一七話 悠里、冒険者を始める(中編)
⸻
幻影水晶
その奇妙な一つ目の姿は、周囲を透明な水晶で囲まれ、幻想的な雰囲気を漂わせている。攻撃するときは、水晶から這い出て敵を襲う。
•パワー: 70
•スタミナ: 60
•知能: 80
•スピード: 50
•防御力: 40
•運: 30
•回復力: 15
•魅力: 20
能力:
•障壁結晶: 一定時間、周囲の敵の攻撃を防ぐ透明なバリアを形成する。
•幻影の攻撃: 一度に複数の水晶を生み出し、遠くの敵を攻撃。
弱点:
•物理攻撃に弱く、魔法攻撃には高い耐性を持つが、火炎魔法には特に脆弱。
•水晶の外に出ると移動速度が落ち、かえって攻撃を受けやすくなる。
⸻
鑑定が完了した後、悠里は分身たちに指示を出した。「敵は火炎魔法に弱い。基礎的な火炎魔法で迎撃して。」命令を与えた後、悠里は指先に魔力を集中させ、魔法を唱えた。「基礎火炎魔法炎の弾丸」
悠里たちは魔法を唱え、眼前の幻影水晶に向かって炎を放った。しかし、幻影水晶にとって、その効果はあまり感じられないものだった。彼らはすでに透明な水晶のバリアを形成していたからだ。
「基礎火炎魔法では、効果が薄いのか……」悠里は呟き、周囲を見渡した。すると、別室から次々と迫ってくる幻影水晶の姿に気づく。冷たい汗が背中を伝い、心臓が高鳴る。いつの間にか、悠里たちは右往左往する幻影水晶に囲まれてしまった。
混乱している中、幻影結晶は攻撃態勢に入り、水晶から這い出てきた。悠里はその動きを逆手に取り、再度基礎火炎魔法「炎の弾丸」を放った。
「※◆■▼〜!!」
悠里の火炎魔法が直撃した幻影結晶は、断末魔を上げながら消滅し、煌めく結晶へと変換された。これに気づいた悠里は、中間保管魔法である魔法箱に忍ばせておいたロングソードに炎を纏わせるため、魔法を唱えた。
「中間火炎魔法火焔纏い」
分身たちも同様に、自身の武器に魔法を纏わせる。悠里たちは残りの幻影結晶を見つけ次第、次々と切り捨てていった。「この方法なら、水晶に覆われていても有効打になりそうだ。」
敵である幻影結晶には、バリアを形成させることなく、断末魔を上げさせずにねじ伏せることができた。もし鑑定による付与スキルがなければ、ここまでうまくいくことはなかっただろう。
その時、死角から複数の水晶を生み出していた幻影結晶が、悠里に向けて水晶を飛ばす「幻影の攻撃」を繰り出した。悠里本体を庇うように、分身たちはその攻撃を受け止めることになった。
「分身たち!!」
代わりに攻撃を受けた分身たちは、痛々しい姿を見せながら消滅してしまった。怒りが込み上げながらも、倒し損ねた幻影結晶を切り捨てる。
「残るはこの部屋だけだ。」
他の部屋と比べ、最奥に位置するその部屋には、鉄のように頑丈な大きな扉が存在する。さらに、悠里にとってはこれまで感じたことのない途方もない魔力が漂っている。
「この部屋から強力な魔力の波動が発せられている。」
悠里は扉の前で、あらかじめ基礎強化魔法『筋力強化』と『防御力強化』を唱え、異様な魔力が漂う部屋の扉を静かに開いた。扉が軋む音が響く中、柱の陰から徐々に姿を現す影。その全容はまだ明らかではないが、徐々に迫りくる威圧感に胸が高鳴った。ゆっくりと、柱の影から全貌が明らかになる。悠里を迎えたのは、主人のいない玉座を守る黒騎士だった。




