出会い
初めての作品ですがどうか温かい目でご覧頂けると有り難いです。
ガタガタと忙しい足音がする。
新しい主人だろうか。
次はどのような扱いを受けるのだろう。
だが、まあ結局私のことを人として観ることはないのだから大して気にすることではない。
記憶を棄てた私にはすがるものもないのだから。
ただ、なぜ私はこんなにも生きようとしているのか、自分でもわからない時がある。
誰かを待っている、そんな気もするがそれが誰なのかは皆目見当がつかない。
今の私にできることは、この豪奢な部屋で待つことのみだ。
ー◯◯◯ー
アレイヤは今までに無いほど混乱していた。
ずっと探し求めていた幼馴染が見つかったという報告があったからである。
幼いころ、村であった戦いの後、行方不明になってからずっと探し続け8年、やっと会える。
自分のことを覚えていてくれているだろうか。
忘れられていたらどうしよう。
会ったら何を話そうか。
不安と喜びが入り交じり考えがまとまらない。
ただ、今は成長した彼を見たい。
通路を走り勢いよく扉を開ける。
「セレウス!!」
そう彼の名を呼びながら部屋に着くと、部屋には若い獣人の見張り二人と綺麗な金髪に美しい紅の瞳をした女性がいた。
そして、その女性はアレイヤに
「貴女が私の新しい主人でしょうか?なにが出来る訳でもないですが、どうかよろしくお願いいたします。」
まるで初めて会ったかのように挨拶を告げる。