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地獄の三姫臣

~~感動の『ごちそうさま』から10時間後


 ぴんぽーん!

 と、魔王城のインターホンが鳴った。


「はーい」


 クロナがエプロンで手をふきながら返事をする。

 そして、一階の玄関の魔王城の扉を開いた。


「まーおーうくーん! あーそびーましょー!」


「あら、魔王様! お友達が来られましたよー」


 クロナが二階にいる俺に、一階から声を掛けてきた。


「はーい! ……む、おかしいな? この世界に転生したばかりの俺に、友達など……はっ! クロナ、退け!! これは罠だ!」


 よく考えたら転生する前の世界でもヒキニート無職童貞のウフフニート! な俺に友などおらん!

 くそ、思い出させるなぁぁあ!!!!

 

「えぇっ!?」


「っち、感づかれたか……しかし、もう遅い! 喰らえ!」


 そう、俺の友達と偽り、魔王城のインターホンを押したのは、何を隠そう俺たち魔人を殺しに来た勇者の一人だったのだ!


 すっかりお母さんモードになったクロナは、勇者の振り下ろす剣に反応できていない……ことはなかった。

 普通に勇者に反撃をくらわしてぶっ殺していた。


 あーもう。玄関が血で汚れちゃったよう……。


「屑どもめ……まさか、魔王様の友と騙るとは。言語道断です!」


 そう言って、勇者の首を千切ってからそれを外に投げ捨てた。


 外には、どうやら他にも勇者がいたようで、「うぎゃー、くそ忌々しい魔人どもめ、ぶっ殺してやるー!」という物騒な声が聞こえてきた。


「ふむ。どうやら勇者共が来たようである。……先ほど授けた策に従い、行動を開始する。アオイ、用意を」


 アオイは俺の言葉に無言で頷き、そして、この魔王城を中心にドーム状の結界を発動。

 ……この間確認したステータスによれば、総合的な能力は三人娘の中で最も劣るものの、魔法の能力、特に結界魔法に関しては他の二人を上回るほどの適性が有る。


「うむ、よいぞ。それでは、次。[クロナとアカリ]よ。……派手に暴れて来い!」


「はっ……御心のままに。《我が君よマイ・マスター》」


 クロナが跪き、俺の声に応えた。

 ……なんかいつもとキャラが違う。


 おそらく、テンションが上がっているのだろう。

 後で恥ずかしくなって「あー!」ってなるやつに、違いないだろう。


 そんなクロナを白い目で見るアカリとアオイ。

 彼女らは魔王城with結界の中から一歩外に出た。


 そして、彼女らの姿を見た勇者共……肉眼で確認できるだけでも数千を超える勇者がうようよいる。

 陣形も隊列もあったもんじゃないが……あまりにも多数。


 普通に考えて、無理ゲーであるが。

 ぼっこぼこのウンコの助にやられる未来が、良ーく見えるぞい!

 でもでもそんなの嫌だヤダ!

 というわけで、今日もお仕事がんばるフォイ!

 

 さて、彼女たち[地獄の三姫臣]が、どの程度の実力か、とくと見させてもらおうか。

 

「出たな……[地獄の三姫臣]! 今こそ、貴様らの年貢の納め時だ!」


「だがしかし。っち、なんてパワーだよ……」


「それだけじゃねぇ、この殺気。……北の拠点を守護する[ケツゲ]の殺意が、児戯にも感じられるぜ」


「これ終わったら飲みに行こうぜ、ウェーイ☆」


「それに、見なよあれを! 顔小っちゃーい! スタイルもすごーい! モデルさんかな?」


「あ、あの背中の翼みたいなアクセ? も、マジ可愛くなーい?」


「やあーん、ホント。素敵~!!」


「これ終わったら飲みに行こうぜ……ウェーイ☆」


 ビビってる

 こいつらほんとに

 ビビってる


 それだけじゃなかった、気付いた勇者もいるようだが、[地獄の三姫臣]は抜群のルックスなのだ。

 モデルや芸能人すら霞むほどの抜群のルックス、略してバックス……いや、スタバだ。


 戦いの最中だというのに、見惚れているものまでいる始末。

 

 だがそれも

 やれやれ全く

 仕方ない。

 

 というわけだ。

 残る疑問は、あの背中の翼って、アクセサリーなのかな? それとも本物なのかな?

 ……という事だけである。


 だがそれは、今はどうでも良い。

 とにかく[三姫臣]の実力を見極めるのでアール!


