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【2】
貴子にとって大学生活は充実していた。卓球部に入り、ファストフード店でアルバイトしていた。夕方週に2・3回だが、お金が必要な貴子にはありがたいお金だった。
「ーいらっしゃいませ」
青の制服姿で、入店した客に対し、カウンターから挨拶をする。場所が駅の近くなので、たまに昔の同級生がくることもあった。
「あれ? 貴子?」
「えっと…、ああ!! 分かった!!」
軽くパーマをかけた子のことを思い出し、明るい声を発する。懐かしい感情がうかんできて、頬を緩める。中学の同級生だった。
「ここで働いているんだ」
向こうも懐かしいのか、親しげに話しかけてくる。貴子は頷くと、
「何にしますか?」
メニュー表を渡したのだった。