【75】side:たんたん副隊長と極秘任務
――――あぁ、どうしてこんなことに……。
俺、レイヴン・フォン・タイタンは暗闇に紛れ気配を殺していた。少しでも気配、感情を表に出せば気が付かれる。エストレラ最強の隠密部隊暗部に……。
――――数刻前。
「へぇ、不思議なステータスだねぇ」
「何かわかるか?フィーア」
俺はいきなりマティアス隊長に呼ばれたかと思うとプラチナブロンドの絶世の美人の前に連れていかれた。
フィーアと呼ばれたその人をタイタン領で知らない人はいない。むしろシュテルン公爵よりも人気が高く顔が知られている。
――――フィーア・フォン・クォーツ公爵。
クォーツ公爵は魔法使いとしてとても有名な人だけど、俺の文字化けステータスのことが何かわかるのか?
――――
レイヴン・×▽◆※〇×▲
レベル;▲〇×※¥・-
ジョブ:◆※◇▲〇……
スキル:◇◇◎※×///
〇×▲
◇◎
??????
??!!!
――――
「多分、読める人ならいるだろうねぇ。これ」
「本当ですか!?その人はどこに?」
「潜入してきて?」
「へ……?」
「見つかったらダメだよ。暗部に始末されちゃうからね」
めっちゃ笑顔でむちゃぶり言うクォーツ公爵。
「よっしゃ、レイヴン!近衛騎士隊の意地見せたれぇ!」
いやいやいや、むちゃですってぇぇぇぇぇっっ
――――そして現在。
暗部の目をかいくぐり、気配感情すべてを殺しするすると接近していく。
そうして、遂に見つけた。周りに暗部の目はあるがその子の傍には誰もいない。
あの時の紅消もそばにはいないようだ。俺はさっとその子に忍び寄る。
ぱっちり。
「……」
とりあえず、口の前にひとさし指をあてる。
「……」
ぱちくり。
「……」
(し――――――っ!)
「たんたん!!!!!!」
それは、歓喜の大声だった。
ノオオォォォォォッッ!
お、終わったあぁぁぁっぁぁぁっっ!!!やばい、どうしよう。暗部とやり合えるのか、俺!?
「何してるんです?たんたんくん」
そして俺の肩をつかみ、後ろで凍り付くような笑顔を浮かべる……ヨシュア様がいた。
ヒイイィィィィ―――――ッッ!!!
※※※
「なるほど……フィーアがですか」
「はい……すみませんでした」
「また他人で遊んで……全くもう」
俺、クォーツ公爵に遊ばれていたんですか?
「それにしても、この子がたんたんくんのステータスを読めるとは……一体どうしてなのでしょうね?」
「それは分からないのですが」
「たーんたん!たーんたん!」
当のクロムウェル殿下は相変わらず、たんたん大喝采をしている。
「たんたんくん、とりあえず見せてみていいですよ」
「あ、ありがとうございます!ヨシュア様!」
まだ半信半疑なのだが……クォーツ公爵はそれを読める人物にクロ殿下を挙げた。
「最近文字の形くらいは覚えたんですが、文字化けしてない部分も読めたら中々にすごい幼児!くらいの感覚だと思うのですけどねぇ……」
まぁまだ小さいので確かにそうだろうけど。
「????・ふぉん・たんたん」
あれ、文字化けしてないところは逆に読めないのか?クロムウェル殿下は文字化けしていた俺の名前を読み上げた。まぁ、たんたんじゃなくてタイタンなんだけど。
「???:にへん、ごひゃーご」
次はレベルの段だ。
にへん……五百五?レベルは505あるってことか……?いやいやまさか。というか『にへん』って何だ?二千……?いや、まっさか~~。
「???:くらしゃしゃ」
次はジョブの段なんだけど……『くらしゃしゃ』って何だろう。ほんとに読めてる……よね?
「???:さーち、きはいいん……きょ?」
スキルの項目のはずだけど……えっと、サーチって言ったのか?俺にはサーチ能力があるのか。後半がちょっとわからなかったけど。
「あんまほう、れべるまっくす」
あんまほう……?今、レベルマックスって言わなかった?俺、何の魔法がレベルマックスなんだ!?
「かげまほう、れべるまっくす」
今度のはわかった。影魔法……?そんな属性は無い気がするけれど。
「……くろ、せーれーし?」
黒精霊士……?俺は精霊士の資格は持ってないんだけど、素質があるってことなのか?でも『黒』って何だ?闇の精霊士ならわかるけど。
「イヴ……」
イヴ姫殿下……?
「ひめあいすきかぃかぃちょあいだした」
な……何ですか、その謎の呪文!?唱えたらなんかすごい魔法が使えそうな気がしますけど。
「たんたんくん。一応聞きますがウチのイヴのことはどう思っているのですか?」
ぞくっ。笑顔のヨシュア様が恐い。イイエ!俺やましいことなんてこれっぽちも思ってないですよ!?
「クロムウェル殿下ととても仲がよろしくて、ほほえましいです」
「……」
だ、ダメだったか?ヨシュア様の疑念を取り除くのには足りなかったのか……!?
「お2人をお守りできること、光栄に思います」
「……まぁ、いいでしょう」
きゅ……及第点ではないけれどひとまずやり過ごしたのか?とりまよくわからない影魔法が使えることだけは判明したわけだし。
「でも……何となく想像はつくのですが」
「……と、いいますと?」
「ジョブとスキルです。恐らくフィーアは私にそれを確かめさせるためにこの悪戯を仕組んだのでしょうね」
「ではヨシュア様は……」
何となく想像がつくって……ヨシュア様は只者ではない気がしたけれど、俺のジョブやスキルに見当が付いたってこと?
「今この状況で、ここに忍び込めるジョブとスキルなら何となく想像がつくでしょう?たんたんくんは何の目を盗んでここへ忍び込んだんでしょう?」
ヨシュア様ははっきり言わないが、それは多分……エストレラ一の隠密部隊・暗部の目をかいくぐって来たってこと。まぁ……ヨシュア様にはバレたけど。
「たーんたん!たーんたん!」
「クロ、もう遅いからね。し~~っ」
「ほえ?」
ヨシュア様の言葉に耳を傾けながらも、暫くするとクロムウェル殿下が再びたんたん大喝采を始める。まぁ……かわいらしいからいいけれど。
でもヨシュア様が言うように、暗部の目をかいくぐれるジョブなんて一つしか思いつかないじゃないか。そしてそれに追随するスキルも恐らくは、それ関係。
クロ殿下が大きくなったら再び読んでみてもらうのもいいかもしれない。念のための確認に。




