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レンアイ  作者: WAIai
3/7

【3】

「ーこれ、やる」

校門前で雄也が小さな箱を取り出してくる。貴子はリュックを背負っており、中にはテキストが入っていた。

「何、これ?」

雄也が相手だと、どうしても甘えたい声音が出てしまう。彼氏のプレゼントが嬉しかった。周りではほかの生徒たちが、皆、バラバラで出てくる。笑顏ががたくさんあり、これから部活に行くもの、これからバイトに行くもの、それぞれだった。冷たい風が吹いたので、両手に息を吹きかけ、擦る。それから、

「開けても良い?」

許可を得てから、ピンクのリボンを解く。

「えっ? 時計?」

中にはデザインセンスの良い時計が入っていた。スマホで時刻を確認出来るが、身につけるものをプレゼントされたのが嬉しかった。雄也のものだと強く実感出来るからである。

「ありがとう。大事にするね」

「…おう」

茶髪が風に煽られて邪魔なのか、雄也が髪をすく。しかし、何だかおかしかった。時計と貴子を見比べ、何か言いたそうに口を開け閉めする。

「何? どうしたの?」

「あのさ…」

やっと言う決心がついたのか、雄也が口を開いた。

「それやる代わりに、アイドルのファン止めろよな」

「えっ…? 何で急に?」

貴子は韓流のファンで、CDも持っていた。推しはどことなく雄也が似ており、一生懸命応援していたのだった。

ーさすがにちょっと…。

ダイエットだけでも大変なのに、好きなものを取り上げられるのは嫌だった。足に力を入れ、言い返す。

「あの…、それは困るんだけど…」

「は? お前が好きなのは俺だろう? 俺だけ見ろよ」

「それは…、でも」

できないと首を横に振ると、いきなり雄也は怒った声を出す。

「この馬鹿」

少しは手加減したのだろうが、頬を殴りつけられた。力に耐えきれず、貴子は道に倒れる。何が起こったのか、分からなかった。

「ふざけるな!!」

雄也がなおも手を上げようとする。貴子はとっさに防御しようと手を顔の前に出そうとする。さすがに周りの生徒たちがビックリしたのか、

「おい、止めろ」

「先生、先生、呼んでこい」

と騒ぎになったのだった。

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