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全滅

 嘘である。

 ホントは15分ほどの旅であった。


 なぜなら、最初に出会ったスライム一匹相手に全滅したったからだ(笑)

 開発者の頭とゲームバランスがおかしすぎるのだった(怒)



「うーん」


 目覚めた俺は大きく伸びをした。

 周囲を見渡すと、アオイがいて、ユーシャ一行もいた。

 うむ、魔王城の一室である。


「お、ゲーム終了? どうだった?」


 オンナーが気さくに話しかけてくる。

 

「いや、最低な出来だった。あのログアウトができない仕様とか、マジでクソ」


「確かに、ありゃクソだ」


 あひゃひゃひゃひゃん! と、ユーシャが癇に障る笑い方をした。

 なんやねんこいつ、俺はそう思うのだった。


「そのクソを俺たちにプレイさせた理由、聞かせてくれないか? 場合によっては……」


 俺は、ちょっとおこ気味で聞いた。

 クソつまんないうえになんかパクリ臭い設定のゲームに無駄な時間を使ってしまったのだから、それも致し方なかろう。


 クロナ、アカリ、ハナもおこだろうなぁ、と見ると……ん?


 なんか微笑んでいる。

 意味が分からない。

 そのうえなんかむかつくぜ……っ!


「わかりませんか、魔王様?」


 アオイが穏やかに微笑みながら、そう問いかけてくる。


「む……」


 分からない、魔王全然わからない。


「まったくもう、しょうがない人です」


 そういってアオイは、胸元からあるものを取り出して……


 パンッ!


 炸裂音が響く。

 そして……


「「「お誕生日、おめでとう! 魔王様ッ!」」」


 みんなが一斉にそういった。


 俺は何が何だかわからなかったが、部屋にバースデーケーキをもったなんかキモイやつが入ってきた。


「え?」


「もう、お忘れですか、魔王様。今宵は魔王様の生誕日ではないですか」


「こんな変なゲームをやっつけで作って、プレイしている間にアオイたちに準備をしてもらっていたんだぞ!」


「ご主人様お一人で、ゲームをしてもらうわけにもいかず、我々はご一緒させていただきました」


 クロナとアカリ、そしてハナが楽しそうに言う。

 言われてから、周囲を見ると、確かになんか飾り付けがされている。


 なんかのいたずらかと思っていたけど、なるほど……泣かせるではないか。


「我、別に誕生日じゃないし」

 

 そう、この忌々しいお約束でさえなければ。

 俺の誕生日はもうちょっと先なのだ。凹むのだぜ☆


「え、ご主人様は1,500年前のこの日、生を受け、その日に人間の勇者を血祭りにあげたではないですか。お忘れですか?」

 

 冷えた空気の中、ハナが言った。


「え? ……そうだっけ?」


「そうですよ。我、千年以上前にご主人様に伺いました」


 ハナが大きくうなづいた。

 ……俺じゃなくて、本来の魔王様の誕生日だったんですね……。


「ふん、なるほどな……」


 俺がかなり意味深に頷く。

 そうすると、ほかの奴らが興味深そうに俺を見た。

 

 かなり溜めてから……あらよっと!


「ありがとう、我、こんな風に誕生日を祝ってもらったことなかったから……うれしい!」

 

 頬を朱に染め、上目遣いで、鈴の音のような透き通った声で、俺、とーっても可愛く言ってやったぞ!


 この場にいる全員がむねきゅん、ときめいているぞ! がはは、計画とおりである(‘ω’)


「うふふ、魔王様ったらお可愛いこと」


「流石は魔王様ね」


「魔王様、すっげー」


「ご主人様の喜びが、我にとっても至上の喜びでございます」


 喜びの声が俺のもとに届く。

 ファンの皆がいてくれるから、俺頑張れるのー!

 

 もういっそのこと、全人類をファンにしてやろうかー、うぉー!!


 そうしてこの後、夜通しでサプライズ・バースデー・パーティを楽しんだのだった――


(VRMMORPG編 完)


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読者の主人公と作者のヒロインがひたすらイチャイチャするお話です!
【連載版】クソレビュアーの俺が美少女作家を叩いた結果→告られました
好評の声が多かったため、連載したよん♡ぜひ読んでください(*'ω'*)
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