因子と原因
すいません。少し短いです。
「四種族の始祖の力???」
爺ちゃん達から事情を説明されたことにより、とんでもないことがわかった。どうやら俺、人族じゃなかったらしい。
聞いた話によると、俺には獣人族、鬼人族、魔人族、龍人族の四種族の血が流れているらしい。判明したのは二年前、爺ちゃんが、俺が初めて魔力を感知したとき調べてわかったらしい。
しかも、ただ流れているだけじゃなく先祖返りによって四種族の原種にまで遡っているらしいのだ。なんでそんなことになっているのか不明だが、確固たる事実ではあるようだ。
「まったく、どうしたらこのようなことが起こるのでしょうか?・・・・ベルス、何か心当たりはありませんか?」
ジルバさんが、顎に手を当てて考えながら、爺ちゃんに顔を向け、知っていることは全部吐きなさい、と言わんばかりの眼光で問いかけた。
「そう言われてもの、特に変わったことはしていないんじゃが・・。」
「ハハハハ!ジルバよ。ベルスに聞いても仕方なかろう。こやつには常識が全くない。たとえ何かあったとしても気付かぬだろうよ。」
「・・はぁ、そういえばそうでしたね。ベルスに聞いた私が馬鹿でした。」
「ふむ・・・・。」
「・・お主らとは、一度、よく話し合わなければならぬのう。」
どうやら、爺ちゃんには常識がないらしい。まあ、未開地に住むという発想がでる時点でいまさらか。予想はできていたが、この(爺ちゃんを含めた)四人の会話から(約一名はふむとしか言っていないが)確信することができた。会話に参加していないフォルテさんと僕はおしゃべりしているというか、フォルテさんが自分の妻達の魅力について一方的に語っているだけだが。七歳の子供に何を言ってるんだこの人は。妻達ってなんだよ。ハーレムですか。そうですか。
そんなふうに、フォルテさんの惚気を聞き流しながら、爺ちゃん達の会話に耳を傾けていると、丁度思い当たることが浮かんだ。
「ねぇ、爺ちゃん。確か、俺が赤ん坊の時、何か虹色の物を飲ませていたっていってたよね?」
それに対して爺ちゃんは「そんなこと、言っておったかのう?」と首をかしげていたが、周りの四人は驚愕し目を見開いた。
「・・・・虹の液体?・・まさか!?」
「・・おい!!、そりゃ!」
「あはは、それって『虹の雫』じゃない!?」
「ふむ・・!!」
なにやら、特殊な物のようだ。
「すいません。その『虹の雫』でしたっけ?、それは何ですか?」
「あ、ああ!、そうだね、虹の雫というのは・・・・。」
『虹の雫』それは希少な植物『虹の柱樹』と呼ばれる大木からとれる綺麗な樹液のことだ。効果は体の奥底に眠る因子を一時的に活性させ、身体能力をあげるものである。しかも、これといった副作用もない。栄養も豊富だ。
だが、そんなうまい話だけではない。そもそも、これはあくまで発動した場合、大半は服用しても因子がなかったり、発動に必要な魔力がなかったりして発動しないのだ。しかも、要求する魔力は強大ときてる。
そしてこれが一番重要なことだが発動しなかった場合、干からびて死んでしまうのだ。だから、専ら観賞用でしか売られていない。
「なんで、そんなもん飲ませたの爺ちゃん!!」
「い、いやの・・売ってる奴から栄養豊富と聞いていたものでの・・。」
どうやら、知らないうちに死にかけていたらしい。余談だがこの時使う魔力は固体状と液体状のどちらでもよく、赤ん坊の時でも無事?だったのだ。
「たぶんですが、これがクロウがこのようになった原因ですね。おそらく・・・。」
ジルバさんの話によると、どうやら赤ん坊の時にこの虹の雫を大量に摂取したため、体の奥底で眠っていた四種族の因子が呼び覚まされ定着、活性化を繰り返して、原種の力を得るまでに至ったらしい。
「グハハハハ、まあ、そんなことはどうでもいいことだ。重要なのは俺達がお前を鍛えるということだ!、我らが鍛えるのだ、生半可な結果じゃ許さんからな!!」
これから波乱万丈な日々が待っているようだ。どんな鍛錬をするのだろうか?。とにかく楽ではないことはわかった。