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だから「愛の告白」とやらは嫌いなんだ。

作者: 冬紀咲

初投稿の小説なのでクオリティは低いです。期待はせずにご覧ください。




「好きだ!付き合ってください。」





「あ、あー、ごめん、誰とも付き合う気はないんだ。」



「じゃっ、じゃあ今までどうり友達でいてくれ!」




さて。突然だけど。


何か問われたら「NO」と言えないのが日本人の悪いところだと思う。



そして私は



今日も今日とて「ああ、日本人なんだな」と実感する。





「...うん。」



目の前の男はパアアァッという効果音がつきそうなくらい暗くなっていた顔を明るくさせて、「ありがとうな!」と言って去っていった。



「さむ。教室もどるか。」


白い息が口から漏れる。



私は可愛くはない。絶対一目惚れはされないだろうという謎の自信がわいてくるくらいにお世辞でも私は可愛いと言えないだろう。

実際、身内以外で「可愛い」と言われたことなどほとんどない。いやむしろ一回もない。


かといって性格が言い訳でもない。むしろ最低だ。



別にどっかの少女漫画みたいに数えきれないくらい告白されたことはない。せいぜい5回ちょっと、というぐらいだ。



私に告白してくるのはあれか?

罰ゲームとやらか。それともこのぐらいのやつなら俺だって付き合えるだろ、的な?それともなんだ。もうそろそろいやってくるバレンタイン目的か。

まあ、もう中学2年だ。恋人が欲しいってのはわかる。


だけど一言言わせてくれ。




ほざけ。


そのためだけになんでこっちが振り回されなきゃいけないんだ。



自分でいうのもなんだが私は結構一途な方だと思う。だから告白されてほいほいついていくようなやつではない、はずだ。



教室の前までついたためドアを開ける。ガラッと横開きのドアならではの音がなり、自分の席にいくために席の方を見てみる。



.......なんであいつ私の席の前に座って本読んでんだよ。




先程、私が一途だと思うと言った理由を話そう。



私の席の前に座っているこいつ___黒。

もっとも、私が黒と呼んでいるだけで本名ではないが。



今となれば黒歴史同然のこと。私は黒と付き合っていた。別れてからもう二年ぐらい立つと思う。

本当はそのまま関係をきろうかと思っていたのだが、あいにく向こうから友達に戻ろう、などと言われそのままずるずると友達をやっている。


まあ、私からしちゃあ、相談相手のがあっているか。



「ねえ黒。また告白されたんだけど。」


言い忘れていたが、今は放課後。私たちの他には誰一人として教室にはいない。無音の教室に私の声が響く。


「ああ、どうりで下で男子と喋っていたわけだ。」


納得した、といった様子で黒は本から顔をあげた。


「どうりで?」


「そこの窓からお前が告白されてたとこ見えるよ。」


そういって窓の方に目を向けた。



「え。」


初めて知った。思わず声を漏らしてしまう。



「で?」


「どうしたの?」というようにこちらを見た。



「気持ち悪い。


また、仲良い人だった。」


彼は「そう」とだけ呟く。



「”友達”じゃなかったの?なんで好きになんの?なんのために告白すんの?


考えてもみなよ、恋人になって。それで?喧嘩とかして、別れちゃったらどうすんの?そのあと気まずくて話せないじゃん。だったら友達でいた方がよくない?喧嘩しても仲直りすりゃ仲がいい今までいられるじゃん。


私は友達としてみてたのに、あいつは違ったの?ずっと、好きだって思ってたの?


...ああ、もう、気持ち悪い。」



ただただ、気持ち悪い。吐き気というか嫌悪感が高すぎて、気持ち悪くなった感じ。

「どうしよう?」という言葉だけで頭の中が埋め尽くされる感じ。

何年も前から味わっているはずなのに相変わらずこればかりはいつまでたっても慣れる気がしない。



「別れちゃうリスクがあったとしても、友達よりは上の存在でいたいって。その人にとっての特別な存在でいたいって思っちゃうんだよ。

きっと、ずっと前からじゃないよ。大丈夫。前まではお前と同じで友達って思ってた。


大丈夫、大丈夫。」


答えなんてないはずの質問に、馬鹿みたいな質問に、いつも答えてくれる黒のおかげで少しだけ気持ち悪さがなくなる。不安な気持ちが薄くなる。



「ごめん、いつもありがと、」


「いや、別に。」



そもそもなぜこんなに気持ち悪くなるようになってしまってのか。



”心的外傷”。所謂トラウマというやつだ。


数年前、私が小学生の頃、一人の男子に告白された。友達だった。そいつは。

私は友達としてしかおもってなくて。なのに向こうは前から私が好きだったらしい。


その時、どうしようもない嫌悪感、恐怖感、気分の悪さに襲われた。


ただただ、怖いし嫌だった。友達として、信頼していた相手が自分のことを好きだなんて。自分と違う理由で私と話していただなんて。

なんだか、そいつと話していて面白かったのも、遊んでいて楽しかったのも全部全部嘘のように思えてきて。


「私は大嫌い」と言って逃げてしまった。


もちろん最低なことをした、というのは自覚済みだ。



そのあと、なぜか黒に恋して、告白して付き合った。その時は恋がなんなのか、告白してどうするのか、などもわかっていた気がする。


でも、別れてから全てわからなくなってしまった。というより思い出せないというほうが正しいかもしれない。


そもそも私は本当に黒のことを好きだったのか、ということさえ思い出せないのだ。信頼していた友達を失って、誰かに縋っていたくて、依存していただけなのではないか、と思うこともある。



