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理由



「はい、朝のホームルームを始めます」


 俺は廊下に立ちながら、教室で行われているホームルームの様子をうかがっていた。

 なぜ、廊下で立っているのか。

 そもそもなぜ勇者養成学校に魔王である俺がいるのか。

 話はさかのぼる。



~話は遡る~


「お主ら、話がある」


「はっ、なんでしょうか?」


「さすが、魔王様ね」


「魔王様、すっげー」


「ご主人様、何用でしょうか?」


 俺の言葉に、三人娘+鼻くそ野郎がすぐさま反応する。

 まるで、忠実な部下のようだ、と俺は思った。

 ……魔王城のリビングで、思い思いの恰好でくつろいでさえいなければ、だが。


「余は問おう。……なぜ、魔人軍としての務めを果たそうとしない? なぜ、人間どもと戦おうとしないのだ?」


 俺の問いかけに、四人は顔を見合わせた。


 いや、顔を合わすな、即答しろ!


 何か考えのあってのことだろう!?

 俺が内心焦っていると、


「「「っは、明日から本気を出します」」」


 と、声をそろえて言われた。


「お主らは馬鹿か!? ……いや、バカだったな、お主らは!」


「魔王様っ!?」


「『魔王様っ!?』じゃ、ないからね、ちょっとそれ懐かしいけど、全然嬉しくなんかないんだけど!」


 俺は懐かしいなぁ、と思いつつ、そんなことを言った。


余は命じるオーダー、今日から本気を出しなさい!」


 俺はとりあえず命じた。

 

「……っ! そんな、卑怯です、魔王様!」


「許せ、クロナ……」


 俺はクロナの額を指先でトン、とした。


「くぅ、本気を出さなければ……ならないのですか?」


「流石は魔王様ね……」


「魔王様、すっげー、だぞ……」


 ハナとアオイとアカリが次々に膝を折り、本気を出そうとしている。

 

 ……出そうとしている、というかもう、早いとこ本気出せよ。

 人類に仇なしたったらええやんけ……。

 ちょっとくらい人類さん困らせたっても、ええやんけ……。


 ……ふん、俺もすっかり、魔王がいたについてきた、というところか。


「ま……ない」


「うん?」


 クロナが辛そうな表情で、何事かつぶやいた。

 

「私……は、こんな、言葉なんかに……」


 クロナの内在する魔力が迸る。

 その美しき表情を苦悶に歪めつつも、瞳には力強さをたたえている。


 「絶対に、負けないっ!」


 パリンッ!


 ガラスが割れるような、高い音が響いた。


「【最上位命令グランド・オーダー】を、破った・だと……?」


「魔王様、私は……今日といわず、明日からも! 本気を出しません! 絶対です! 私はこの魔王城で、だらだらします! ここにいる三姫と、ハナクソ蛇と一緒に!」


 ろくでもないことを決め顔で宣言する馬鹿。


「「「クロナ……」」」


 よくわかんないけど、こいつらも【最上位命令】の効果が薄れていそうだった。


 なぜなら、全員がてきぱきとゲームの準備を始めてるからだ。

 なんやねんこいつら、喧嘩売ってんのか?


 俺が胡乱な視線を送っていると、ゲーム機の本体のスタートボタンを押しやがった。

 そして、みんなでワイワイアクションゲームに興じ始めた。


「もー、ハナったらハメ技使わないでよ~」


「えへへー、わかったよー」


「わー、アカリ、自爆に私を巻き込まないでよー」


「荒らしプレイが好きなんだぞー」


 なんだか、キャラがブレブレなことを言いつつ、ゲームを楽しむバカども。


 ……え、ちょっと待って。

 ナニコレ?

 俺今普通にはぶられちまったんですけど?

 

 そもそも、この馬鹿ども。

 絶対に人類にとって害ないよね?

 ほっといて問題ないよね?

 いいよ、こいつらポンコツだからほっとけって、勇者たちにチクったる。


 ――後は、俺という魔王の存在が問題、となるのかもしれないが。


 俺は冒険者ギルドのSS級冒険者。

 つまり、それなりの信用がある。


 なんとかなるだろうな……。


「わかった! 魔王、もうわかった! もういいもん、じゃあ、魔王勇者と仲良くするもん! ……バーカバーカ!!」


「「「「はっ! お気をつけて!」」」」


そう言いつつ、三姫臣とハナは、四人で大乱闘スポーツブラジャーズで対戦をしながら俺を見送ったのだった――。




そして、冒険者ギルドでおっさんに勇者養成学校の話を聞いて、今に至るのだった――。


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読者の主人公と作者のヒロインがひたすらイチャイチャするお話です!
【連載版】クソレビュアーの俺が美少女作家を叩いた結果→告られました
好評の声が多かったため、連載したよん♡ぜひ読んでください(*'ω'*)
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