孤独を埋め合っても
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雄平は苛立ちを押さえられなくて壁を拳で叩いた。
なんだ、あの男は!?
分ったような口ぶりで語るのはやめて欲しいなっ!?
何も分らないで語るのは簡単でも、分ったら何も語れなくなるぐらいに苦しいんだからな!?
深い傷を胸に刻んで生きるのと、幸せに生きるのとは違う。
ムカつくっ!? あいつをどう、苦しめてやろうか?
俺の苦しみを分らないなら痛みを与えてやるっ!?
俺の痛みを、理解して優しく包んでくれるのは有紀さんだけだ――
★
痛みがある人生は、どの人間にもあるように俺にだってある。
当たり前のように孤独に生きて、一人の時間に一人で会話して言葉遊び――
生き物は孤独に耐えられないから集団で生きて、孤独という二文字を埋めているのだ。
生き物は、孤独がどれだけ怖いかを知っている。
孤独を埋めるために誰かとつるんで分らなくする――孤独じゃないと。
誰だって意見は違うし、誰だって心は一緒じゃない。
死ぬときも、生まれるときも。
何もかも違う。
ただ、集団で生きているから鈍っているだけであって、人間全員孤独で生きている。それでも、全員孤独で寂しいからと言って、誰かと繋がりコミュニティーの中で思い出を作るのだ。
一人ひとりパズルのピースであって、ひとり一人が繋いで出来るのだ、思い出は。
何か遭ったら嫌いな記憶になるのに。
ピースがばらけたら他人。
いや、人間は全員寂しいから集まっているだけ。
だから、人間は最初から孤独なのだ、と幼いながらも理解していた。
人間は最初から繋がりを持ったとしても他人なのだ。
どうしたって関係を持っても他人は他人。
詐欺師で説明すると、相手が信用し、仲間だ、と相手が喜んで、騙されるのに、仲間、といい、詐欺師は腹の底で相手からむしり取る金を数えてほくそ笑む。関係上は、タダの騙す側と騙される側。
騙された後は、逃げる詐欺師に殺意の目を向けて追って、
『殺してやる、生きた心地はこの世界にもどこにも無いからな?』と理性を失って、詐欺師の惨たらしい死に方だけを想像して、明日は、と鬼の顔を隠してこの世に生きる。
親から言われたことだ。
『他人を騙して生きるしかないんだよ』と言われた言葉は、子供に言うことかと親の顔を宇宙人に見えた記憶があり、その言葉は、次第に、人は騙してくる気をつけろ、と胸に刻んでしまった幼少期となった。
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