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そのプチプチをぷちつぶす!

「っかー、スローライフ送りてーわー。魔王、のんびりスローライフ送りてー。っかー」


 三姫臣を可愛がり、罰ゲームを終えた俺は、なぜかはわからないが無性にスローライフを送りたいと思っていた。

 無性にマッ〇のフライドポテトを食べたくなることがあるティーン達なら、今俺がどのくらいのんびりスローライフを送りたいか、きっとわかってくれるだろう。


「……やはり、お疲れでしたか。魔王様、今日はもうご自室でお休みになられたらどうでしょう?」


 クロナが普通に心配している様子だった。

 俺はちょっと気まずくなった。確かにめっちゃスローライフを送りたいが、今はまだ我慢の時だ。

 そういうことにしておこう。


「うむ。そう気を使うでない。良い、良いのだ。ちなみに、だ。余がいない間心配をかけたであろう? すまぬな」


「いいえ、魔王様を心配だなんて、不遜です。私たちはただ、魔王様の無事を信じて、梱包材のプチプチを潰していただけです。ねー、アオイ、アカネ?」


「「ねー!」」


「うわ、何してんのこいつら……」


 俺は思わずつぶやいていた。

 魔王が復活するまでの間、戦闘員のトップだった三姫臣がこれって、そら魔人さんサイドも滅びかけるっチュー話でっせ。


 ていうかアカネって誰だよアカリだろ。

 アカリも普通にクロナに返事をするなよ、甘やかせたらのぼせ上がる一方だぜ、こいつ?


「……クロナよ。我に挨拶もなしか?」


 めっちゃ唐突にハナがクロナに喧嘩腰で言った。


「……あなた、もしかしてスットロポンコモンサバンソクーボチーコデカンイヤッホースメントマンゾハナクソマンサンセイマークツー「その呪われた名で我を呼ぶな。……今の余には、ご主人様から賜ったハナという名がある」


 ハナがクロナのセリフに被せてものすごい剣幕で言っていた。


「……魔王様? 奴隷を救出しにいったと思ったら何へんなの拾ってきてるんですか? うちにそんな余裕はありません! 拾ったところに戻しに行ってください!」


「いや、戦力にはなるだろ。いてくれた方が助かるだろ?」


「ぐぅ……」


「ププー! クロナ完全論破ぁー、ダッサー!」


「あ? 殺すぞハナクソ蛇?」


「はぁ? あんたが我に勝負で勝ったことあった? あまり強い言葉を使うなよ? 弱くみ……」


「記憶力までさび付いてるのかしら、ハナクソ蛇? 大体五分五分の戦績じゃない」


「……あー、確かにそうだったかも」


 そう言って二人はじゃんけんをした。

 結果はクロナの勝利。

 ハナは悔し涙を流した。


「我がこんな小娘に負け越すなど、ありえない……びえーん!」

 

「魔王様。どうでも良いことだけどこの二人は顔見知りで、顔を突き合わせるたびに喧嘩をしているんだぞ。私とアオイは良く知らないけど、この二人には浅からぬ因縁があるようなないようなよくわからないんだぞ。すっげー!」


 アカリが急に説明してきた。

 ……こいつにいきなり普通に喋られると、なんかびっくりするわー。

 心臓に、いや。魔王的に言って、心の臓に悪いわー。


「ほう、そうだったか。それは、ハナから聞いてなかったからな。知らぬかった」


「魔王様。ちなみに奴隷はどれくらい助けられたんですか? だぞ、スッゲー」


「500程度、と言ったところだが。ほぼ子供だ。戦力になるような者は、いないな。故に、ここに来る前に、ウホイと加藤の拠点によって、面倒を見るように頼んできたのだ」


 いくつかの奴隷市にて奴隷の子供を救出していたのだ。流石俺である。

 しかし、そんな流石俺こと通称「さす俺」とはいえ、爆乳魔法の使い過ぎて、乳首が痛む。

 あ~、痛ーいのー、とっても乳首痛いのー(´;ω;`)

 俺は自らの屹立した乳首を優しくさする。

 さす俺の手つき……やらしいぃよぅ。

 

「死にてぇのかハナクソ?」


「殺すぞ、カス」


 俺が気持ち良くなっているにも関わらず、クロナとハナは争っている。

 俺はおこだ。素直におこだ。


「やめぬか、お主ら」


「あ? なんすか魔王様?」


「ご主人様も死にたいのですか?」


 舐めくさった態度のクソども。

 ……どうやら、俺はこれまで甘い顔をしすぎたらしいな。


「やめろと言っておろう!!!」


 本気で怒鳴る俺。

 

 クソどもも、俺が本気でおこだというのに今更ながら気づいたようで、速攻態度を改めた。


「「も、申し訳ありません!」」


 クロナとハナががくがくと震えて、おこの俺にかしづく。


「下らぬ喧嘩などやめぬか! お主らはこれから、余の下で志同じくする魔人……と龍。人間どもに奪われてしまった、踏みにじられてしまった尊厳を、取り戻さぬばならないことを、ゆめゆめ忘れるでない!」


「こ、これが魔王様の本気の片鱗……!?」


「我が恐怖のあまり、身動き一つとれないなんて」


「流石は、魔王様ね……冗談でなく」


「魔王様、スッゲー! ……マジで」


 三姫臣とハナがガチでビビっている。

 ふぅ、やれやれ。


 俺もおこが過ぎたようだ。

 ちょっとかわいそうだな~……。

 ……が、ここで甘い顔はしませーん!


「良いか、皆の者。余は、この現状を憂う……。何故、我等魔人が虐げられる? なぜ、勇者ばかりがでかい顔をする? なぜ、罪なき我らの同胞が、奴隷とされる?」


「……分かりません。クロナ、全然わかりません……」


 クロナが声を震わせた。


「プチプチを潰す暇があったら勇者の一人や二人潰してこいっちゅーねん!」


「「「!!!」」」


 三姫臣がめっちゃ驚いた。


 こんなことで驚かれるこっちが驚いたわダボコラァ!


「はい、それじゃ魔王提案します。これからは、ちゃんと魔人らしく勇者と戦っていきます。……いいですかー、勇者はうんこです。この世の排泄物です。合コンで女の子をお持ち帰りすることしか考えていない、生きる性器ウォーキング・セイキです。絶対に負けないよーに。良いですねー?」


 俺がみんなに問いかける。するとだ。


「は、御心のままに、我が魔王様マイマスターよ」


「流石は、魔王様ね」


「魔王様、すっげー」


「我も、人間共を血祭りにあげたいです」


 と、好意的に受け止められた。


 よし。

 ここまでで大分下がっていた俺の威厳も、今回のおこで大分回復できた。


 正直勇者を殺すというのはどうでも良いが、俺がこう、またちやほやされる環境を作れるのならば……彼らの犠牲もやむなし、と言ったところか。


 嘘だ。多分後二、三分もすればみんな忘れている。

 勇者の犠牲なんてあってもその事実はおそらく変わらない。

 この仮初のよいしょを慰めに、このクソどものトップとして頑張ろう。


 そう思ったのだった。


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読者の主人公と作者のヒロインがひたすらイチャイチャするお話です!
【連載版】クソレビュアーの俺が美少女作家を叩いた結果→告られました
好評の声が多かったため、連載したよん♡ぜひ読んでください(*'ω'*)
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