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来訪者

「ふああぁ〜。・・・うううーん。」


太陽が顔を出したばかりの朝早くから起き出し、クロウは身支度を整える。そして朝の体操をする。それは、日本でいうラジオ体操なもので、軽く汗を流すぐらいだ。


その後は軽く水浴びをして、汗を流す。そして日課の魔力の修練に入った。


最初にするのが、体内の魔力の塊を溶かして体内魔力を増加させる修行だ。基礎の基礎であるため、疎かにしたら爺ちゃんのどやされる。方法としては単純で既に水状にして自分の意思で動かせるようになった魔力をぶつけるだけ。イメージとしては大きい氷にむけて、ホースを使い水を放出し溶かしていくのに近い。


だが、普通だったらそれだけで特に注意点などはないのだが、俺の場合、そう単純じゃない。なにせ、俺の魔力は普通じゃない。下手に魔力をぶつけると増えすぎた魔力があふれ出して、魔力経路を蹂躙、その痛みで集中が途切れ、結果修行効率は悪くなってしまう。そのため、魔力が増えすぎないように一定の魔力でぶつけ続ける必要がある。この修行を始めて最初のころは調節をミスって、何度痛みで床を転げ回ったことか。なお副次的に魔力操作の技能が上がったが、経験した痛みから考えるとプラマイゼロだと思う。


これが終わったら、次にするのが魔力経路の拡張と強化。これは正直かなりきつい、だが基礎の基礎であり、魔力強化に密接に関係してくるため疎かにはできない。方法は、筋肉を鍛えるのと同じように負荷をかけること。魔力経路に許容量を若干超える量の魔力を流し続け、限界ギリギリの速度で循環させる。これは、かなりきつく修行を始めた頃は2分維持するのが限界だった。


この二つのメニューを各15分ずつ行う。この15分と決められているのはそれ以上しても効果が上がらないからだ。これを一日で朝、昼、晩の食事前に三回行う。この二年間、毎日続けたおかげで魔力の塊は三分の一程溶け、魔力経路もそれを受け止められるまでになった。


その後は基礎体力の向上を行う。これには爺ちゃんが付いて、ビシバシ鍛えられている。特に下半身と持久力を集中的に鍛えられている。そして空いた時間は専ら魔力操作の訓練にあてている。


外には沢山の強力な魔物が生息しており、爺ちゃんと一緒でなければ外出できない。よって空き時間は増えていく。他にもこうなんかあるだろ!本を読むとか、と思うかもしれないが現実はそう甘くない、この屋敷には魔術に関連する本どころか、一冊も、そう一冊も本がないのだ。幸い爺ちゃんが読み書きできるようなので習うことはできたのだが。


まあ、それに関して何をいったところでどうしようもない。無いものは無いのだ。ということで空いた時間を潰そうにも暇を潰せるものは無く、鍛錬しようにも魔力も基礎体力の向上もこれ以上してもあまり効果はない。ならばと魔力操作の練習をすることにしたのだ。


やることは単純、魔力を手のひらに集めて動かすだけ。最初は球体に維持するだけでもやっとだったのに、今では形を変えたり、体の周りであれば自由に動かすことができるようになった。


そんなこんなで、今日も午前中の訓練を終え、昼食をとっていたところ、屋敷に来訪を報せるドアを叩く音が聞こえてきた。


最初何の音かわからなかった。そしてそれが誰かがドアを叩いている音だと気づいたとき、驚きと警戒の感情が沸き上がった。


驚きは、この屋敷に誰か来たことについて。屋敷の中にいると忘れそうになるが、ここは人外魔境の未開の地、来訪者などこれまで、少なくとも自分が覚えている限り一人もいなかったし、それでも生活は充分にできたのだが。


警戒は、爺ちゃんの教育の賜物だろう。爺ちゃんからは周囲の変化には常に警戒しろと教えられている。でなければ直ぐに魔物の餌食になってしまうからだ。それでなくとも、来訪者は魔物を突破してきたのだ。まだ自分は魔物のいる森を一人で出歩くには実力が足りてない。すると、今屋敷の前にいるであろう者は確実に自分より強いものであると簡単に想像できる。自分より強い見知らぬだれか、警戒するのは当たり前のことだ。


