2 喧騒
ついに門をくぐり抜け、このよく分からない空間に入ったのだが、すごい喧騒だ。
遠くから篠笛や太鼓の音がしてまるで祭囃子のようだった。
たくさんの人で賑わっている。
夏祭りのような空間に不安が和らいできてはしゃいでしまった僕は金魚すくいと書かれた出店に向かった。
「けへへ.....金魚すくい1回1000円だよ」
この薄ら笑いを浮かべたおばあちゃんが店主のようだ。
にしても高い。こんなの200円もあればできたような気がする。
そういえば僕はお金を持ってない。
「あっやっぱりやめ....」
ビュンッ
「ヒッ」
おばあちゃんが驚いた声をあげた。いや声をあげることもできていなかったか。
何が起こったのか理解が出来なかった。折り紙の鶴がおばあちゃんの顔のすぐ横を掠め後ろの壁に突き刺さっていた。
「.......」
呆然としていると後ろから女の子の声がした。
「おいぼったくり婆」
「まーーたお前か守り神。お前はいつもわしの営業を邪魔しに来よって!!!」
気づけば出店の中に変な人が立っていた。女の子?小柄で制服?それとなにか頭に被っているようだ。背中に長いものを背負っている。
守り神と言われていたがこの子が神様?
じゃあここはどこなんだ。そんな考えが頭をぐるぐると駆け巡る。
「はあ。あんたはいつになったらこんなことやめてくれるんだよ。ツノも前より大きくなってるじゃないか」
「怒るな怒るな。もうじきやめるさ。もしだめだったらお前がわしを」
「後味悪いことさせるな。大体こんなことさっさと辞めれば私がそんなことしなくて済むんだ」
なにやら話し込んでいるようだったが僕はお金を持っていないしぼったくりだったようなのでその場を去ることにした。
「お前新入りだろ。ぼったくられないようにきをつけ...っていないし」
少女の声は空虚に消えた。