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オオカミ人間はこの世界にいないと思っていました  作者: 正宗
1章 オオカミ人間の高校生~転校生は巫女さんでした~
2/4

天城市に住むオオカミ人間

東京の外れにとある高校がある、高校の名は白雲高校


その高校は成績優秀者しか入れない難関校としてちまたでは知られている


礼儀作法も完璧で日本を背負っていく者が通う高校、誰もがそう思っている







表向きでは・・・・・・・




そして場所はその高校の敷地内にある、森のなか






「はぁはぁ・・」


一人の女子生徒が走っている、授業に遅刻するという様子でもなさそうだ


何故なら彼女は勉強道具を持っていない


もっと言えばその制服はボロボロである




その彼女の後を追うものが二人、二人とも黒いコートを着て


フードを着けているため顔は見えない、だが確実に彼女を追い詰めている事は


見て分かる


「はぁはぁ、くっ」


彼女は逃げる事をやめ、振り向きその二人と対峙した


二人も動きを止める


「ここで終わりにするのか?」


一人が聞く、声からして男だろう



「はぁはぁ」


彼女は息を切らしているため答えない


もう一人の方も彼女に聞く


「まぁ良い、お前はここで終わりだ」


二人組は片手を彼女の方に向け何かをしようとしている


だが彼女はそれを待っていたかのようにいきなり両手を自分の前で組んだ



「ここは私の結界で囲まれている、終わるのはあなたたちだっ」



二人組は焦っているがもう遅い


彼女は声を出し、言った


「決壊っ!」


その途端周りの木が倒れ二人組の上に倒れてきた


それを避けようとする二人だが体が動かない


それは彼女の結界のせいだろう


そのまま二人は木の下敷きになった・・・・かと見えたが



その木の下から光が現れ、そのまま空に消えていった


「・・・・・」


彼女はそれを見るが何も不思議な顔はしていない


まるでこうなる事が分かっていたような・・・・





場所は変わり、とある一室


先ほどの女子生徒は部屋の中央にある椅子に座っていた


部屋はかなり広く目の前には数メートル離れた所に椅子が三つ並べられている




その椅子に火が灯った、彼女は一瞬驚くが、すぐに理解したようで平常心でいた



その火は人の形になりやがて三人の男の姿になった


それを見て彼女は立ち上がり一礼する




「良い、座りなさい」


中央の男が言う、それを聞き女子生徒は椅子に腰をかけた



「君の先ほどの動きは大変良かった、文句無しで試験合格だ、《巫女》の名を名乗ることを許そう」


中央の男はそう言う、それを聞き彼女は今度は座ったまま礼をした



「ありがとうございます、これから巫女の名に恥じぬよう精進いたします」



その後今度は右の男が彼女に話しかけた


「さっそくだが君にある場所での活動を命じたい」


その言葉にはあまり顔色を変えなかった彼女が不思議そうな顔をした


「もうですか?・・・・しばらくは研修だと思っていましたが・・・」



右の男は続けて言う


「本来はそうなのだが、今回は特例でな」


その言葉を聞き、彼女は納得する


右の男は続けて言う


「その場所には今まで巫女はいなかったのだが、数か月前から途端にその場所での魔物の行動が盛んになったため急きょ巫女を派遣する事になった」





急きょという事はその場所で何か起こったのだろう、彼女はそう直感した



そして中央の男が彼女に言い放った


「つまり君の任務はその場所での魔物統括、そして調査だ、出来るね」


彼女は立ち上がり、再び礼をする


「もちろんです、ご期待に添えるよう任務に全力を注ぎます」


その言葉を聞くと目の前の三人は再び火となって消え、その後には一枚の紙が残った


彼女はそれを拾い上げ内容を読む、そして声に出した


「天城市・・・・ここが私の担当場所・・・・・」


















天城市、一応東京都に位置しているのだが誰が聞いてもあまりぴんとこない市である


その市が出来たのもまだここ数年の間という事もあるので仕方ないともいえるがそれでも無名にもほどがある


市ではなく区にしたらどうかという意見もあったが、今更との声があり市なのである