しかし、そんな思いとは裏腹に爺ちゃんは警戒した様子もなく玄関に向かう。俺は慌てて爺ちゃんの後に続いた。


「ねぇ、爺ちゃん。誰がきたかわかるの?」


あまりにも警戒心がなかったため、思わずきいてしまった。


「ん?、ああ。わかるぞ。そもそも儂が呼んだからの。それに儂がここに住んでいるのを知っているのは一握りだけじゃからな。・・・だからぞんな警戒する必要はないぞ。」

「・・そう、わかった。」


そう言って、爺ちゃんは玄関のドアを開けた。そこには燃え盛るような赤い髪と輝くような金色の瞳に確固とした意志を感じる壮年ぐらいの獣人の男性が立っていた。


◇◆◇◆


その後、獣人の男性に続き、三人の男性が訪れ、今現在みんなで酒盛りをしている。昼間っからなにをしているのか。


いままで、一人もいなかった客が今日だけで四人も来た。今にも空から槍が降ってこないだろうかと不安になる。それぐらい客がくるのはあり得ないことだと認識していたのだ、分かってほしい。というかそもそも未開地に住居を構えること自体がおかしいのか。


まあ、そんなことを言っても何も始まらないため、この四人の男性を来訪した順に説明しようと思う。


最初にきたのは、赤い髪と金色の瞳を持つ壮年の獣人男性。名前はガルフ・レオーネリアというらしい。革鎧を身に纏った動きやすそうな服装をしており、その身からは強者の雰囲気といったものが感じられた。耳と尻尾から狼の獣人だと推測している。


次に訪れてきたのは頭に二本の角が生えた壮年の男性。名前はジルバ・ブラスタ。白い髪と暗い茶色の瞳をしている。日本にあった袴を着ており、腰には刀がぶら下がっている。落ち着いた雰囲気を纏っていて、話しかけやすそうだ。鬼人族と呼ばれる種族らしい。


三番目にドアを叩いたのは、金色の髪と深紅の瞳が特徴的な青年。名前はフォルテ。整った顔立ちをしていて女性にモテそうだ。青いローブを身に付け、いかにも魔法使いといった感じだ。魔人族と呼ばれる種族らしい。


最後にやってきたのは、左目に縦に引き裂かれた後のようなものが残っている(隻眼ではない)壮年の大男。名前はシャルガフ・ドラグル。砂色の髪と翡翠の瞳が特徴的で着ている鎧と相まって歴戦の戦士といった雰囲気がある。龍人族と呼ばれる種族らしい。


そんな、服装も雰囲気も、そして種族も異なっている四人だが、共通していることは全員只者ではないということ、少なくとも爺ちゃんと同じぐらい強い。もし万が一、戦うことになったら瞬殺されるだろう。


「おーい、クロウ、ちょっと来てくれかのう。」


爺ちゃん達、五人が酒盛りを始めたので自分の部屋に避難したのだが、下から呼ぶ声が聞こえてくる。ここでいかないと後日の訓練が厳しくなるのは身をもって知っているため逆らわずに酒盛りをしているであろう、一階の暖炉のある部屋にいく。


「グハハハハ!!、お主がクロウか!、珍しい髪色をしているな!、ナハハハハ!」


豪快な笑い声をあげながら、俺の頭をガシガシしているガルフさん。ちょっと痛いです。


「こらこら、ガルフ、クロウが嫌がってますよ。さっさと手を離しなさい。」


落ち着いた声でガルフさんを窘めているジルバさん。ありがとうございます。


「むむむ!、これは将来、相当なイケメンになるな。しっかーし、僕のハニー達は渡さないよ!」


ハイテンションで何かいっている優男のフォルテさん。なんのこっちゃ。


「ふむ・・・・・。」


基本無口なシャルガフさん。え?それだけ?。


「グハハハハ!まさかこのような者が存在するとはな。ベルスの冗談だと思っておったぞ!!」

「そうですね。まさか本当に・・・。」

「四つの花が合わさったかのような美しい魔力!。・・だけど僕のハニー達には及ばないよ!!」

「ふむ・・・・。」

「本当だといったじゃろ。だからお主たちに声をかけたんじゃ。」


こちらを一目みてそんなことを言ってくる。正直、全く状況が読み取れない。


「え〜と、爺ちゃん、どういうこと?」

「この四人は今日からクロウの師匠になる人たちじゃ。」


詳しい説明を要求します。

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