エミのスタートライン6
家を涙流しながら飛び出した優志は、学校に向かう。
同級生の女子生徒が、助けてあげたい、と心を動かす訳もないが、大粒の涙を輝かせて走る俺は、いい香りがする胸にぶつかった。
だが、俺は、ごめんなさい、と言わず、
「なんだ・・・・・・っ!? この母性を感じる貧乳は? 制服は華咲高校だな、華咲高校にいたか、母性溢れる貧乳? 考えろっ! こんな愛が溢れる貧乳は中々いないっ!」
女子生徒の胸を近距離で見詰めて、推理した。
「探偵にはなれないが、胸当てクイズは任せろっ!」と周りの男子生徒たちにウインクをして、「優志!? 危険だっ!? いますぐに日隠さんから離れろっ!?」と彼らの怒号を聞かずに、
「この女神にしか持たない母性溢れる貧乳が、俺に問いかけているような気がするんだ・・・・・・っ!? 自信を持ちなさい優志って!? だから俺は言い当てなきゃいけないんだっ!?」
「正真正銘のブランドを誇る、おっぱい観察隊レッド事、熱き情熱をおっぱいに注ぐ優志がなっ!」
「少なすぎるっ!? ヒントがっ!? く・・・・・・っ!?」
「挫けるなっ! 俺! 数少ないおっぱいヒントでも答えに導いてこそ、おっぱい観察隊レッド! 熱くたぎってきたぞっ! 必ずこの迷宮を解いてやるっ! 俺! 考えろっ! うおおおぉ!?」
「この興奮する女子の香り、そして、俺を優しく包み込む貧乳は・・・・・・、考えるんだっ! ヒントは、女神の貧乳と女子の香り! ——」
「——分かったぞっ! 間違いなく迷宮が解けたぞっ! 俺を愛で包み込む母性溢れる貧乳は、エ——」
「ミぐしゃあっ!?」
ベアハッグをエミに決められて、優志の胴回りの骨が軋む音が聞こえた。
「誰が、母性溢れる貧乳、だ? ごるらあっ!?」
「いやあああぁ!?」
「おらっ!?」
「あがんっ!?」
エミのストレートパンチが、優志の顔面にヒットして鼻血が噴き出た。
春の日差しで温かいはずなのに、俺の心が辛いと叫び、太陽から降り注ぐ日差しが冷たく感じた。
流れる鼻血に触れ掌を見て、
「『空からまた、雨が降る・・・・・・。光りの無い世界は終わりを迎えようとしない』」
「『いつだって、いつだって、空は悲しみ雨を降らせる』」
「泣いている彼女は言った。『地べたで這いつくばって泣いているのにその頭を踏んで嗤う人間はこの世の人間全員なんだよ? 気に食わないと死ぬまで相手を追いかける人間は鬼なの。信じたわたしが馬鹿だったんだよ・・・・・・!? 誰も信じなきゃ良かった・・・・・・!?』」
「俺の大切なあの子が言っていた。『わたしたちは生まれた瞬間からおもちゃの電車だよ? 決まったレールを走らされて相手は愉快だと手を叩く。
わたしたちが結ばれる事なんてなかったんだよ、優ちゃん・・・・・・。わたしたちには結ばれる運命の赤い糸じゃなくて、手足に枷が嵌められていたんだよ・・・・・・。
でも、いまだけでも幸せに、この夜を過ごそう? わたしたちだけのほんのひとときの夜を・・・・・・。互いに求め合って溶けるような熱い夜を・・・・・・!?』ってな・・・・・・」
「いや。いないだろうよ? そんな事を言う相手が童貞のお前に。お前にそんな相手がいるなんて想像つかないんだけど・・・・・・? ボケたの? ツッコんだ方がいいの? レーンに流れていくんだけど、お前のその妄想の話・・・・・・? ツッコもうか?」
「『過ちが俺を縛った。過ちにより空を飛んでいた俺は、暗い牢獄へと閉じ込められて、身動きがあの頃から取れなくなった』」
「『夢の中でもう一度、あなたの手を握り締めたかった』」
「『人間生きているだけで自分の死体の山を作る。少しのことが大きな傷痕になって痛みで心が死ぬ。ジクジク痛む胸を押さえて俯いているしかないのさ?
心が死んでいるとも気づかずにな?』」
「『助けてもいえない人が心を殺されたらどうなるか? 答えなんて知っている。膿んでいる心の傷を抱えながら寒空のしたで涙を流せないことに叫び続けるのさ』」
「『誰も手を差し出さない寒空のしたで枯れた涙に気付き、狂ったように自身を、他人を呪いながらいつか心臓が止まる日を待ち
ずっと寒空のしたで孤独にこの世のなかをさ迷いただ命が終わる日を待つのさ。死んでいい人間が過ちを持つ俺なら人間全員が死ぬべきだと嗤いながら歩けない足を引摺りこの世界をさ迷うのさ』」
「『夢の中でもいいから、あなたに会えないだろうか? 俺がもし死んだら、どんな顔をする? 答えてくれよ・・・・・・』」
「『手を差し出せば触れる温もりを俺が突き放した。もう、帰ってくることはない。俺と一緒に過ごした世界には、あの子がいない』」
「『あの子の助けての声が聞こえる。二度と手が届かないのに・・・・・・』」
「『運命が俺とあの子を殺した』」
「夢の中でもいい。俺の名前を、もう一度、呼んでくれよ・・・・・・」
「何言ってんの・・・・・・?」
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