである。
その後、家に入る前に強く撫ですぎたせいでフルールから離れた場所でウィンディーネに怒られていたサラマンダーは落ち込んでいた。
一緒に探検しようとしていたのに怒られたせいでもうフルールは家の中に入ってしまったと思っていた。
落ち込みながら、急げば途中からでも一緒に探検出来ないだろうかと考えていたサラマンダーは、家の前にいるフルールを見てテンションが上がり、何故フルールが家の中に入らずにいるのか考えずに背中をポンと押したのであった。
ちなみにフルールの周りにいた精霊たちは、フルールが自ら家の中に入ろうと頑張っているのがわかっていたのでフルールからヘルプの声がかかるまでじっと見守っていた。
そこへ遅れてやってきたサラマンダーがフルールの背中をポン!と押してしまった。
サラマンダーは、あんなにおっかなびっくりとしていた子の背中をためらいもなしに押すなんて!!という全員の怒りにふれ、お仕置きをくらった。
お仕置きをしていたシャルールがフルールを一人にしてしまっていることに気付き、お仕置きは後にしてフルールのところへ行こうと声をかけたとことにサラマンダーはさらに爆弾を落とす。
家の中が迷路のようになっていることを。
それを聞いたシャルール達は血相を変えて急いでフルールの家に飛び込んだ。
すると大泣きしているフルールの声が聴こえ、ノーネストが急いで壁を壊し全員でフルールのいる場所へ急いだのである。
その後家からフルールを連れて外に出し、虹玉(フルールの家)は一度消してフルールの希望を聞きながら作り直すことが決まり、サラマンダーにはしばらくフルールに近づくことを禁じた。
フルールは目を覚ますまで体と心を癒すために湖の中で過ごすことが決まった。
自分の家の中が迷路になっているのは嫌ですね・・・




