きみが照らした光で蓋をする16
それでも不安は残る。
人間という生き物は、仮面をかぶり後ろからも前からも隠した言葉のナイフで刺すし、助けてと言う声を心の中で叫ぶだけで本音を語らない。
隠す表情は、悪意か救いを求める顔だけだ。
この世に生きる人間がする顔は、すべてそれ。
『人を見てきたから何を考えどう思っているか分かる。人間は仮面をかぶるのが得意だ。上手に誤魔化して笑顔を振りまき陰で人を裁く。人間に嘘吐きはいない、仕草、声色、態度ですべて手に取るように分かる。だから人間を信用してはいけない。
人間は誰だって人間に言葉のナイフを向ける敵だ』
こんなことを言うぼくを救うのか?
それとも手を離すのか?
試したかった。
たったそれだけで迷いが生まれるかもしれない。
心の中にすむ昌一はどう答える――
『怒り、不安、人は生きるだけでつもりに積もる闇が存在する』
唸りながら聞いている彼は、険しい顔でぼくを見て、
顔を近づけてぼくの目を見詰める。
『オレは信じられるんだよな?』
『信じられるよ。声色に嘘が混じっていないし、目も曇っていない、表情はいつもと同じ、ぼくを心配する顔だ』
『よく見てんなー』
照れた表情を浮かべた彼は、頬をかいて、
『助けてと心の中で叫んでいるなら助けてやれよ? お前の能力を無駄にするな? それは誰かを幸せにする能力でもあるんだからな?』
『敵意を向ける人間をいいか悪いかを判断するのは話を聞いてからにしないか?』
『知らなくていいことを聞いてどうすんの?』
『知らなくていいことなー、まあ、大体の人間は嘘を隠すことが出来ないよな。欲しいモノを手に入れられなかったときとかに態度に出るし、忙しいときとかにも態度に出る。たくさんあるな』
『余裕がないときとかに人は本性を出す』
『余裕がないと人は凶暴化するからな』と仮面を外す仕草をして怒った顔を見せる。
もちろん、彼は怒っていない。
彼の表情は至って冷静だ。
『人間、余裕がないだけで凶暴になる、言葉を選ばないし、犯罪にも手を出す、動物らしいけどな』
人差し指を立てて彼は、ぼくの目を覗き見る。
『動物だよな人間は? でもな、動物でいいよ?』
『動物のままでいいの? 不安から来る凶暴性を正当化するのは間違いじゃないの?』
『状況よりしだ。動物らしいと評価するならこれだけならいいな。誰かを守るためにならいいよ?』
『誰かを守るのに敵の前に立って怒り狂うならいいんじゃない? 誰かの盾になれるなら褒められる』
『人のために身体張って命を守るんだからな?』
『守るのには何かを犠牲にしなきゃいけない。例えば誰かのために怒るだな?』
『出来ないよ、人間は自分が大切なんだから』
『出来るかどうかはそのとき分るじゃないか? 出来ないならそこまでだけどな?』
『信頼はそこで出来る、しないかするか。出来る範囲でいいんだよ? 出来る範囲でもそれは気持ちだからな?』
『どうできるかだけどな? 目の前の危険にどう守るべき者を守るかだけど』
『ただし、人道的かで判断して行動を取ってほしいけどな?』
『出来ないわけないからな? 人間胸を打つ鼓動が真実だからな?』
胸の前に手でハートを作り、前に出したり後ろに引いて彼は微笑む。
『絆は、ここでどう判断できるかで信頼を築き上げるんだよ?』
『ここにしか判断材料がないんだ。人を守る気持ちはな?』
お辞儀するように身体を曲げてハートを前に出す彼。
『人を守ろうと判断できるなら固い絆になる。全部心の中で決めている』
『どうしようと考えるだけでも優しいし、リスクをたくさん考え込んで行動取るのも優しい』
『自分のことも視野に入れて考えるのは当然だからな?』
『それでも動いて行動とれるなら大したもんだよ?』
『深く考え込んで出来ないと判断するのもちゃんと考えているから優しいよ?』
『優しさが絆を深めるんだよ? 誰かのために嫌われ役やる人も人として出来ている』
『いい子だよ』
『誰かのために嫌われ役を選んでも損しかしないじゃないか』
『損得勘定じゃない。誰かを守るのに嫌われ役やって誰かの笑顔を見られたらそれで十分なんだよ?』
『人間なんてのはな? 誰かの笑顔を見たくて人を守るんだよ? 行動理由はそれだけしかないんだ』
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