8話 王都の騎士
この世界に来て初めての魔物討伐から3ヶ月ほどたった。
この3ヶ月はとても忙しかった。何故ならば周辺の魔物が繁殖期に入り村周辺に良く出没するようになったのだ。魔物が現れる度に騎士舎(騎士の居る小屋)に呼び出され作戦会議に参加させられ、最終的には人出が足りないと討伐に参加させられたのだ(一応、風魔術で小型の竜巻や鎌鼬を生み出せるようになっていたので大丈夫と判断された)。
その報告を聞いた王がなにやら興味を持ったらしく王都から迎えの騎士が来るそうだ。
しかもハールも王都に隊長会議とやらのために行かなければいけないらしく一緒に行くことになった。
王都に行く事が決まってから4日後、王都から迎えの騎士が来た。
「オレはミルハルト・イエーガーだ!タケシ・イーストフィールドはいるか!?」
迎えに来た騎士隊の隊長は態度が悪かった。俺はその場に居たが相手にしたくないと思い、見つかる前に家に帰ることにして家の方向に歩いていると村人に
「おお、タケシさん。何やらガラの悪い騎士様があんたを迎えにきてるよ?何かしたのかい?」
と聞かれた。
魔物討伐に協力してたことを王様に興味を持たれた、と言った「らなるほどね」と言われあの騎士の相手が嫌なら「騎士舎に行けば良いんじゃないのか?」と教えてくれた。
その手があった、と思い騎士舎に向かうとハールが出迎えてくれた。
ハールやクリスとしゃべっていると、ミルハルトが部下を連れて入ってきた。
「これが騎士舎か?家畜小屋みたいだな。ん?そこに居るのは王都からこのクソ田舎に移されたハールじゃないか?」
「ふむ、お前は相変わらず無駄口が多いな。」
「ハハハ、お前みたいに上に取り入る事も出来ずに不祥事を起こして田舎送りにされた奴に言われても気にならんな!」
連れてきた部下と一緒に笑ってるのを見て腹が立ってきた俺は一言言ってやろうと立ち上がろうとしたが、すぐそばにいたクルスに止められた。
クルスは無言で「自分に任せて」と目で合図を送っていた。
クルスは立ち上がりミルハルトに近づいて
「おや?誰かと思えば任務をほとんど与えてもらえない騎士隊隊長のミルハルトじゃないか!今日はどうしたんだい?観光旅行?」
「お前はクルス・アローネか。何故お前が・・・、いやそんなことはどうでも良い。こんな田舎に観光などで来るものか!タケシ・イーストフィールドとかいうやつを王都に連れて行くという任務だ!」
「ふむ、タケシならそこに座っているが?」
見かねたハールが話題を変えるため、俺の存在を教えた。
「貴様がイーストフィールドか?村の入口で呼び出したのに何故すぐに来ない!?」
「人づてに聞いてね。場所がわからないから騎士舎で待ってる事にしたんだ。」
「まったく!貴様が来ないからこんな家畜小屋同然のところに来なくてはいけなかったんだぞ!」
またイライラしてきた。周囲を見るとハールとクルス以外は怒りで表情を歪ませている。
そんな空気を察したのかハールが言った。
「ふむ、いつまでも此処にいても仕方が無いし準備して出発することにしよう。クルス、お前も王都に行くんだったよな?」
「ええ、研究成果の論文を出しに行かないと行けませんので自分もご一緒してもかまいませんか?」
「ああ、構わん。残ったものは少し忙しくなるかもしれんが頑張ってくれ。」
了解、と騎士たちが言い俺とハール、クルスは自宅に準備を取りに戻った。
その時ハールに王都にいた時の事を聞くと
「あの時の話か、まだしていなかったな。ふむ、王都に行く時にでも話そう。」
と言っていた。
10分ほどで騎士隊の馬車が止めてある村の入口についたら、すでにクルスは待っていた。
ミルハルト達もまっていたようでイライラした態度でこちらに絡もうとしていたがクルスに「早く戻らないと駄目なんじゃないのかい?」と言われすごすごと馬車に乗り込み「さっさと行くぞ!」と声をかけてきた。
俺達も村に唯一置いてある騎士隊の馬車に乗り、移動し始めた。
ストックが無くなったので頑張って書きためておきます。