プロローグ
SUPER TC。
SUPER GT、SUPER FORMULAと並ぶ、日本のモータースポーツのトップカテゴリーだ。
シングルシーターであるフォーミュラ。
スポーツカーの改造カテゴリーであるGT。
それらに対して、こちらは4ドアセダンや5ドアハッチバックがベース車。
街のどこにでも走っていそうなごく普通のファミリーカーが、サーキットで牙を剥く。それがこのカテゴリーの最大の特徴だ。
参戦台数は30台を超え、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバルと言った国内メーカーは勿論、
BMW、アウディ、フォード、ルノー、プジョー、アルファロメオ、クプラ、ヒョンデと国際色豊かな面々が揃う。
だが――
その華やかな顔触れとは裏腹に、レースの内容は極めて荒々しい。
一言で言えば、
「サーキットの格闘技」
「戦う喧嘩レース」
そう形容されるのも無理はない。
バンパー同士の接触や、ボディをぶつけ合うのは日常茶飯事。
毎レースでスピンにクラッシュは当たり前。
時にはヒートアップしたドライバー同士が、コース外で殴りあう、なんてことも。
GTにもフォーミュラにも無い独特の危うさと熱量。それが、SUPER TCの魅力だ。
そして今年。
ドイツやイギリスから本場のワークスチームが参入し、海外からも若手実力派ドライバーが次々と来日したことで、このカテゴリーの注目度は一気に跳ね上がった。
――世界中の視線が、この東洋の島国に集まり始めている。
この物語は、そんなレースに舞台に、海を越えて挑んできた一人の若者の物語だ。
青春と、夢。
そして、想定外にこじれていく、恋愛模様を描いた話でもある。
カクヨムに同名の小説を投稿しています。そちらもよろしくお願いします。




