6.魔物のとの戦い
砂漠の徒歩での移動は暑いけれど、マントで日陰を作りながら歩き続ける。ラクダの引くそりは、荷物と女性が優先だ。ヒューゴたち護衛は交代で休み、交代で歩く。
見張りは、若い団員が交代でそりの上から周囲を見回している。
「ゴブリンだ!」見張りの団員が叫ぶ。ゴブリンの大群がアリの大群のように向かって来る。
ドリシャーから念話がくる。
『助けに行く!』
『だめだ。そこにいてくれ。とまれ!』
強い思念がどっぷりと襲ってくるのを受けて、ヒューゴも強い思念を送る。
ヒューゴの目はドリシャーのように金の丸い猫の目になった。遠くのゴブリンがとてもよく見えた。
全員でゴブリンと戦い続けた。ヒューゴはアキヒの剣でひとつひとつ戦っていった。恐ろしいほどよく切れた。
ゴブリンは何体いたんだろうか。戦いが終わって、ゴブリンのたくさんの死体があった。
ヒューゴは膝から力が抜けて崩れるように倒れたが、意識を失うことはなかった。ただ、疲れすぎて起き上がれなかった。
(もっと体力をつけないと。俺は弱すぎる)と反省し、もうすこしまじめに訓練を頑張ろうと決意した。
ヒューゴはポーションをもらって回復し、バイドンに魔物の死体の後処理の仕方を教えてもらい、団員と一緒に穴を掘り、燃やして埋めた。
「おまえ、たしか今Eランクだったよなぁ。もうCランクぐらいにあげてもらってもいいんじゃないか?」
バイドンが笑いながら、次の街で推薦してやるよと言ってくれた。ヒューゴはCランクなら、ダンジョンいけるなぁと、すこしうれしかった。まあ、推薦くらいではなかなかランクは上がらないんだけどね。
『ドリシャー?』
『うん?』
『がまんしてくれてありがとう』
『うん。そこに行きたかった』
『うん。すごく近くに感じたよ。』
『そこに行きたい』
『待ってくれ。団長に相談してみる。ただ、偉い人だからすぐという訳にはいかないんだ。』
『うん。はやくして』
『わかったよ』