【7】
月日が過ぎ、次の恋は美容師だった。しかし、妻子ありの訳あり恋愛だった。
「奥さんから取ってやる」
そう思いながら、手紙をしたためる。正直に言えるのはレミだけだった。レミの文から本当に心配しているのがつうじるのだった。美容室ではカットモデルをお願いされていた。カットモデルとは、美容師が練習のために、無料でカットしてもらう相手のことなのである。
「ーお願いします」
ケープを彼に巻かれ、心はウキウキしていた。しかし、この恋愛も長くは続かず、精神バランスを崩して、別れたのだった。
無事に学校を卒業し、県外のアパレル会社の事務員となった。
ー嫌な奴の2、3人は居るけど、毎日楽しい。
充実した日々だった。甘やかしてくれる優しい彼もでき、貴子はこの上なく幸せだった。その彼が旦那となり、今は海外で暮らしていた。ワーキングホリデーを使って、結婚後行くことにしたのである。ちなみにワーキングホリデーとは、海外で滞在しながら、就労などするビザ制度である。
ー人生まだまだこれから。諦めてたまるものですか!!
ポジティブシンキングで、毎日安心安定した暮らしをしていた。人生の最後には、「あー、楽しかった」で終わりたいものだった。