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異邦人と田舎騎士  作者: 苫屋たぬきち
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1話 はじめてのいせかい

「ここは・・・なんだ・・・?」


 大学からの帰宅中、立ちくらみがして目を閉じて開いたときには俺はここにいた。

俺は二流大学に通う理系でオタクでごく普通の大学生だ。変わってる事といえば小学生の頃から武道をしている事だ。

とはいえ小学生の頃の練習なんて遊びの延長みたいなものだし、喧嘩なんて中学生の頃以来していないので荒事には自信はない。


 だからこんな所に居る原因に心当たりなど当然無く、恐ろしく不安である。


「絶対此処日本じゃないよなあ・・・太陽、2つあるし・・・」

空を見上げながらつぶやいてみる。


「これって異世界転移ってやつだよなあ、召喚ではなさそうなんだけどなあ・・・召喚陣みたいなの無いし」


オタクだった俺は活字中毒でもあったので本をよく読んでいたが、学生であるため資金の問題で本をあまり買えなかったのでWeb小説なども読んでいた。最も紙媒体が好きなので読む本が無いときぐらいではあるのだが。

しかしそのおかげか、この様なシチュエーションはよく知っていた。当然、物語としてだが。


「まずは此処が安全かどうかの確認と人が居るかの確認だな」


そのように方針を決めた俺は自分の荷物の確認を開始した。



 5分後、荷物の確認が完了した。

持ち物は白い帆布のリュックの中に


   ルーズリーフ(約130~140枚)

   大学のテキスト(物理、科学、数学、C言語プログラミングのテキスト)

   ノートPC

   ライトノベル 1冊

   推理小説 1冊

   電子辞書

   USBメモリー

   タオル 1枚

   ライター(煙草は吸わない)

   カップ麺 2つ

   ペンケース


ペンケースの中には


   シャーペン 3本

   2Bの芯 20本ぐらい

   赤ボールペン 1本

   黒ボールペン 1本

   カッターナイフ 1本

   肥後守ナイフ 1本

   消しゴム 2つ


ポケットの中には


   財布

   自宅の鍵

   自転車の鍵

   携帯電話スマートフォンではない

   MP3プレーヤー

   イヤホン


これだけのものを持っていた。


(この中で使えそうなのは肥後守と他には・・・ライターぐらいか。さてここからどうするか)


と考えたその時近くの茂みから人が出てきた。男だった。


「お前?誰だ!?この森で何をしている?」


と理解できる言語で話しかけられた。だが突然のことで戸惑ってしまい黙りこんでしまった俺を見て男は訝しげにさらに訪ねてくる。


「おい!お前はなんだ!?いったい何者だ!?答えろ!」

なにか答えようと俺は慌てて答えた。

「お、俺の名前は東野武志。怪しい者じゃない。気がついたら此処にいたんだ。」

「気がついたら?どういう事だ?記憶喪失ってことか?」


男が警戒を解く気配はまるでないが俺が敵ではないと判断してくれたようでいろいろ訊いてくる。

俺としてもここでせっかく出会えた人間と離れたくは無いので出来る限り現状を説明してみる。


「記憶喪失じゃない。信じられな無いかもしれないが俺はこの世界の住人じゃ無い。異世界の住人なんだ。」


「異世界?そんなもの本気で信じているのか?子供向けの物語ぐらいにしか出てこないぞ。」

男は可哀想な子を見るような目をしている。


「いやいや、本当なんだって!証拠なら何がいいかな?こんな物こっちには無いだろ?」

と言いつつリュックからノートPCを取り出してみる。


「なんだそれは?携帯用の盾か?盾にしては脆そうだが?」

「盾じゃない。これはこうやって・・・」

PCを開いて電源を入れると起動音が鳴り画面にデスクトップ画面が映し出された。

「何だそれは、鏡・・・ではないな。鏡なら此処の景色が映るはずだしな。・・・なるほど、お前はたしかにこの世界の人間じゃないようだ。」


男は納得したようで警戒を解いてくれた。

その後は男と自己紹介をしあった。

男の名はハール・キイス、田舎の騎士らしく日課の最中で俺を見つけたらしい。


自己紹介の後、俺はハールの自宅に行くことになった(自己紹介の時に「名前で呼べ」と言われた)。

俺は歩きながら現状を説明した。


「ふむ、ということはタケシには心当たりはなさそうだな。俺は学者じゃないんでその手のことはさっぱりだがこうして出会ったのも何かの縁だ。出来る限り力になろう。」


説明を聞いたハールはこの様に言ってくれた。

そうこうしてるうちに村に到着した。

村はのどかな雰囲気が漂うまさに「異世界の田舎」といった雰囲気だった。


「此処が俺の住んでるトーラの村だ。ちょっと待ってろ、見張りのやつに声かけてくる。」

と言ってハールは近くの小屋に入っていった。

ハールが戻ってくるまでの間およそ5分、村の住人の警戒の視線にさらされ続けた。


「ハールさん、この人ですか?なんだか変わった服装してますけど・・・」

「おお、そいつだ。なあに悪さができそうなものは何も持ってなかったから警戒せんで大丈夫だ。」

「本当ですか?まあハールさんが言うなら大丈夫だと思いますが・・・」


ハールと一緒にこちらに向かって来た男は訝しげにこちらを睨みながら自己紹介をしてきた。

「どうも、私はクディール王国第22隊副長のアルケイド・ホプキンスです。あなたの事はハールさんに聞きましたので自己紹介はけっこうです。こちらはあなたの仮の身分証になりますので失くさないようにお願いします。」

と言って何かが書いてある紙を打ち付けたATMカード倍ぐらいの大きさの木の板を渡してきた。


「はあ、ありがとうございます。これって失くしたりしたらどうなるんでしょうか?」

一応心配なので聞いてみる。するとハールが答えてくれた。

「たしか失くしたらこの国では身分を持てなくなったはずだ。そうなると他国に流れるしかないが・・・お前には無理だろう?」

「まあそうだな。地理も何も知らないからな。」


会話しながらリュックに仮証を入れる。

その後ハールと一緒にハールの自宅へ向かった。





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