18.王都親衛隊との中等訓練
森でドリシャーと一緒に過ごしながら聞いたことを説明した。が、本当のところ何をするかわからない。夜明け前にドリシャーと正門に向かった。
「こっちだ。おはようっ」
まだ夜明け前なのに半数はそろっていた。みんな猫から降りていたので、ヒューゴもドリシャーから降りた。
「副隊長のトリニティだ。こいつはケンだ」
「ヒューゴです。ドリシャーです。よろしくお願いします」
各人挨拶しているうちに全員そろった。
覚えきれないから、こっそり持ってきた植物紙に書き込んでいった。
隊長 バース ピンキーちゃん
副隊長 トリニティ ケン
ダイニ タイト
ゴルディ ピクシー
アルゴ パキム
フクナ ペーツ
マモト ジェット
メッシユ フラ
モルス タイヤ
プジョン スパン
(これ絶対覚えられない)
ひととおり挨拶が終わったら、バース隊長がにこにこしていた。
「今日は中等訓練だ。俺とトリニティがここに残る。ヒューゴはダイニのチームに入れてもらえ。3人一組を3組作れ」
ぱぱっと分かれて3人組が3個出来た。なんかきっとルールがあるに違いないな。
ヒューゴはダイニさんに手招きされた。
「ダイニだ。これはタイト」
「ゴルディ。ピクシーだ」
「ヒューゴです。ドリシャーです」
***
「北の森のダンジョンで5階まで行き、ボスを倒して帰ってくる。最低でも一つの階で魔物1匹は倒すように。回復薬のヒーラーが同行しないので、各自ポーションを5本持って行くように」
隊長から一人5本ずつポーションが渡された。それぞれアイテムバックにしまっていった。
「ダンジョンの情報は前と変わっていない。5階はオークとオークキングだ。6階には進むなよ。
30分ごとにひと組ずつ入る。先行するチームはワンフロア30分以内に進め。
一番はアルゴのチームだ。二番手はメッシュのチームだ。三番手はダイニのチーム。」
ケン副隊長が、順番を指示した。
「ダンジョンでは、特別な場合を除き魔法を使わず、物理攻撃と従魔攻撃だけで路覇しろ。
まあ、無いとは思うが、途中退場したい場合は、"これ"を使え。使わなかったら返してくれよ。
5階のオ-クキングを倒したら、帰り方はわかるな?」
アルゴとメッシュ、ダイニがうなずいた。
にやっと笑ったバース隊長が、各チームのリーダーに"これ"と言っていた魔石のようなものを渡していた。
全員で北の森を進んで行き、洞窟のようなダンジョンの入り口に着いた。ふつうの冒険者も入っていた。
「全員、冒険者ギルドカードを出してくれ。ヒューゴもだ」
隊長がみんなのカードを預かり、入場の手続きをしに行った。帰って来てすぐにカードを返してくれて、ヒューゴにはダンジョンの5階までの地図を渡してくれた。
眺めていたら、ダイニさんとゴルディさんがこうやって進むといいよと指でなぞって教えてくれた。
「いろいろ大変だけど、この国はほかの国と違ってテイマーの数が異様に少ないんだ。しかも、なぜか猫以外がほとんどない。
だから、隊長に目を付けられたら・・・もうやばいよ」
とモルスさんが、眉毛を下げながら説明してくれた。
(そうなのか?)たしかに、バース隊長は、こんな俺に何度も会いに来ている。(そうなのか?)
ヒューゴはうなった。
***
順番が来たのでダンジョンの兵士が声をかけてくれた。
「メッシュ。行け」隊長が声をかけた。
「了解」3人は返事をして、猫に乗り込み入り口に飛び込んでいった。
ダイニが地図の一階の最終地点を指しながら教えてくれた。
「初心者がいるチームは最終だ。30分遅れて隊長か副隊長が出発するから、合流するまでに5階のボスを倒してアイテムを使って帰還する」
「30分で5階層まで路覇するっていうことですか?」
「そういうことだ。まあ隊長達の移動時間もあるから、50~60分は時間がある」
「各階、1匹だけ倒して、一気に次の階に進む。各階の最終地点にはボスがいるが、大した強さではない」
「・・・はい」
ダイニは地図をしまいながら立ち上がった。
「とりあえず後ろに着いてきてくれよ。どんどん進むからな」
「はい」
去っていくダイニを見ながら、ヒューゴはふうと息を吐いた。
『ドリシャー。とりあえず走ればいいみたいだぞ』
『うん。わかった』
隊長が声をかけて来た。
「ダイニ。行け」
「了解」3人は返事をして、猫に乗り込み入り口に飛び込んでいった。