「罪なき我が同胞を虐殺した人間カス共よ……。人間カスらしく喚き散らしながら命を散らす覚悟はできているか? ……できていなくても関係ない、わね」


 そう言って、瞬時に魔法を発動。

 周辺にいた数十人の勇者が蒸発して消え去った。

 おそらく、焔系の魔法を発動。


 あまりの高熱に、一瞬にして人体が蒸発したのだろう。

 俺じゃなきゃ見逃しちまうね。


「こんなにうじゃうじゃ、うっとおしいぞ。……だけど、ちょっとだけ楽しみだぞ。だって、こーんなにたくさん……」


 今度はアカリだ。

 周辺に輝く魔法陣が出現。

 慌てふためいた勇者たちが防御魔法を発動させるのだが。


「殺せちゃうんだもんっ!」


 とても可愛らしい幼女スマイルを浮かべたアカリが、地面から大量の杭を召喚。

 それに防御魔法ごと貫かれた数十人の勇者たちが苦しみに呻き、そして死に至った。


 俺じゃなくても見逃す奴はいない虐殺で、普通にビビりました! 


「ふふ……、気ー持ちいいなぁ」


 恍惚とした表情で言うアカリ。


 それにしても、意外だった。


 まさかアカリが「全自動『魔王様、すっげー!』BOT」を卒業したと思いきや、まさかこんなシリアルキラーにジョブチェンジするなんて、な。


 ……普通に喋れるんだったら、まじでちゃんと俺と言葉を交わしてくれないかな。

 某ネズミさんみたいに声優さんが「自分の種族名」だけで喜怒哀楽を表現できるのならば問題は無いが、声優さんではないアカリでは……「魔王様、すっげー!」だけで、喜怒哀楽の表現はできないじゃん?


 というわけで、後で説教することを俺は心に誓った。


 2人は頑張って、勇者たちをぶち殺していったのだったが、徐々に押され始める。


 数の暴力は圧倒的であった。

 三姫臣が大技を連発し、面白おかしく勇者どもをぶっ殺したのだが、それでも数は4,000も減っていないだろう。

 ……いや、二人で4,000近く減らすって普通に考えてヤバくね?

 俺はそう思った。


 とりあえず、俺は二人を呼び戻す。


「良い。余が出る」


 俺の言葉に、即座に反応する[三姫臣]

 アオイは結界を即座に、一部解除。

 そして、結界内部に二人が戻ったのを確認し、再び完全なる結界を展開した。


「……申し訳ございません、魔王様。奴らを殺しきること、叶いませんでした」


 三人娘はしょぼぼ~んとしていたが。俺は彼女らの頭を、お~よちよち! と撫でる。


「後は、余に任せるが良い」


 うひょー! と、俺は魔王城with結界からうひょーと飛びだうひょー!!!

 

 俺がどこぞの虫やろうのようにウヒョウヒョ言っていると、


「……な、なにぃ!?」


 勇者連合から、驚きの声が上がった。

 

 それはそうだろう。

(驚きの声のタイミング、微妙に遅くね、と思ったのは、ちょっとだけ秘密にしておきたい)


 なぜならば、これまで自分たちが必死になり、多数の犠牲を出しながらも体力、魔力を削った[三姫臣]が回復に努めるために退き、未だ気力・体力ともに十分の俺が目の前に現れたのだ。

 つまりは……勇者たちにとっての悪夢、というわけだ。


 そう、俺がとった作戦とは、織田信長公が長篠の戦にて用いたかの有名な作戦。

 三段鉄砲から着想を得た作戦だ。


 まず、アオイの結界による絶対防御フィールドを作る。

 そして、俺一人とクロナとアカリによるローテションを組む。

 一方が戦いしている際、片方は休息に努める。

 そして戦いをしている者が負傷、疲労、目の疲れ、明日への希望を失った際は結界に避難。

 気力・体力の回復をしているその間、もう片方が勇者をぼっこぼこのくそみそうんこたれにする、という。


 隙を生じぬ二段構えの攻防一体の完璧な作戦なのである。

 

 とりあえず絶望した表情でガビーン! ってなってる勇者連合に、俺はこう、威厳というか王っぽさをね、分かりやすいように態度に表しながら言っちゃうぞーっと!


「さて、勇者共よ。……第二ラウンドの始まりだ。存分に、楽しませてくれたまえ」


 俺というラスボスとの強制エンカウント、ご愁傷さまです勇者様。チーン。


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読者の主人公と作者のヒロインがひたすらイチャイチャするお話です!
【連載版】クソレビュアーの俺が美少女作家を叩いた結果→告られました
好評の声が多かったため、連載したよん♡ぜひ読んでください(*'ω'*)
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