10話 王都
俺達が馬車に揺られること6日、王都に到着した。
その間、魔物に襲われる事3回、盗賊に襲われる事6回。その際、王都の騎士達は焦って統率が取れないばかりか、俺、ハール、クルスに「何とかしろ!」と怒鳴りつけるだけだった。
ちなみに3人で撃退すると魔物はともかく盗賊にいたっては「騎士がこんな強いだと!?」とか「お前ら騎士の格好してるけど騎士じゃないな!?」とか言っていた。騎士ってどれだけ舐められているんだ、と思った。
王都にたどり着いた俺達は城に向かう事になった。途中、クルスは論文の提出があるから、と言って俺達とは別れた。その際「今日は無理だけど明日にでも案内してあげるよ。」と言っていた。
城に向かう道中で城下町を見たが、賑やかではあったが所々に路地があり、その奥はまだ昼間だというのに見通せないほどに暗かった。ハールの方を見るとハールは首を振って「今はその話はするな」と視線で言っていた。俺はハールが後で教えてくれるのだろうと判断し、この話題を振るのをやめた。
城下町を馬車で進むこと15分、ようやく城に到着した。城門の前で馬車が停まり間近で城を見上げた俺は声もあげることが出来なかった。それほどまでに生まれて初めて見る本物の城は美しかった。
しかし俺はその美しい城に違和感を感じた。何かを間違えているような違和感を。
城に入る際に持ち物等の検査をされ危険な物を何も所持していないと認められたのち、手に腕輪をはめられた。腕輪をつけた騎士に聞くと魔封じの腕輪といい、城内ではこれを着けていると魔力の類を扱えないそうだ。
これは城に入る際には、王以外には基本的に着用が義務付けられているらしく、城内でこれを着けていない者はその場で切り捨てられる事もあるという。
絶対に外さないでおこう、と固く心にちかった。
その後、侍女に案内され来客用の控え室のような部屋に通された。そこは豪華な部屋だった。どれか一つでも傷をつけたら弁償するだけで人生が終わってしまいそうな気がするほど、一目で高級品とわかる物しか置いていなかった。
「暫くこの部屋でお待ちください。御入用のものがございましたら扉の外に居る侍女にお申し付けください。」
と言うと案内してくれた侍女は「失礼します。」と一礼し部屋から出ていった。
1時間ほど経過した時、侍女が「王がお呼びです。」と迎えに来た。
俺は服装を正して、王の下へ向かった。