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オオカミ人間はこの世界にいないと思っていました  作者: 正宗
1章 オオカミ人間の高校生~転校生は巫女さんでした~
3/4

転校生にビビるオオカミ人間

「おい、あの子可愛くねぇか」


「かなりレベル高いよなぁ


「髪もサラサラだしなぁ」


クラス内の男子が騒いでいる、ここは海闊学園一年三組で玲が在籍するクラスである

その教室内では転校生が来たという事でクラス内が騒がしくなっている

だが転校してきたのが女子という事で主に男子が騒いでいるのだが・・・・


「青波恵果ですっ、このクラスで過ごすのはあと少ししかありませんが宜しくお願いします」


「よろしくっーーーー!」


とクラスのほとんどの男子が声を揃えて言うので恵果も若干たじろいだ

だがクラスの一番後ろの窓側から二番目の席に座る男子、坂上玲が昨日会ったという事もあって

そこまで驚いていない


「あんたはあんまり興味なさそうね」


玲に話しかけてきたのは右隣の席にいる立花瑠理香たちばなるりかで、玲とよく話す数少ない女子だ


「まぁな、そこまで驚く事でもないだろう?」


「ふふっ、そうね」


瑠理香は微笑んで前を再び向いた、瑠理香がどうして少し機嫌が良さげなのかは玲には分からなかった


「じゃあ、青波さんの席は・・・・窓際一番後ろね」


先生が言った場所は玲の隣だった、周りの男子から変われだのそこを売れという声が聞こえる

浴びたくもない注目を浴びてしまったと少し変な気持になった玲であった


すると隣に着いた恵果は玲に話しかけてきた


「あ、昨日はどうも」


「うん、まさか同じクラスだと思わなかったよ、これから宜しくな」


向こうも覚えていたようだったので二人は軽く会話をした

右から肘で思いっきり突かれたのはその直後のことである


「な、なんだよ、瑠理香?」


「別にっ」


意味分かんねぇと思う玲だったが、それを見ていた廊下側前から二番目の神木誠司のやっちゃったな

という顔を見て、俺が悪いのか?と思ってしまう玲だった















昼休みの事、クラスの(主に男子)からの質問攻めに遭ってようやく落ち着いたと思ったら

他のクラスからの見物人が廊下を満員にしているのを見てため息をつく恵果

それを不憫に思った玲は話しかける事にした


「もし良かったら俺らとご飯食べるか?」


「えっ、いいの?」


「ああ、他にも二人いるけどそれでよければな」


「うん、ぜひっ」


その後、玲、恵果、誠司、瑠理香の四人でご飯を食べる事になった


「三人は元から仲がいいんですか?」


「元からっていうか俺と誠司は中学から仲が良かったよな?」


「まぁな。で、立花と俺が昔からの幼馴染で高校で会ったもんだから玲もこうして話すようになったわけ」


「まぁ、最初は変な男って思ったけど案外普通だしね、逆に普通すぎてつまらない」


「おい、それどういう事だよっ」


四人は楽しく談笑している、最初は恵果が入ってこれるかが心配だった玲だったが

今は安心している、恵果も楽しそうにしている


「そういえば三人は知っていますか?」


恵果がふいに三人に尋ねた、玲はナポリタンを頬張っている


「この天城市に住んでいる狼人間の事」


「ぶふっーーーーーー」


それを聞いた玲が吹いたのは言うまでもない


「ちょっとあんた汚いわねっ!」


「ははっ、何やってんだよ玲っ」


「わ、わりー」


いきなりその話をされた玲は驚きと同時になぜ恵果がその話をしてくるのかが気になった

一通り拭き終り、恵果が話の続きをする


「では改めて、三人はどうですか?」


恵果の質問に最初に答えたのは瑠理香だった


「うーん私は知らないわね、誠司は?」


「狼人間かぁ、天城市の裏掲示板にもそういう類のはないなぁ」


「裏掲示板ですか?」


「おう、俺こうみえても情報通でさ結構色んなこと知ってるのよ、で大抵の情報は俺の運営する

天城市裏掲示板に載るんだよ」


そういって誠司は自分のスマフォでそのサイトを見せる

誠司の持つ情報は大小様々で、昔玲の買いたい人気の本がどこに行けば売っているかを調べてほしいと

頼んだら、どの店舗に何時何分に入荷される事まで教えてくれた

それも裏掲示板の投稿から見つけたらしい


「玲さんは?」


恵果が玲に話を振る


「んー俺も聞いた事がないなぁ」


「そうですか・・・」


玲もさすがに自分の事だとは言えないので適当に誤魔化す


「なんでそ」キーンコーンカーコーン


「あ、じゃあそろそろ座ろうぜ」


「そうね、じゃあまたね、恵果ちゃん」


「はい、ありがとうございました」


玲が聞いた理由を聞こうと思ったら運悪く授業の予冷が鳴ってしまった


(まぁ、また今度聞けばいいか」


そう思い、玲も自分の席に着いた













「この街にいるのか?」


『ええ、間違いなくいます』


それは天城市のとあるビルの屋上での男の電話のやり取り


『間違いなく、あなたの求める強者がこの天城市にいます」


「どんな奴だ?」


『さぁ、特徴までは。ですがあの白雲の巫女ですから相当の手練れのはずですよ?』


「巫女か、良いだろう、まぁ楽しみにしておく」


『それでは、また後日』


その言葉を聞き終って男は電話を切る


「さて、ではお手並み拝見をいこうか・・・」


そういって男はポケットから小さな玉を取り出すとそれを屋上から下に落とす

その玉はやがて地面にぶつかり割れるかと思ったらすぐに跡形もなく何処かに消えた

そしてその一部始終を見た者は誰もいなかった・・・・・・













