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無理を通す!

「本題、ですか?」


 ハナが俺の言葉にはてなマークを……いや違う。クエスチョンマークを……ああいや、これも違うか。

 疑問……そう、疑問投げかけてくる。


 ハナの質問に答えるついでに、俺は奴隷商にも説明をする。


「ところで、誰に断って奴隷商などしている?」


「国王陛下ですが。このように、販売許可証も持っておりますよ」


 そう言って、奴隷商が許可証を俺に見せてくるのだが。


「その答えがすでにナンセンスだ」


「なんですと? 一体、どういうことですか!?」


 奴隷商がこめかみに青筋を浮かべて怒鳴り声をあげた。

 俺は、冷静さを失った奴隷商にもわかるように説明をする。


「例えば、俺がこうしたら……どうなる?」


 俺は奴隷商の持っている販売許可証を素早く奪い去り、びりびりに引き裂いた。

 これはもう、修復不能。こんな紙切れを持っていても意味はあるまい。


「なにしてるんですか、あんた! 再発行する羽目になったじゃないか! 訴えてやる!」


 猛り狂う奴隷商。

 頭に血が上り、顔も真っ赤にしている。

 

「ふん、化けの皮がはがれたな。今までの紳士ぶった態度は、その醜い素顔を隠す仮面ペルソナ、というわけだ。どうせ、貴様の本性は平気で人の物を奪い、壊せるようなクソの如き人格なのだろう」


「ご主人クソ様、ブーメランです。その言葉は自らを背中から狙い撃つようなものです。こんなところで不可能を可能にしないでください」


「そら、あんたのことやんけ……」


 ハナと奴隷商が引いていた。

 ええい、話が通じん奴らだな……。


「いいか、つまり、だ。俺は奴隷制度を認めていない。国が認めた? 王の許可がある? そんなの知らない! 全然知らない! 嫌なものは嫌なの、バカ、その位分かってよ! この……奴隷商の鈍感ラノベ主人公!!」


 俺は涙を流しながら力説した。


 人が人を物のように扱うなんて世界、絶対に間違っている!

 俺は物語の主人公のようにかっこよく劇的にドラマチックに、そう宣言するのだ。


「……旦那の言い分はわかりました。だが、奴隷が無くなるなんて、そんなのはあり得やせんぜ? 奴隷って言っても、そんなにひどい扱いを受けるわけではない。奴隷を扱う法の整備も今や進んでいます。9時から5時までの労働時間を超えることは絶対に許されませんし、昼休みは1時間以上の休憩が必須。もちろん、PC作業も一時間に一回、10分程度の休憩をして目を休ませる必要があります。衣食住は、奴隷の所有者より著しく水準が落ちてはならないとさられてます。これらを違反した者は、法により厳しく罰せられます」


「ほう、ならば奴隷にも人間らしい生活が保障されている、ということか」


「ええ。基本的に奴隷は自由恋愛ですし、賃金だって休みだってもらっています。なんだったら、あっしよりもいい生活をしている奴隷も多いでっせ」


「へぇ、奴隷もそう悪いもんじゃないんだなぁ。……でもダメー! 余がイヤー! そんなのイヤー! 社畜も奴隷も、認めませーん!」


 俺は両腕を胸の前で交差し、バッテンを作った。


「参った……変な客に絡まれちまったな、ホント」


 奴隷商が困っていた。

 そして、困る奴隷商の周囲に、他の奴隷商が集まってきた。


「おう、ドゥーレ。どうしたってんだ?」


「厄介な客がいてな?」


「ほう、そいつは可哀想なこって」


 わらわら集まった奴隷商の数、10を超える。

 その全員が、おしゃれなメンズブラを身に着けたおじさんだった。


 メンズブラの、なんちゃらかんちゃらやー!

 とりあえず俺はそんなことを思うことにした。


 その10を超える奴隷商でディベートショー。

 盛り上がるショー、それは魂の絶叫。


 討論は最終的に、奴隷は必要だと結論付けるが、そこで俺の登場だ。


「ヤダヤダ! 奴隷なんてやだもん、やっぱり可哀想!」


「もう、駄々をこねないの! 奴隷がいなけりゃ、俺たち奴隷商は食っていけないの! 奴隷が無い世界なんて、俺たちには無理なの」


「でもやっぱヤダ! ……故に、その無理を押し通させてもらうぞ!」


 バサ、俺は漆黒のマントを脱ぎ捨て、裸になった。

 もちろん、おちん○は無修正(乳首には――ギリギリモザ) 


 俺のチクビに、魔力が集い、そして爆発する。


「俺流! 爆乳魔法バースト・バスト!」


 俺のチクビは爆発した。


「おお!」


「やったか!?」


 周囲の奴隷商が感嘆の声を上げるが……油断したのが運の尽き!


 奴隷商のチクビも爆発したのだった。

 つまり、今日この日。

 奴隷市には連鎖的な謎の爆乳魔法が轟いたのだった――



 そして、一昔前のバラエティ番組の爆発演出後の芸人さんみたいに顔は真っ黒なすす塗れ、髪の毛はもじゃもじゃのアフロヘアー、そして乳首は黒焦げ。


 そんなビジュアルになった奴隷商が声を揃えて一斉に言ったのだった。


「「「うえーん、もう人身売買はこりごりだよ、トホホ……」」」


 と。


 これで、上手いこと落ちたのだ。

 そう、落ちたという事にしておいてほしいのだ――。

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読者の主人公と作者のヒロインがひたすらイチャイチャするお話です!
【連載版】クソレビュアーの俺が美少女作家を叩いた結果→告られました
好評の声が多かったため、連載したよん♡ぜひ読んでください(*'ω'*)
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