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1 入口
「.......あれ」
気づいた時には3番街と書かれた真っ赤な門の前に立っていた。今までのことはよく覚えていない。ただ、頭が酷く痛む。
門の向こうに人が見える。暗いけど周りはよく見える不思議な空間。夏祭りのような出店と真っ赤な提灯に蒸し暑い空気。
門の前には狛犬のようなものがいてその門は例えるならば鳥居か、中華街の善隣門のように思えた。
『入レ』
頭の中に声が響いた気がした。
頭で考えるより先に足が動いていく。
「.....ここは...どこなんだろう...」
僕はすくむ足で1歩1歩中へ踏み入れていった。