放課後の事、玲は部活に入っていないため即家に帰る。ちなみに誠司はパソコン部

瑠理香は生徒会の会計を任されている優等生なので放課後は忙しい

そのため玲の帰りは基本一人のはずだったが・・・・・・・



「恵果さん、この後お時間ありますか? ぜひお茶でも」


「いやいや、そんな事より野球部のマネにならない?」


「今度絵のモデルにっ!」


隣の転校生、青波恵果があまりにも不憫に思った玲は声をかける事にした


「青波っ、一緒に帰ろうぜ」


「う、うん、一緒に帰ろうっ!」


案の定恵果は即答で玲の提案を受け入れた、そして二人は教室を後にした

多数の男子に睨まれながらも・・・・・・・・





「さっきは有難う、おかげで助かったよ」


「いや、いいよ。さすがにあそこまで男子に来られたら少し迷惑だろう?」


二人は街中を歩いていた、ほんとはこんな所は通らなくてもいいんだが彼女もまだ見てない所があるかもと思って玲は少し遠回りをした


「迷惑だなんてそんな、みんな話しかけてくれて嬉しいよ。ただこういうのにあまり慣れてないから

どう対処したら良いか分からなくて」


「・・・・そんな事言ってたらますます酷くなるぞ」


玲は彼女のこの先の事が少し心配になる


「てか青波はどこの高校から転校して来たんだ?」


「えっ、うんと白雲高校から」


恵果は普通に言ったが玲は物凄く驚く


「はっ、白雲高校って超名門高校じゃねぇかっ!」


「そ、そんな事も言われてますかねぇ・・・」


「もっと誇らしげにしろよっ」


「まぁそうですねぇ・・・・」


恵果の態度は何だかおかしいような、自分が何か間違っているか?とまで思ってしまう玲である

ふとそこで玲は思い出した


「そういえば、昼休み何であんな事聞いたんだよ?」


「あんな事?」


「ほら狼人間の事だよ」


狼人間の事は情報通の誠司ですら知らなかった、それを気にした恵果の事

そしてその事は狼人間いやオオカミ人間である玲にとっては関係大有りな事のため

玲は好奇心二割、そして恐怖心八割で再び恵果に聞いてみる事にした。


「ああ、その事ですね。・・・実は私そういうのに興味がありまして」


「興味?」


いつの間にか敬語に戻っている事に玲は話の腰を折ってはいけないと黙って聞いた


「そういうのを昔から自分で調べているんです、そしてこの天城市にもそういう伝説があると聞いたので」


「伝説?」


「ええ、ご存じないですか?」


「うん、知らないや」


「そ、即答ですね・・・・・じゃあその話を」


「え、」


ここで続けるとは思わなかった玲は少したじろぐ、このままではそのうちボロが出て・・・


「っ!」


「? どうしたんですか?」


玲は何か感じ、空を見上げる。恵果もそれにつられて空を見た


「この音・・・・何だ聞いた事がない音だ・・・・」


「音、何も聞こえませんけど・・・っ」


恵果も何かを感じ取る


「・・・・っ、避けろ!」


「くっ」


二人はそれぞれ別の方に転んで避けた


ズドォォォォォォォォォォォォォォン


さっきまで二人がいた所は大きな音と共に煙が巻き上がっている


「な、なんだ・・・・・」


玲は起き上がり歩き出す


「この匂い・・・音といい匂いといいどうなってんだよ」


そこで玲はようやくさっきまでの場所にクレーターが出来ている事に気付いた

そしてそれと同時にその場所に何かがいる事が分かった


それは岩、というよりはブロックで出来ている人型の何かだった



「こいつ一体・・・」


それは見回している、そして玲の方を見た。その瞬間玲の方に向かって跳んできた


「おい、まじかよ」


玲はそれを素早く避ける、おそらく狼の力がなければ危なかっただろう

それをそいつは不思議な態度をしている、そう玲には感じれた


「また来るかっ」


そう思った矢先目の前に誰かが現れた




「大丈夫ですか、玲さんっ?」


「青波っ」


恵果は玲を見て安全を確認すると目の前のそいつをみた


「・・・ゴーレムですか・・」


「青波、そいつを知っているのか?」


「ええまぁ、それはまた後で」


その言葉を終わった直後ゴーレムは走って恵果を殴りかかった


「おい、青波っ」


「大丈夫です」


そういうと恵果はスカートのポケットから一枚の紙切れを・・・いやお札を取り出す

そしてそれを目の前に突き出す


「簡易結界第十二式、空切断裂」


その言葉と同時にゴーレムの手は恵果にあたる寸前で止まっている

いや正確には止められている、電撃みたいなものを走らせながら


「す、すげぇ」


「まだです」


恵果は再びポケットから何かを取り出す、それは玲がよく見るものだった


「え、鉛筆?」


「この鉛筆には特別に術がかけてあるんです」


そういうと恵果はさっきまでの結界を解いた、そして取り出した鉛筆四本をゴーレムに打ち込む


「解っ!」


その言葉と同時にゴーレムは鉛筆の打ち込まれた部分から亀裂が走り崩壊した


それを玲は呆然と見ている


「・・・・・・・・・・・・・」


それに気づいた恵果が後ろを振り返り玲に言う


「ごめんなさい、驚かせましたね。実は私・・・巫女なんです」


「巫女・・・・」


「はい、魔族を滅するための存在というべきでしょうか・・・」


「・・・・・・・・・・そう・・・・・ふにゃー」


玲は頭がパンクして煙を出しながら倒れた


玲は思った


「多分正体がばれたら俺も・・・・・・・」


それが玲が倒れる前に覚えている自分自身の最後の心の声だった

同時に彼の恐怖心が十割になった瞬間でもあった






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