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登校中の仲良し三人組

「今日も冷えるね、沙織里ちゃん」

「そうですわね。こんなに寒い日はおでんでパーティーでもしたいところですわ~」

「あ。おでんとか良いよねえ」

「帰りに一緒にコンビニでおでんでも買いにいきましょう」


 そんな他愛ない話をしながら通学中の電車に揺られながら光癒と沙織里、フジキは星女晴明学園を目指す。

 因みに女子校である為、男子禁制である。


「それでお話は変わりますが、風馬様に何もされてませんわよね?

 前にも言いましたが、男は獣ですわ~!風馬様が何か光癒ちゃんにいかがわしい事をしましたら、私に言うんですのよ!」

「いかがわしい事って何?」

「え?あ・・・あ~っと、あくまでも例えばの話ですのよ!」


 このような話はしているが、沙織里にもその手の知識がある訳でなく、そう誤魔化す。

 因みに女性の方が陰陽師に向いているのは霊力の関係もある。そして、陰陽師のほとんどは異性とのそう言った行為の未経験者である。

 また体験した者は霊的な質も下がってしまい、退魔の儀が不成立になる事も多いと言うのが最近の陰陽道医学術で発覚したニュースである。

 その為か、陰陽師の特に女性はその手の話題に注意するようになったのが昨今の陰陽師界隈の現状である。

 特に侍は体力に自信のある男性が多いので陰陽師との関係から一転して踏み込んだ関係になってしまう事が多い。


 その為か、沙織里は光癒と風馬の関係性に注意していた。


「そもそも、なんで光癒ちゃんは風馬様を選んだんですの?」

「う~ん。なんとなく・・・」

「はあっ!?」


 すっとんきょうな声を上げると沙織里は光癒の肩を掴んでガクガクと揺する。


「光癒ちゃん!お侍さんを選ぶ時はあれほど注意するように口酸っぱくなるまで言ったじゃありませんの!」

「だ、だって、沙織里ちゃんとフジキちゃんの関係が羨ましかったから・・・」

「そ、そんな理由でお侍さんを選んだんですの!?」

「だ、大丈夫だよ。風馬さんは役場で出会った人だし・・・」

「役場!?役場前で直接、スカウトしましたの!?」

「う、うん。駄目だった?」


 小首を傾げる光癒に普段の沙織里ならトゥンクと心動かされるだろうが、今回の一件についてを聞いて目眩を覚える沙織里であった。

 そんな沙織里に対して光癒が困惑し、フジキが口元に手を当てて笑いを堪える。


「・・・わたくし、光癒ちゃんの事を可愛がり過ぎてしまったかしら?」

「大丈夫っすよ、お嬢。風馬の旦那は誠実通り越した朴念仁みたいな人っすから」

「フジキちゃん、何を根拠に・・・」

「侍日本ネットじゃ、役場通いの風馬って通り名で有名なんっすよ。

 役場通いの水準を満たして二年近くも契約結んだ侍ってだけで安心を保証されているようなもんっす」


 意外な方面からの太鼓判に沙織里もまた意外な表情をするが、すぐに頭を振る。


「それでも、わたくしは風馬様を完全に信じた訳じゃありませんわ~!」

「風馬さんはいい人だよ~」

「光癒ちゃんはシャラップですわ~!

 そもそも、なんで、わたくしに相談してくれなかったのですの!」

「侍は自分で選びたくて・・・」

「それでもわたくしに一声下さいまし!

 不埒な輩だったら、どうするんですの!」

「・・・うにゅ~?」


 光癒が考え過ぎて目を回してしまうと沙織里は余計に頭が痛くなってしまう。

 普段は大人しくて可愛い光癒だが、時折、沙織里の想像を越えた大胆な行動に出る時がある。

 例えるのなら子どもの突発的な衝動が爆発した時の行動に近いかも知れない。

 そんな光癒の行動をいままで抑制して来たが、自分が侍であるフジキを得た事で欲求が爆発してしまったのだろうか?


 何はともあれ、風馬と言う人物への信頼性を確保するのが、重要であろうかと沙織里は一人で首を傾げ、腕を組んで考え込む。


「沙織里ちゃん。心配してくれるのは嬉しいけれど、私だって陰陽師だもん。

 沙織里ちゃんが安心出来るくらいに立派になって見せるからね?」

「・・・光癒ちゃん」

「お嬢の負けっすよ。光癒ちゃんもいつまでも子どもじゃないんすから親離れの時期かも知れないっすよ」

「余計な茶々を入れないで下さいまし、フジキちゃん。

 それにわたくしは光癒ちゃんと将来を誓いあった中でしてよ。親子じゃありませんわ」


 沙織里はフジキにそう言って「ふん」とそっぽを向く。

 そんな事を喋りながら三人は学園の星女晴明学園に到着すると冬休み中の部活の準備をする為に更衣室へと向かうのであった。

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