今となってしまえばもうみんな忘れてしまったのでなんとも言えないのだが、きっと未だ心の中、どこかで引きずっているのだろう。



今まで何回か告白されてきたが付き合おうとは思わない。別に黒とのことを引きずっているからというわけではない。

三つほど理由がある。



一つ目。


よく、「なんとなくOKした」という人がいるが、好きでもないのに付き合うのは失礼だと思う。あくまでも私の意見で、だが。



二つ目。


大体の女子は、みんな口を揃えて結婚したいというが、私はその”大体の女子”の中には入らない。私にはやりたい仕事がある。家庭よりも絶対に仕事を優先したい。そんな私と恋仲になりたい人なんていないだろう?

それに私は休日とかは家でゆっくりと一人の時間を満喫したいタイプの人間だ。外やらなんやらに行きたくないし、本を読んでいたりした時に妨害されるのなんてもってのほか。恋人なんてもの論外。はっきりいって邪魔だ。



三つ目。


友達なのに告白してくるとかありえない。気持ち悪い。両想いとかならいいんだけど。

かといって知らない人に告白されるのだって嫌だ。


...ああそうですよ。私は自分勝手なやつですよ。




「それで?また”友達に戻ろう”とか言われて”うん”って言っちゃった感じ?」


と、核心をつかれるもんだから自然と敬語になってしまう。


「は、はい。そんな感じです。」



「はあ。お前本当日本人って感じだな。こないだはなんだっけ?将来は残業とかいっぱいしたいとかいってたよな。いいカモだよ、会社にとって。」


「うっさい。仕事したいんだよ。」


「ワーカホリックめ。」


なんていうんだろう。なんだかんだ信頼してるから、黒だけには思ったことそのまま言えるし、口調だって気にしなくなってくる。


こういう関係、割と好き。

THE 日本人って感じでやっぱ思ったこととか言えないから黒のことは結構頼りにしてる。


、、そんなこと口が裂けても言わないけどさ。



「さて、んじゃ帰るか。」


「あ、荷物いれるからちょっと待ってて。」


「え?別にお前と帰るなんて一言も言ってませんけど?」


なんてことを意地悪そうな笑みを浮かべながら言ってくるもんだから腹が立って思わず足が動いてしまう。



「いって!」


「ばーか。」


今度はこちらが笑ってやると「お前っ!」と言いながらこちらに向かってくるではないか。

だけども、もうこちらは荷物を入れ終わっているのだ。

走って黒よりも先に教室からでる。


「教室から最後にでる人は職員室から鍵もらってきて戸締りしないとねぇ?黒君?」


先程よりも笑ってやる。


「私と一緒に帰るなんて言ってないって言ってたもんね。私は先に帰ることにするよ。


ばーいばい。」



後ろから「クッソがあぁぁ!!」なんて聞こえてきたけど無視だ無視。







ちょうど校門を通りすぎた時、後ろから声をかけられる。


「おーい!」


振り返って見てみればさっき告白してきた友達君じゃないか。



「何?」


「いや、部活終わって歩いてたらたまたま見かけたからさ。一緒にかえろーぜ!おくっていくよ。」


「うん、いいよ。」


なんていいはしたけどよくもまあ告白をした後に普通にそんなことできるな、少しばかり呆れていると同時に、私もう女優とかになれるんじゃないかなとも思っていた。


普通に話せるわけがないのに。

ああ、気持ち悪い。気を抜いたら震えそうだ。怖い。


こんなんだったら黒と一緒に戸締りしてから帰るんだったな、と少し前の自分を恨む。


こんな時に都合よく助けてくれる人がくるわけでもなく、家路についたが家まで帰れるほどの体力がのこっていない。


「私の家、ここの近くだからもういいよ。」


「んー、でももう暗いし、近いとはいえ危ないから最後まで送るよ。」


いらない親切心だな!などと心の中ではボロクソ言っておきながら現実では「そう?ありがとう」と言える私はきっとハリウッド映画にでるのも夢ではない気がする。


なんてそんなことを考えている場合じゃない。真面目にやばい。


しかたがない。


「あ、私の家ここだから。」


と誰の家かもわからない場所を指でさす。


「そっか。じゃあまた学校でな!」


「うん、ありがとうね、ばいばい。」


やっと彼の影が見えなくなった。そう思った瞬間、安心したのか力が抜ける。身体中が震え始める。吐き気がする。


症状をなんとか抑えて近くの公園まで歩いた。電灯の光があたるベンチに腰を下ろして足を抱えこむ。


震えは止まらないし、吐き気はするし、寒いし、もう最悪だ。



「また、学校で、、ね。」


さっき言われた言葉をリピートする。

少し良くなってきたので立ち上がって、自分の家を目指す。



「だから愛の告白とやらは嫌いなんだ。」


ポツリと呟いた言葉は虚しくも暗い空の中に消えていった。

読んでくださりありがとうございました。

始め方も終わり方も書き方もまだまだ未熟ですがここで頑張って書いていこうと思います。

もし暇がございましたら次作る作品も読んでいただけたら喜ばしいかぎりです。


ありがとうございました。

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