君の場所
少年は首を傾げてこちらの様子をうかがっていたが、ふと我に返ったようにドアを閉めて部屋に隠れてしまった。
とにかく目の前の女を拘束し、応援を要請する。
すぐに駆けつけた駐在所の先輩が、女の身柄を引き受けてくれた。
「すみません、中に男の子がいるみたいなんですけど、俺言ってもいいですか」
「男の子?ああ、頼んだ。」
さっき叩いたドアの前に、再び戻る。
今度は優しくドアをノックした。
「こんにちは。
そこの交番のお巡りさんだけど、入ってもいいかな?」
できるだけ優しい声色で語りかけて、ドアの向こうに耳を傾ける。
…応答はない。
「少しお話したいだけなんだ、また出てほしいな。」
やはり応答はなかった。
「…開けるよ、」
小さく「お邪魔します」と声を掛けながらドアを開く。
俺は部屋の中を見て、
目を見開いた。
「こ、れは……」
散らばった皿の破片やボロボロになった家具。
中はまるで強盗に入られたかのように荒れ果てていた。
ゴミ屋敷なんて汚いものではないものの、足の踏み場は無く、人が暮らせるような環境ではない。
目を凝らすと、落ちたその皿の破片に赤が見えることに気がついた。
…血?
あの女のことを思い出しても、傷があった様子はなかった。
ということは、
「あの子の血だ…!」