だがそんな天城市の面積はなかなか大きく、なかには学校や大手会社の子会社なども多数あるため


朝などは通勤ラッシュに見舞われる


そして時刻は午後三時、天城市の中にある唯一の高校《海闊学園》は今三日間に渡るテストが終わり

生徒がそれぞれ久しぶりな放課後を満喫する


そんな高校に通う男子生徒、坂上玲も例外ではない・・・・



「おーい玲さんよお、この後ゲーセンでも行こうぜ」


「わり、今百円でも無駄に出来ないほど金欠でな」


陽気に話しかけてくる同級生、神木誠司の言葉を断ってスタスタと歩いていく


「何だよ、じゃあこの後予定は?」


「姉ちゃんに買い物頼まれてんだ、だから無理だって」


なんだよーっという神木に片手を上げて別れを言い校門を出た





玲はそのまま神木に言った通りにスーパーに行き姉に言われた通りの物を買うためにカゴに食材を入れ始めた


何故自分がって何回も反論したことのある彼だが一度も勝てた事がないため、いつも姉の言う事を聞く羽目になっている


と言っても、両親がいなく二人暮らしの自分たちの稼ぎを支えてくれているのは姉なので何も文句を言えない、言うどころか感謝しているのが本心なのである


そして言われた物をレジで精算して店を出る、内容からして今日はカレーだろうか


袋の中身を見てそんな事を想像しながら家に向かって歩き出す


その方向がてらふと目に入るとても背の高い建物がある


《天城塔》である、天城塔はこの天城市のシンボルであり天城市が作られる理由にもなった建物だ


その存在理由は数多くありどれも信憑性が低い、だが一番有力とされているのは


政府の特別施設がある秘密の塔というものである、周りはその考えを馬鹿にするが自分はその通りではないかと思う


それは今年の九月にあったことが要因しているなんて事は自分でとっくに気づいている


いつのまにか自分の家というより部屋があるマンション前に着き、中に入りエレベーターで自分の階の

ボタンを押す


そして階につき自分の部屋に入る


「ただいまー」


と言ってみるが姉はまだ帰ってきてないみたいで反応はない、まだ時刻は五時なので当然か


時計を確認してから今日のテストの事とかを考えるのも嫌なので再び部屋を出てエレベーターで降り

その辺を散歩する事にする


もう十一月だからだろうか、日が落ちるが早い・・そんな所帯じみた事を感じつつも

玲は歩き出した


「とりあえずあそこに行くか」


と玲はとある場所を目指す、その場所とは少天城市の端にある場所で軽い森になっている

その森の中にある古びた神社が昔から自分のお気に入りスポットとして愛着を持っている


そこまでは徒歩で十分なので暇さえあれば高校生になった今でも通っている

ビルや住宅街を抜けると森が見えたその中に入り茂みをかき分けて神社を目指す


そして森なのかでも平地になっているそこに神社はあった


「いつ見てもここは変わらないな」


玲は神社を見てそう漏らす、自分の体に起こった異変、変わった生活の仕方

そんな事があってもここに来れば昔の自分に戻れるそんな気がしてやまない


「あのー」


そんな事を思っているとふいと自分に話しかけられるような声が聞こえたので辺りを見回す

だが姿が見えないので気のせいかと思う


「あのーっ!」


今度は強い声で言われた、さすがの玲も気のせいではない思いもう一度見渡す


すると神社に隠れて見えなかったが一人の女性がいた

女性と言っても自分と同じ年代ぐらいに見えたので、玲は少し警戒心を解く


「えーっと何かな?」


こんな所にいるのは珍しいと思うがとりあえず話しかけてみる事に


「ここに何か用事ですか?」


「いや、用事って程でもないんだけどな。そういう君は何してるの?」


質問を質問で返すのは失礼かと思う玲だったがそんな事はお構いなしに聞いてみた


「私は新しくこの街に引っ越してくる事になったので少し街を見学してみようかと」


「引っ越してきた? 随分と変わった時期に来るんだね」


「ええ、色々とありまして」


この色々には触れてはいけない気がした玲はそこに突っ込むのはやめておく事にした


「それで神社に挨拶って事か、随分と礼儀がいいんだね」


「そんな事はありません、ただこの土地を見守ってきた神様に挨拶の一つはしないといけないと思いまして」


「それは誰かの入れ知恵?」


「ええ、そうやって教育されてきましたので」


