プロローグ2
ん、んんん?
知らない天井だ。
どこ?ここ。不安で押しつぶされそうだ。嫌だ。怖い。色んな感情がこみ上げてきて、感情の制御がきかない。が、どうにか泣くことは我慢した。
だけど油断するとすぐ泣きそうになる。いったい何なんだ。
俺はもう・・・あれ?俺、何歳だっけ?いやいや待て落ち着け。俺は・・・誰だっけ?名前が思い出せない。うう不安になってきた。あ、やばい泣きそう。ダメだダメ。落ち着け、落ち着くんだ。
『お!、目覚めたか。それにしても珍しい髪色をしておるの〜。』
突如、視界に強面の爺さんが入ってきた。めっちゃ怖い。何言ってるか全然わからない。こわい。あ、ダメだ。
「オギャアア、オギャアア」
一回泣き出したら、もう止まらない。次々と感情が溢れてくる。
『おおう、泣いてしまった。どうしたらいいんじゃ?、儂子供育てたこと無いかの。むむ、そうだ、確か笑顔を浮かべれば泣き止むと聞いたな。よし。』
ニコ(ひきつった笑顔)
爺さんが笑みを浮かべる。しかし、俺にはそれが獰猛な笑顔にみえてしまった。
いやだー!!食われるー!!死にたくないー!!
「オギャアア、オギャアアア!、オギャアアアア!!」
『あああ、さらに、泣き出してしまった。どどど、どうすれば。』
◇◆◇◆
一晩たって、だいぶ落ち着いた。
あの後、爺さんは俺を泣き止まそうと色々してきたが、逆効果でさらに泣いてしまった。申し訳ない。
落ち着いたことで現状をある程度理解することができた。まず、俺は赤ん坊になってる。いまさらだと思うかもしれない。しかし昨日はそれすら気づかず、ただ自分の感情に翻弄されていたのだ。
次に記憶のこと、今自分の中の知識では転生が一番近いかもしれない。というのも自分の名前は全く思い出せないし、思い出せそうな感じもしない。たぶん、これからも思い出せない気がする。名前以外にも自分の年や友達の名前、家族の名前すら忘れていた。
だけど、知識はある。自分は日本人だとか、科学とか数学などの知識はあった。そして、思い出みたいなものがあった。みたいというのは、まるで動画で見ている感じなのだ。何も感じないし、ただ見ているだけで感情も動かない。
それらを踏まえて、転生が現状、自分の状態に一番近いと思われる。なぜか、死ぬ前の記憶はないが、不思議と確信があるのだ。自分は死んだんだと。
でだ、それらを整理して一つ疑問に思ったことがある。それは爺さんのことだ。まあ、幾らなんでも年が離れているし、昨日の様子からみて子育ては初めてのようにみえる。だから、たぶん俺は拾われたんだろうなと思った。それには感謝している。
しかし、問題はそのことではない。いいか、爺さんは男だ。あえて言う必要はないだろうが男だ。でだ、俺は赤ちゃんだ。俺の飯(母乳)どうやって準備するつもりなのだろうか?
『おお、目が覚めているようだな。今からご飯を用意するから待ってての。』
そういって(何をいっているのかわからないが)、爺さんは哺乳瓶を用意した。
どうやら、心配するまでもなかったらしい。
『栄養がたくさんあったほうがいいんじゃったな。確か。』
なにを言っているのか全くわからない。言葉がわからないのは色々不憫そうだ。さっさとマスターしよう。
『ほれ、できたぞ。』
爺さんが哺乳瓶の飲み口を、俺の口に向けてきた。通常なら、口をつけるだろう。しかし俺は躊躇っていた。
なぜかって?そんなこと決まってる。
あ・き・ら・か・に入っているものが普通のものじゃないってわかるからだよ!!
なにそれ!、なんでそれ虹色なの!?、なんでそれ発光してるの!!?、明らかに普通じゃない!そんなもの飲めるかぁ!
『ん?、なかなか、口を付けてくれんな。ほれほれ。』
ちょ、てめ、このクソ爺、無理やり突っ込んでくるんじゃねぇ!赤ちゃんは口に入れたものは噛んじまうんだよ!飲んじまったらどうするんだよ!!
ん?以外においしいな、てか、凄い。全身に力がになぎってくるぜ!!、疑って悪かったな爺さん!
彼は知らない、それが何で出来ているか、それがどれだけの高級品かもわからない。ましてや、それがどんな効果を生み出すのかも。