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華咲高校事件簿ファイル0
「どこだあああぁ優志いいいぃ!? あのロケットカップはどこの誰の女じゃあああぁ!?」
「ひゃああああぁ!?」
優志は目撃してしまった。
血走った目で駐車禁止の石が重石になっている立て看板を振り回しながら優志の名前を叫び走るエミが、逃げ惑う男子たちを蹴散らして走って行った。
「ぐああああぁ!?」
「あかんっ!? 日隠さん、あかんでそんなもん振り回したら」
「あがあああん!?」
「僕の生徒たち逃げろおおおぉ!? 生徒たちだけでも先生が守るからっ! さあ来いっ! 日隠、お前の怒りを先生が受け止め――」
「である・・・・・・っ!?」
青春ドラマが大好きだ、と生徒たちによく語っては笑顔を見せていた元フィギュアスケート選手、現在地元の子供たちにフィギュアスケートの楽しさを教えている三筋新太先生が、
暴走するエミが振り回す立て看板に跳ねられて、人類初の五回転アクセルをして植木鉢に頭を突っ込んでそのまま静かになった。