もしかして良いとこのお嬢様かな? そんな事を思っているといつの間にかいつの間にかさっきの薄暗さがより暗くなってきているのに気付いた


「じゃあ俺もう暗いし帰るな。俺は坂上玲、十六歳で高一だ」


「私は青波恵果あおなみ けいか、同じく十六歳で明日から海闊学園に通います」


「なんだ同い年だったら敬語使わなくていいよ、じゃあな青波っ」


「は・・うん、またね」


途中で敬語を直した恵果を少し微笑ましく見てから玲は走って元の道を戻っていった


















「おい、こら私が今日食べたいと思ってお前に材料まで買いに行かせたカレーが出来てないとはどういうことだ? ああっ? 遅めの反抗期か?」


「・・・・ごめんなさい・・」


あれから急いで戻った玲だったが今日はやたら帰ってくるのが早い姉、

坂上真琴より遅く帰ってしまったため

こうして玄関で正座をさせられているのだ


「何していたんだ? まさか彼女のとことかいう嘘はつかないよな童貞君?」


「うるせぇ、弟に童貞とかいうなっ」


「ああっ?」


「はい、童貞です」


いつまで経ってもこの家の縦社会は変わらない、姉に対して感謝しているとは言え少し不服に思う玲だった


「まぁいい、とっととご飯作れっ」


「はっはいっ!」


玲は急いでカレー作りに取り掛かる、姉は仕事用のスーツを着たままソファにだらけながら座った

玲は袋から材料を取り出している


「なぁ姉ちゃんは何で今日少し帰りが早いんだ?」


いつもは八時とかに帰るのにとつけたしをして玲は聞く


「何でって、今日お前満月なんだぞ」


「あ・・・・そっか」


傍から見れば何の話をしているか分からないが、この姉弟にとっては重要なことだ

今年の九月に坂上玲に起こった異変、それを知っている者にとっては満月の夜とは気にしなければいけない日なのだ


「だからほら、これ飲んどけ」


「サンキュー」


そう言って真琴が投げたのは真琴が特別に調合した精神安定剤だ

彼女の仕事上こういうのを作るのは慣れている

これを飲めば仮に玲が満月を見てしまっても体に異変が起こるのを自分でどうにか多少なりとも制御する事が出来る


玲はカレーを作る前に薬をすぐに水と一緒に飲み込んだ


「全くしっかりしてくれよ、オオカミ男くんっ」


「何だよその言い方、子供扱いして」


「だったらさっさとオオカミから狼になれるようにするんだな」


さぁーてご飯の前にシャワーといって真琴は出ていった




玲がオオカミ人間になったのは今から二ヵ月前の九月のこと

何者かに襲われて瀕死だった玲は奇跡的に一命をとり止めた、だがそれと同時に体に異変が起こった


体の身体能力は急激に上がり、嗅覚や聴覚、視力までもが上がった


そして一番の変化は満月の夜に月を見た彼の体は劇的に変化し俗に言う狼男になってしまったのだ

その時は何とか事なき終えたが次はどうなるか分からない

そのため薬品メーカーに勤めている真琴は玲専用の精神安定剤を作ったのだ


今の所分かっている事は満月の夜月を見る、もしくは気分があまりにも高くなると狼男になってしまう事

身体能力などが向上した事を隠せば問題なく過ごせる事だ


そして疑問に残る事、それはあの日玲を助けた存在の事だ


「おそらくあれは狼だよな・・・・」


そんな事を考えても会えないので答えが見つからない、そんな歯がゆさを思いながらも

玲は姉に言われたカレー作りを急がせるのだった










「ようやく終わった・・・」


ここは先ほどの神社、《天城神社》がある森の近くの平屋の家そこにいるのは夕方玲と話した女子生徒

青波恵果であった


引っ越してきた彼女は今持ってきた家具などを並べ終わったところなのだ


「さて、明日からの事を考えないと・・・」


彼女が引っ越してきた理由、それはこの天城市に最近増えているという魔族を取り締まる事

恵果の通っていた高校、白雲高校は優秀な巫女を育成する高校というのが真の姿なのだ


「まずはこの街の事をしっかりと確認しなければ・・・・」


恵果はあらかじめから受け取ってたこの天城市の調査報告書に目を通す

そしてある部分の目を止める


「まずは探してみなきゃ、この天城市にいる狼人間さんに・・・・」






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