13話 王都からの帰還
王都での用事も全て済み、観光を終えた俺達は村へ帰るため城に停めてある馬車に乗り込んだ。
馬車に乗り城下町から出ようとした時、一人の男が走って近づいてきた。
「おーい、待ってくれー!」
誰かと思えばそれはクルスの友人のエピクテトスだった。
俺達は互いに顔を見合わせて、何だろう?と思いながらも馬車を停めてエピクテトスに話しかけた。
「どうしたんだ?何か用事でもあったか?」
「用事とは少しちがうな。タケシ、王都に残らないか?」
どういう事だ、と聞いてみると何でも俺の魔術が研究したいのだという。
あれほど魔力の効率良く発動する魔術は民生魔術を除いてはほとんど存在しないのだという。しかし俺からすれば、原理を理解してそれに必要な上昇気流と横風を同時に発動させただけなのだ。
研究するほどのものじゃあ無い、と言ったのだがどうしても研究したいようだ。しかし俺は村に戻りたいので断ったら今度は、村についていって研究すると言い出した。だが俺は居候なのでハールにこれ以上負担はかけれないと言ったら、クルスが言った。
「何なら、自分の家に来るかい?隊長の家ほどではないけど蔵書もあるよ?」
「本当か!ありがたい!隊長さん、俺も行っても構わないかな?」
「ふむ、まあ住まいが決まっていれば問題は無いだろうな。」
結果としてエピクテトスはクルスの家に居候するということで決まった。
村への道中、俺はエピクテトスからの質問攻めに遭いながらも無事に村に帰還できた。
村に馬車が到着すると馬車は騎士舎に馬車を停め、騎士舎に入った。
騎士舎には2人の騎士が居てハールは2人から留守中の報告を受けていた。
報告を聴き終わったハールは俺達に、帰るぞと言い俺達は家に帰る事にした。
騎士舎から家までの道のりで村人たちにハールが、おかえりと声をかけられていたのは非常に微笑ましい光景だった。